アニメ『映像研には手を出すな!』も最終面です。うーん悲しい。でも新年からの3カ月間ワクワクさせて頂きました。あとものづくりの楽しさや、それ以上に空想や妄想を形にする事の楽しさと厳しさを描いていたと思います。もちろん学生というモラトリアムに守られた以上のオブラートに包まれた話(それは原作もそう宣言しているしアニメでもそこはちゃんと除かれることなく初回に金森氏が言ってます。)ではありますが、アニメーション(モノづくり)が好きなのはツバメだけで金森氏の動機は徹頭徹尾、「才能」をお金に変える事。折角のタレントが埋もれてはもったいない、だからそれは有効に世間に還元しお金にしようというのが動機です。浅草氏はもっと単純で「自分の考えた最強の世界」を描く事。だからそれは漫画でも小説でも良かったはず。ただ子どもの頃に出会った「動く画」によって頭の中の画が動く瞬間がイメージできたからこそアニメを作るという事になった。そんな目的の違う3人が一つの目的に向かって動き出すのがこの『映像研には手を出すな!』という訳です。
「コメットAを目指せ!」
冒頭になんか総括めいた話を描いちゃいましたが、原作者の大童澄瞳氏が9話のメインと言ってもいい金森氏の幼い頃のエピソードに際して裏設定的なものをツイートされていました。これは多分9話を観てそれぞれの感想がコメットAに際して作られるアニメに向かって一丸となってる感が醸されもしかして金森氏や浅草氏のパーソナリティが誤解されてやしないかと思ったからのツイートではないだろうかと。当然原作者でもあり視聴者でもある大童氏はその見方を限定するものではなくコアはそこにありそれ以上の事は御想像にお任せしますという至って普通のスタンスなんですが、がっくりきたとかそういう反応が多かったのも事実です。
『映像研には手を出すな!』第3巻~第5巻|大童澄瞳 著/小学館刊|tonbori堂私物 |
まあ愛すべきキャラクターがあれはスクルージ(守銭奴)だと言われたら、ええってなりますよね。もっとも金森氏は守銭奴ではないんですが(それは原作でもちゃんと書いてあります。どっちかと言えばマインドは『ラーメン発見記』のラーメンハゲこと清流庵主人にしてフードコンサルタント芹沢に近い。まあ芹沢も元はただの理想に燃えるラーメン店主でしたがある一件で覚醒したんで元からのそういうタレント(才能)である金森氏とはちょっと違いますけどね。
ということで労働に見合った対価を得るために自主制作展示即売会であるコメットAに出展しDVDを売るという話になりました。とその前に音響部のSE販売の件が生徒会に目を付けられたエピソードを入れ込んできたのは、原作にあった攻殻機動隊パロディシーンをカットし(やったらやったで面白かったかもしれんけど)たからだと思いますが、それが原作にあったコメットAに出展することでの問題点にもつながるのではないかと見ています。(実際どのくらいの上がりがあるのかは気になりますがこの一件は生徒会に収めることで収まったとされています。)しかし残りの話数でまだソワンデとの絡みありそうなんで入れてくる可能性はありますけどね(攻殻機動隊パロディ)
ブラアサ
当然次の作品を作るために作戦会議と相成った訳ですが、ツバメと浅草氏を誘い出して外で作戦会議を行う金森氏。途中で芝浜の町を歩くわけですが、そこでも浅草氏の妄想は止まりません。で面白いのは芝浜の町。妙な階層都市感のある団地と公立ダンジョン芝浜高校だけだと分かりづらい感じなんですが、水路があちこちにあってその上に団地が立ってるのも充分おかしな感じなんですが(基礎が水に浸かっているので経年劣化による老朽化とかが気になる所です。)当然上手い何かがあるはずだとは思いますが(水の上に建っている都市はヴェネチアとかありますから、まあ水位の上昇によって浸水の危機に晒されていますが、あとメキシコシティは元々湖上に出来た都市です。)色々不思議な町です。浅草氏じゃないけど物事には意味がある。不思議な町、芝浜。しかも町名とか殆ど触れられていないので(単行本では浅草氏と金森氏は上狸沢中学の出身というのが分かっています。地名だとしたら沢があったんだなと言うの分かりますが芝浜高校周辺って元は水郷都市な雰囲気を感じます。
湖(これまた名称が不明)に注ぎ込む沢筋が多く、割とすぐに山があり(高い険しい山ではないけれど深い山間になっている感じ)しかもこの湖、ガントリークレーンがあるんですよ。いやアニメと単行本1巻読んで最初は「海」と思ってたんで「湖」だったとは。でも汽水湖かもしれんし、ほんと成り立ちだけで1本出来るくらいのモノがつまっているはずです。実際視聴した時におもわずつぶやいたのがこれです。
#映像研 関西放送終了。いや芝浜の成り立ちとかタモさんにブラタモしてほしいわー(そこかよ!— tonbori堂@さらにいくつもの片隅に&エンドゲームはいいぞ。 (@tonbori) March 1, 2020
いやマジでブラタモできますよ芝浜の町は(笑)
チビ森氏のお仕事論
実はこの金森氏の幼少期の体験。それが彼女のお金を稼ぐという原体験でありビジネス哲学の元になったエピソード。お金を稼ぐための最適解を求めるために思考し実践する。そしてそれは砂上の楼閣であるので、しっかりとした土台を築くために奮闘する。それが金森氏です。浅草氏との出会いのエピソードはまだアニメでは描かれていませんが金森氏は彼女の才能をしっていながらもそれを生産的な方向に持って行く術が思いつきませんでした。しかし水崎ツバメとの出会いでその才能で活かせる、形に出来る事になったわけです。
お金を稼ぐにはカスタマーも必要だけどモノを作る、商品を仕入れる。とにかく一人で出来る事には限界があります。ただ金森氏の性格的に組織人ではないので独立した個人との結びつきでビジネススキームを組み立てていかなければなりません。取引相手が組織なのはかまわないけれど自分が動かせるシステムで無いとスキームが組み立てられない。浅草氏は最強の世界を作るには自分だけでは難しい。でも極度のコミュ障。だからこの金森氏のスキームに乗っかるのは自明の理だったように思います。しかし地域おこしアニメになったのは面白いですね。COMET-Aでの販売行為の件でまた生徒会と学校側で問題になると思うんですが地域おこしの一環として地域を動かせばそれなりに利益の残る形で販売できるんじゃないかと。これは次回でどうなっているか?気になっているポイントです。
浅草氏演出に開眼
これまでもしていた演出。パースや動きを決め、構図を決定しカットを割り振る。これ全て演出という事に遅ればせながら気が付いた浅草氏。それも金森氏を説得するためにというのも面白い流れでここは原作通りでした。く号兵器は光線ではない。だからそれと分かるようなカットと音が重要になる。部室の屋根のエピソードでも宇宙は真空状態なので音は伝わらない。(音は空気の振動なので)でも状況によっては音を付けて状況を伝えるなど既にそう言う事をしてきた浅草氏。芝浜の地下街での隠された螺旋階段などからインスパイアされた螺旋武装都市をどう最強の世界に仕立て上げていくのか「細工は流々仕上げを御覧じろ」ですね。楽しみです。
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