『映像研には手を出すな!』第4話「そのマチェットを強く握れ!」|感想【ネタバレ注意!】-Web-tonbori堂アネックス

『映像研には手を出すな!』第4話「そのマチェットを強く握れ!」|感想【ネタバレ注意!】

2020年1月29日水曜日

anime manga SF

X f B! P L

 あっという間に第4話。ちょうど1巻の最後のエピソードまでが描かれています。当然アニメを作る電撃3人娘が主人公の漫画をアニメ化している訳なのでこの1巻でのクライマックス、生徒会予算審議委員会でのプレゼンテーションでの映像研の処女作である「そのマチェットを強く握れ!」、一部は第3話でもありましたけど、全体を予算審議委員会での場を使った「体験」をダイナミックに描き出していました。かなり気合が入っている第4話についてあれこれ書いてみたいと思います。

原作漫画『映像研には手を出すな!』第1巻|大童澄瞳 著|小学館|
原作漫画『映像研には手を出すな!』第1巻|大童澄瞳 著|小学館|tonbori堂私物

修羅場

 アバンタイトルでいきなりの修羅場です。手書きと動きにこだわるツバメの作画作業が大幅に遅れ一歩も進まないところを、浅草氏の背景移動で水増しする訳ですがツバメが30日間24時間フルで書いても間に合うかどうかの瀬戸際、金森Pは「もっとやれ」となりますな(笑)この件は原作通りですが実は原作では第1話のシーンがここに入ってきます。幼き頃の浅草氏が未来少年コナンと出会ってアニメを作るという事を意識したあのシーン。未来少年コナンの宣伝を入れてまで挿入したそうで、作者のこだわりがあるこの部分を今考えると1話に持ってきたのは慧眼でしたね。


 原作どおりでもいいんだけれどあのエピソードではなく前回第3話からそのまま作画に突入している感でライブ感が続くというか。でもクオリティにこだわる部分が三者三様でこれまた面白い。ツバメはあくまでも動きにこだわり、浅草氏はストーリー(世界観)にこだわる。そして金森氏は目的にこだわる。だからこそ残り時間が短くなったあの場面で浅草氏におこだわりによる効果などを見て瞬時にジャッジ出来るわけです。これがおこだわりのツバメと浅草氏だけだと舟で山に登る状態になったでしょう。そりゃ浅草氏には忸怩たるものになるんでしょうけども。そこはツバメもですが、残り時間で仕上がらないのは分かっているのでこだわりは別のところで発揮しようと切り替えが早いのもツバメの資質ですね。ここは原作では「動物的な勘が身に迫る危険を感じていたが動物には具体的に想像する能力がなかった」と浅草氏のコマにあります(笑)


「そのマチェットを強く握れ!」上映!

 とにもかくにも浅草氏のいうところの「魂を込めた妥協と諦めの結石」がなんとか当日の朝に完成します。この魂を込めた妥協と諦めの結石というのは毎回締め切りに追われて創作活動をしている人たちには刺さるワードじゃないでしょうか。これは『湾岸ミッドナイト』という漫画で、創作を題材にはしていないけれどチューニングを追い込むときに突き詰めても底なし沼のようになるのであるところで止める。満足するのではなくあるところで線を引く。時間もお金も無尽蔵ではないっていう事がしばしば出てくるんですがそっちも感じましたね。当然そこをジャッジするのは金森Pですが。

 そして迎えた予算審議委員会。相対するは生徒会。「生徒会には手を出すな」と言われるぐらい学校での部活動、生徒の活動領域に力を持つ団体。いやまあそういう壁が生徒会ってのは定番ですよね。生徒会会長の道頓堀透、書記のさかき・ソワンデ他2名(台詞がなかったんで完全にモブ扱いでしたが切り込み隊長の阿島九と会計の王俊也の2名)で対外的には会長が仕切るけれど真の権力者は書記のソワンデというのがはっきり分かる構図。金森Pの詭弁力にも崩れないザ・鉄の女って感じですが、ここで、浅草氏の啖呵がガツンとかまされるのがまた気持ちがいい。原作でも見どころでしたが、声がついて動いてるとまた刺さり方がダイレクトですよね。これについては配信か、原作、いや両方チェックしてみてください。でも時代劇や歌舞伎などの台詞回し、いいもんですよねえ。


 そして上映、あの漫画のコマをではなくアニメーションとしてどうするか?こうしたぜという。実際原作は輸送機からフライトサポートユニットのような(ガンダムのドダイみたいな)ものからウイングスーツに変更になったし、ワイヤーアクションも追加され激しいアクションが売りになっています。とは言え浅草氏のマジックによりいろいろ枚数節約の技はつかっていますけど。でもそう来たかと。アレです、『アオイホノオ』でモユルが真っ白になった庵野監督の学生時代の習作「じょうぶなタイヤ」に色付けてやったぜ、ドヤッ!って感じで度肝抜かれましたよ(笑)そりゃ次はどんなの作るの?いやこれをちゃんとした1本にとかえらいもの観ちゃったなあって感じです。そしてそこで審議委員会そっちのけで直ぐに反省会とか最高すぎるでしょ(笑)


 それとこれは余談になるのですがこのパイロットフィルムのタイトル「そのマチェットを強く握れ!」は漫画のタイトル『映像研には手をだすな!』とも呼応している感じがあります。原作者もそういう長いタイトルを編集部からやめたほうが(タイトルは覚えてもらいやすい短いインパクトのあるものが好まれる)いいと言われながらもこれにしたという風にインタビューで読みました。原作者の大童澄瞳は古い映画のタイトルがカッコイイのでと言っていましたが(挙げられていたのはヒッチコックの名作や『俺たちに明日はない』などが)この「そのマチェットを強く握れ」は高倉健主演の大映映画『君よ憤怒の河を渉れ』を思い出しました。それとイーストウッド主演の西部劇『奴らを高く吊るせ!』ですね。いやもっと近いのあるかもしれませんけどこの2本がパッと浮かびました(笑)どちらもマチェット振り回す少女とは似ても似つかない内容ですが(笑)ともかく予算は承認され映像研次の一手はどうなることやら。気になって仕方ないのでとりあえず今後のネタバレ覚悟で第2巻買ってきます(笑)

©2020 大童澄瞳・小学館/「映像研」製作委員会


『映像研には手を出すな!』OPテーマ/Easy Breezy|chelmico

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