トゥルー・エンディング|『劇場版コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-』【ネタバレ注意】-Web-tonbori堂アネックス

トゥルー・エンディング|『劇場版コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-』【ネタバレ注意】

2019年9月7日土曜日

drama movie

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 2019年8月27日からAmazonprimeVideoにてprime会員ならレンタル料金なしでレンタル配信で視聴できる分に追加されている、『劇場版コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-』それに先だってCSのチャンネルNECOで放送があり、それでこの『劇場版コード・ブルー』を観たのです。

動画はYouTubeより|『劇場版コード・ブルー –ドクターヘリ緊急救命-』主題歌「HANABI」予告映像
|東宝MOVIEチャンネル|(C)2018「劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」製作委員会

ロードショーの時はまだやってるから大丈夫だろうと思ってそのままにしていたら気が付くと観に行くタイミングを逸してしまったのでこうやって放送があれば(そして観るタイミングがあれば)観るのは実は他の作品でもよくやっています。あの大ヒット作品『千と千尋の神隠し』そして『カメラを止めるな』も実はTVが初でした。とは言えドラマのエントリを上げておいて劇場版スルーっていうのも実は気にしていたのでこれでようやくケリがつけれそうでホッとしました(笑)ではちょっと感想というかあれこれ書いてみましょうか。


コード・ブルー/あらすじ

 トロント医科大学にレジデントとして派遣された藍沢(山下智久)は一時帰国のため再び日本戻ってきたが成田空港で乱気流に巻き込まれた旅客機の負傷者をかけつけてきた白石(新垣結衣)とともに診る事に。その中で肺挫傷で喀血した未知(山谷花純)はスキルス胃がんを患っており、余命いくばくもない事が分かる。一方、藤川(浅利陽介)と冴島(比嘉愛未)は結婚式を控えているが冴島は結婚式に否定的で藤川はやきもきする。緋山(戸田恵梨香)は年明けに救命から周産期センターに戻ることが決まっているが患者であった緒方(丸山智己)との仲に悩んでいた。


 フェローの横峯(新木優子)が白石より藤川と冴島の結婚式へのビデオメッセージをナースの雪村(馬場ふみか)お願いしているところに軽自動車が突っ込んでくる。乗っていたのは雪村の姉と母の紗代だった。アルコール依存症の紗代(かたせ梨乃)は酔っぱらって包丁を頭に突きさしてしまったのだ。偶然にも急所は逸れていたがアルコール依存症の母から逃げるように実家を出た雪村は困惑する。


 未知の元に元婚約者の岩田(新田真剣佑)が訪ねてくるが岩田を追い返す未知。しかし余命いくばくもない未知の元を去ったのは間違いだったと最期まで一緒にいたいと彼女の元を離れない岩田。そんな2人を見て緋山は未知を優しく諭す。未知は彼を受け入れ、なんとか式をあげようとするが今からでは一か月後しか式場があいていなかった。そこで藤川は冴島と挙げるはずの式場を2人のために譲るのだが、式当日、未知が喀血し搬送されてくる。そして時を同じくして東京湾アクアライン海ほたるに濃霧のためフェリーが航路を外れ衝突し負傷者が多数、船内にも取り残された人が多数との報を受け、ドクターヘリが出動することに。そこで彼らもまた重大な決断を迫られることになる…。

トゥルー・エンディング

 恋愛SLGなどでよく使われる続編に至るための真のエンディングという意味だそうです。バッドエンディングなどという言葉もゲームから来ているそうですが、『劇場版コード・ブルー』はそういうこれで湘北救命の彼らの物語のサード・シーズンの真のエンディングであるとそう思いました。またシーズン中に十分にスポットを当てる事が出来なかったヘリ・ナースの雪村は母親が出てくる事によってその部分が補完されたのも良かったなと思います。彼女は基本的につっけんどんなところだけがピックアップされていて3rdシーズンの最期の方でに冴島との差を見せつけられ精進を誓うという部分で雪村というキャラクターにちょっと喰い足りなさもあったけどtonbori堂はこれで補完できたかなと(笑)


 とは言えそれは映画的にどうなのよって話になりますが、なにせ登場人物多いわけだし、オリジナルの5人がメインとすればゲストキャラ的に目立つ人を複数入れる必要があります。藤川と冴島と対比させるように未知と岩田が。そして旅立つ藍沢の過去とだぶるような雪村というのは良かったのでは?という事です。もちろん白石と緋山コンビもしっかりとエピソードに食い込んでいってるし、この2人がいるから他の話も引き立つわけで。それに過不足なく(いや実は藍沢割と時間的に登場してる時間少ないかも。でも美味しいところはしっかりもっていってますが)皆のエピソードが進行していく筋立てはベタですが安心できます。


 総じて、終わった後にエピローグを設けて彼らは今も各々のポジションで頑張っているというまでの部分を丁寧に埋めていく作業をしているだけだけどファンには充足感の高い作品に仕上がっているのではないでしょうか。これは古い話になるけど『踊る大捜査線』の1に近い感じですよね。今でも思うんですが『踊る大捜査線』が1作目だけで終わってたらいい作品だったよねで終ってたと思うんです。でも未曾有のヒットになった2以降、正直3やファイナルで心を動かされた事はありません。踊るのキャラは全員好きだけどなんだろう伸びた麺みたいでコシが無い。でも1は盛り上がった熱気を受け止めエンディング含めていい終わり方をしたと思ったんですが…。お話を続けるという事とその物語を締める、クローズする、エンディングを迎えるというのは難しいものです。


 『劇場版コード・ブルー』はそこを上手く掬い取りこれまでのコード・ブルーとして3分間で1stから3rdまでとざっと紹介し、5人の物語(それぞれ個々の物語)はドラマで決着ついているから、雪村の家族や最初に出てきた余命いくばくもない花嫁と藤川と冴島の結婚式エピソードをからめてそれぞれ5人のエピローグとして落としどころをちゃんと作っていったのが功を奏したとのではないかと思いました。そして3rd最終回と対になるように今度は藍沢が危機的状態に陥り(そういえばあの時も雪村がいましたね)回復するだろうなと思いつつも、白石や緋山、藤川たちの同期たちのそれぞれの表情を抜くことで絆の深さを再確認させたりともうファンムービーとしては合格点じゃないですか?(笑)そりゃ何時ものようなくどいシーンとか、フェロー名取(有岡大貴)が若干放置気味とか、(何かと緋山が絡みにいってますけど)、灰谷(成田凌)のエピソードがちょっと無理やり?みたいな不満点はいろいろあります。なにより、梶さん(寺島進)出てないし。黒田先生(柳葉敏郎)呼べよとか、いや三井先生(りょう)復帰してもいいんじゃないのとか…。ただコード・ブルーというドラマが藍沢、白石、緋山、藤川、冴島の物語だから彼らのこれからへの道を照らす事と今回のゲストとして雪村をフィーチャーした事で間違いではないと思います。

田所先生と黒田先生の存在感

 そこで最後の最後に『コード・ブルー』の1stシーズンと2ndシーズンで翔北救命の重鎮というか後ろに控えている田所先生(演じるは故児玉清)が翔北を離れ離島の医師をしており、藤川の結婚式に際してのメッセージを送った事が橘より明らかにされ、最後にその手紙は田所先生がフェローとして迎えたあの時の全員に送られていたことが分かります。3rdシーズンでは黒田先生の作った救命を越えるのが白石の目標で、やがてそれは越えるのではなく自分の理想とする救命を目指すに変化しました。そして黒田はドラマにはでませんでしたがその存在感を後ろに感じさせました。(出るかなと思っていましたけど。)


 そしてその黒田の師でもある田所の名を出しそれぞれにメッセージを送るのは一種、卒業式のようでもありました。これこそ本当のトゥルーエンドだなと強く感じたのは田所先生のこの手紙でもあるんですが多分ドラマを見て無かったら、急にここで田所先生?いやそれは児玉さんの存在感というかドラマ現場への貢献に対してリスペクトはしてるんだろうけどねってなっただろうと思うんですが、黒田先生の事を3rdシーズン中に言ってたから、これは効くなと思いましたね。そういう意味でもやっぱりこの映画ファンムービーなんですよ。


 児玉さんはともかく柳葉さんは出る事も可能だったと思うんですが、2ndの椎名さん演じる橘も今回は息子が重病患者で(これは劇場版でも小さなエピソードながら非常に重い、だけど想いのつながるエピソードでさらに語らせています)という部分で現場でのシーンはそう多くありませんでした。やはり成長したあの時のフェローたちの姿をメインに。そしてそれぞれがその道を進む。絆を胸にというと一種暑苦しい話ですけど3rdシーズンの『コード・ブルー』らしさを象徴したと思うのです。

最後に

 エピローグと言いましたがこの藍沢、白石、緋山、藤川、冴島。演じた山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未、浅利陽介この5人を揃えるの超大変(それぞれ売れっ子だしスケジュール調整が大変)でしょうけどこの5人が健在な限りまた何時かは戻ってくるかもしれません。そうハマのあの「あぶない」刑事のように(笑)でもとりあえずはこの物語はここで終わる。綺麗なエンディングだったと思います。


 でも何年後になるか分からないけど、直ぐではなく時間が経ったうえでのこの5人が、その歳でやれることがあるだろうし、実際白石が救命部長やってて緋山もバリバリの産婦人科医で新生児専門の救命をとかいろいろ考えられるし、まあドクターXっぽくなると困るけど(笑)スーパードクター藍沢とかムードメーカー藤川とかスーパーナース冴島のまた年齢を重ねた彼らの物語はあってもいいかなと思います。


 実は『踊る大捜査線』もそうなってくれれば…まあそれは詮無き事ですね。とは言えこのことでフジお得意のドラマから映画への限界点も見えました。出来が良くてもドラマがあってのファンムービーの域から出られないってこと。これ3時間のスペシャルドラマでも問題ないわけです(劇場のスクリーンで見るという行為とその画面の大きさというものの良さもあるけど)ただそれが去年の実写邦画のナンバー1ヒット(興収90億)であるという事実もあるわけです。ということでこういう座組の映画はこれからもつくられるでしょうけど、さらにワンランク上を目指すならこういったファンムービーでは難しいかなと正直思いました。と最期に厳しい事を書きましたけど、またTVのフィールドに(すぐではなくそれぞれがまた成長して)戻ってきてほしいなとも思いました。コード・ブルーファンなら観ておく1本だと思います。

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