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「最強のアーマードトルーパー/ATは?」|『装甲騎兵ボトムズ』|tonbori堂アニメメカ語り

2019年7月27日土曜日

anime ROBOT

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 前に『装甲騎兵ボトムズ』に登場するメインメカ、アーマードトルーパー(AT)の解説エントリをアップしたんですけど、検索ワードを調べてみると『最強』『アーマードトルーパー』で検索されてGoogle検索でぎり1P目に表示されているにもかかわらずクリックされてない事がアナリティクスで分かりました(苦笑)なのでべたべたでこういうエントリを書いてみました(笑)って事なんですが、以前にも同じような理由でAT解説エントリ書いたんですが…ええ好きなんですよボトムズのアーマードトルーパー(AT)が(笑)ってなわけで少々お付き合いをばよしなに。

装甲騎兵ボトムズ/ATM-09-STTC/アクティックギア|タカラトミー
装甲騎兵ボトムズ/ATM-09-STTC/アクティックギア|タカラトミー製


最強のアーマードトルーパー(AT)

 アーマードトルーパー(以下AT)は歩兵の持つ兵器と機動装甲車の延長線上にある兵器でパイロットが搭乗して操る乗り物ではありますが、用兵として個々の歩兵の重装甲化、重火力化に機動力を組み合わせ産み出されたものです。言わばロバート・A・ハインラインの『宇宙の戦士』に出てくる機械歩兵が装着するパワードスーツの亜流と言っても差し支えないと思います。そんなATの魅力はまさに兵器のような武骨さとメカニック感(へんな言葉ですね)としてリアリティを感じさせるディテールだと思います。リアルではなく、現実にそこにありそうなリアリティ。宇宙戦争をやっている程の科学力があるのにボルト、ナットで装甲板が止めてある無骨な兵器。サイズ感とかそういう事は前にも書いたと思うんですが今回はそんなアーマードトルーパー(AT)の中でも最強のアーマードトルーパー(AT)は何だろうと考えてみる事にしました。


 単純なATのスペックだけだと、そりゃ『青の騎士ベルゼルガ物語』に出てきたベルゼルガ テスタロッサだろってなっちゃいますけど、あれは番外(小説のスピンオフシリーズ)ですし、その力はもはやスーパーロボットの範疇ですよね😅嫌いじゃないんですが(むしろ大好き)ATの枠を離れたスーパー・ド級ATです。っていうよりもキリコが乗ればそれが最強ATじゃないのかとかという話もあります。確かにキリコは異能生存体でどんなところからでも生き残れる異能者です。だからといってそれでATの機体そのものが強化されるわけではないのです。事実フィアナ(ファンタムレディ)のブルーティッシュドッグやイプシロンのスナッピングタートルやストライクドックに何度もボコられています。

 それでもちょっと思考実験としてこういうのも面白いかなと思いアーマードトルーパーを考えてみようかと思います。参考文献は樹想社から出ているボトムズ関連書籍2冊、『VOTOMS BIBLE』『VOTOMS ARCHIVE』そしてスタジオDNA刊の『VOTOMS AT完全設定資料集』です。3冊とも既に発行から10年以上の歳月が経っていますが全ATを振り返るにはちょうどいいかなと。なのでそれ以降の『装甲騎兵ボトムズ』シリーズに出てきたATは割愛気味になりますが何卒ひらにご容赦を。ということで『装甲騎兵ボトムズ』シリーズに出てきたATをtonbori堂の視点でピックアップ。ざっくり比較してみてどれが強いかを考えてみたいと思います。

ドッグ系AT

 アーマードトルーパー(AT)といえばまずこれは外せません。劇中でも一番よく出てくるATにして各種、局地戦用バリエーションも豊富に存在します。主人公キリコもスペックが違えどもなれた操作系が一番ということで一番出番の多いATがドッグ系ATです。ATM-09-STスコープドッグを基本としてメルキア軍特殊任務班X-1レッドショルダーの使うターボカスタム、それを模してウドでの軍警との対決にキリコがゴウトたちの協力を得て作り上げた急造武装強化型レッドショルダーカスタム。ウドのAT同士による賭け試合格闘戦バトリングで使用されていた専用AT、パープルベアーやストロングバックスもATM-09系のカスタマイズ機体です。その中でtonbori堂がこれだと思う機体はターボカスタムです。

ATM-09-STTC「スコープドッグ・ターボカスタム」

 実のところ劇中ではターボカスタムと言われてなかったように思います。確かタイプ20と元レッドショルダーのグレゴルー上級曹長が言ってたように記憶しているのですが?

このターボカスタム。なんといってもローラーダッシュに補助輪ブースターがついているのが見た目にもカッコいいのです。

タカラトミー/アクティックギア/ATM-09-STTC
タカラトミー/アクティックギア/ATM-09-STTC/tonbori堂所蔵品

 ATには高速移動をするため足にグライディングホイールというモーター駆動のローラーが脚部に装備されています。そのローラーを駆動してスケーティングによる高速移動を実現しているのですが、このターボカスタムはさらに俊敏に機動力を高めるため、脚部脛に展開式補助ホイールと補助ロケットブースターからの推進力で爆発的に加速する事が出来るいわばドラッグマシーン(0-400m競技ゼロヨンに用いられる加速重視の一発勝負用マシン)当然安定性は犠牲となり多数の武装をコントロールすため制御系も刷新されたとはいえ他のATと比べ煩雑となり一般的なATとは違って乗り手を選ぶATとなっています。

タカラトミー/アクティックギア/ATM-09-STTC
タカラトミー/アクティックギア/ATM-09-STTC背部/tonbori堂所蔵品

 本来のATは歩兵の延長線上、極限までコントロールは簡易に誰も扱えるようにするのが基本です。そのため操作補助のためミッションディスクも使いイージーオペレーションに腐心しているのにまるでそれに逆らうようなカスタマイズ。単機でも敵陣を圧倒できるようにATの搭載限界ぎりぎりまで搭載した火力。ドッグ系ではまずターボカスタムが最強の一角をしめるのではないかと思います。そんなターボカスタムに対抗できるのは?ドッグ系ながらM級(ミッド級)ではないH級(ヘビー級)のドッグ系AT、そうストライクドッグです。

XATH-02「ストライクドッグ」

 名称にドッグとついていますが、秘密結社(『装甲騎兵ボトムズ』に出てくる組織でメルキア軍幹部らからなり、軍が極秘に開発していたPSを奪取しウドのバトリングにて実験を行っていた)ウドで採取したそのデータから新たなPSであるイプシロンを産み出し、彼の専用機として内乱が起こったメン公国で使用していたATH-14-WPSスナッピングタートル(スタンティングタートルのチューンナップ機)のデータも盛り込んだ、完全に彼のために作られた専用ATです。クラスも通常のドッグ系ATより一回り大きいヘビー級となっています。

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 秘密結社の初の大型独自開発ATなんですが(TV放送時)、時系列的にはその前となる『ザ・ラストレッドショルダー』に出てきたXATH-P-RSCブラッドサッカーを元にしているという文献もあり、そのブラッドサッカーもメルキア軍が次期主力ATとして開発中だったH級ATグラントリードッグを元にしているため、結果ドッグ系のシルエットを持つことになった…という話があります。後付け設定ですが秘密結社は軍とも関係を持ちその母体にアストラギウス銀河に広がっている宗教マーティアルともつながりがあるのでそういう事があるかもなと思うと面白いですよね。(グラントリードッグ/『VOTOMS ARCHIVE』より)

 その戦闘力は凄まじいものがあり、オプションなしで宇宙戦闘に対応。白兵戦ではウドでフィアナが試験的に搭乗していたATM-09-GCブルーティッシュドッグで有効性が認められたアイアンクローを左腕に装備。また内臓火器としてガトリングガンだったブルーティッシュドッグに倣い内臓式マシンガンをアイアンクロー内部に、クロ―展開時に発砲できるという火力、格闘ともに強力な武装を単体で備えオプション武装も他のH級ATの携帯火器の使用はもとより専用のソリッドシューター(電磁式榴弾投射機)も用意されその火力は並みのATでは歯が立たないほど強力な武装を施されています。

 惑星サンサの戦闘でキリコに敗れはしたものの、その後ストライクドッグのデータから惑星クエント付近に浮かぶワイズマンの本拠地(古代クエント人の残した集合意識体を収めたいわばコンピューター人工衛星)の無人生産施設で組み立てられたラビドリードッグ(XATH-02-DT)が登場。キリコがギルガメス軍の包囲を突破する際にその戦闘力を見せつけていました。

最強ドッグ系AT、実は操縦に難あり。

 実は挙げたこの2機体、操縦に難ありなんですよ。まずターボカスタムは設定では軍の特殊部隊などで機動力を高め高速で戦場で展開するために開発されたものの、その操縦性のピーキーさで軍の主力には成り得なかったとされています。ようするに乗り手を選ぶ機体になってしまった。そして対するストライクドッグはPS専用。つまりこれまた常人では扱いづらい。つまりは操縦が常人だとその能力を100%発揮するのは難しい。もっともストライクドッグ単体だけならそれなりの力を持ってると推測されますが多分活かしきれない。もちろんメルキア軍としてはPSもセットで量産ということでPS計画を発動させ秘密結社は言わば計画を引き継いだ形でありメルキア、バララントまたはマーティアルにせよ最終的にはノウハウをもって量産することが前提であったとは思います。それでも個が突出した兵器はやはり使いづらい。

 当然、ATはプログラムされた行動を行うミッションディスクが装備されるので(確か劇中の描写ではディスクを入れるスロットがあったはず)それによりキリコはスコープドッグを極限まで高めブルーティッシュドッグに肉薄したり、スナッピングタートルと互角に戦ったり、ストライクドッグを破ったりしました。とは言えそれを支えることができるのはやはり異能生存体であるキリコならではの事で、通常ではそう上手くいかないとも思えます。それ以外で高性能かつ強力な武装を持つATとなれば…やはりこの機体に触れないわけにはいきません。

ATH-Q64「ベルゼルガ」

 頭の方でちょっと触れた『青の騎士ベルゼルガ』のイメージリーダーとして作品を引っ張ったATベルゼルガ。本編ではクエント人の傭兵、ル・シャッコの機体として登場しました。ベルゼルガは狂戦士の意味を持つのはよく知られた話なんですが、なにせ遠い我々の銀河とは違うアストラギウス銀河の話なのでベルゼルガがかの地で持つ意味ははっきりと語られたことはなかったように思います。ただし『青の騎士ベルゼルガ物語』では完全に狂戦士のイメージをまとっていました。そのシルエットは古代の甲冑のようでもあり、機体はクエント人の体長に合わせH級のボディを使用した殆どワンオフのカスタム機体です。シャッコの機体はATH-Q64という型式番号を持ちますがこれはギルガメス軍内での登録番号で製作順ではないと書籍には説明されています。なので正確な機体数は不明です。


タカラトミー/アクティックギア/ATH-Q64
タカラトミー/アクティックギア/ATH-Q64/tonbori堂所蔵品

 そのベルゼルガが最強ATの一角に入ってくるのはまずクエント素子というクエントでしか採掘できないレアメタル(希少金属元素)が使用されているという事にあります。採掘量があまりにも少ないため基本的には宇宙船や大型施設でしか使用されないのですが電子機器の能力を飛躍的に高めるものでレーダーやセンサー類などに用いられています。その貴重なクエント素子を用いている結果、射撃能力に優れているのがまず1点。次はATの代名詞でもあり、グライディングホイール次いで標準的な装備であり白兵戦用に供えられたアームパンチ、炸薬カートリッジでパンチを打ち出すシステムの代わり打ち出す銛、パイルバンカーを備えている事です。


タカラトミー/アクティックギア/ATH-Q64
タカラトミー/アクティックギア/ATH-Q64/tonbori堂所蔵品

パイルバンカー自体はスコープドッグの足元でホイールでの走行中の急転回などの方向転換を要する場合に使われるターンピックと同じ杭打ちシステムですがそれを左腕部のシールドに装備し相手のATを串刺しにしたり装甲車のタイヤや装甲版を抜いたりもできる近接戦闘では強力無比な武装です。パイルバンカー自体は炸薬だけではなく圧縮空気で打ち出す方式であったり電磁カタパルト式(ソリッドシューターと同じ原理)だったりと書籍によって設定にブレがありますが基本的に杭打ち機であり見た目も派手なのでバトリングでは喝采の的にというのは外伝小説『青の騎士』でのお話ですが特徴的なシルエットとともに人気の高いATでもあります。

 この2点をもってもベルゼルガが、かなり強力なATと言えると思います。クエント人専用ではありますが元がH級ATなので通常のパイロットが扱う事も可能です。外伝小説『青の騎士ベルゼルガ物語』のケインもシャ・バックというクエント人の形見として搭乗するし、アニメ本編ではクエント星でフィアナが傭兵センターに保管されていた旧式ベルゼルガに搭乗しました。ただ『装甲騎兵ボトムズ』最終回後の世界ではその数は少なく出稼ぎに出ていたクエント人傭兵の搭乗していた機体のみというレア機体な上にクエント素子がクエント星の崩壊により事実上補給できなくなったことにより故障に対応できないというところでしょうか。クエント素子がクエント以外に無いのはクエント星のプラントで生産されているものだったからというオチがありますので今後の設定で異能者たちの遺したバックアップのプラントがアストラギウス銀河のどこかにあれば…もしやということはあります。

ATM-FX∞ベルゼルガ SSS-Xテスタロッサ&etc…

 その他にもOVA『赫奕たる異端』にでてきた、ネクスタント専用機?XATH-11TCオーデルバックラーも搭乗者であるテイタニアの能力も相まって怖ろしい力を発揮しましたし、それほどじゃないにせよ、バララントのPSであるニーバの搭乗機BATH-XXエクルビスも恐るべき能力を発揮しました。オーデルバックラーには量産型というか、同系統機種エルドスピーネもあります。やはり機体性能もなんですけれど搭乗者如何でその力が怖ろしく左右される事を考慮に入れれば、その範ちゅうのでの最強ATは外伝になりますが『青の騎士ベルゼルガ物語』のATM-FX∞ベルゼルガ SSS-Xテスタロッサではなかろうかと話も…ってこれは最初にスーパー・ド級ってことで番外にしてましたね(苦笑)正直ヒロイックではあるんですが兵器として考えると伝説巨神の域なんですよねテスタロッサは。なのでやっぱり番外番長だと思います。

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余談|ATに対抗する機甲猟兵

 ちなみにそんなATに対して徒手空拳で戦う兵士の物語が『機甲猟兵メロウリンク』です。もっともそのままだと本当にATに狩られるだけの話になっちゃうので対抗するための武器がちゃんとあります。


 それが対AT専用ライフルです。もっとも全長が2mちかくもあり隠密行動には向きません。それでもギリギリの距離に気配を消して近づき一撃必殺。でもそれだけではアニメの画にならないので、止めを刺すためにケレン味のある武装が追加されています。それがベルゼルガにも使われているパイルバンカー(但しサイズは小さい)です。銃身の下に銃剣のように装着し銃撃後擱座したATに止めを刺す際に使われる…といえば聞こえはいいけれど相手が複数の場合はそんなのんびりとしているとやられちゃう完全に見映え重視の武器です(笑)でもこういうロマン武器がないとお話盛り上がりませんから大好きなんですが(笑)このイメージソースはみのり書房から出ていた『VOTOMS ODYSSEY』というムックにあったオリジナルイラストからだと思います。ポンチョを来たギルガメス軍の兵士が背負っている長物。説明には対ATライフルとありました。


このムックからはギルガメス軍正式戦車アストラッドなどが後年のOVAで登場したり正式の設定になったものもあります。同じ、みのり書房から発売されていた『ガンダムセンチュリー』の設定のお遊びがやがてMSVとなり本編にも登場するというのがボトムスでも行われていました。最近ではそういうのは少なくなりましたがそういう逆輸入というのも面白いですよね(ちょっと話がずれてしまいましたが)

真の最強アーマードトルーパー(AT)とは?

 最強ATは本当に決めるのが難しいけれど、ここで用兵の基本に立ち返れば容易に生産でき、大量に戦場に送りこめ、またその搭乗員も多数となればそれはATM-09-STスコープドッグとなるのではないでしょうか。太平洋戦争中に日本の零戦は格闘戦では無類の強さを誇るとされましたがそれは防弾版などを減らし重量を軽減した張子の虎の結果でした。やがて膨大な数で押し、エンジンも強力な米軍のグラマンF-4F、F-6などに次第に押されていくことになります。(ソースはWikipediaですが当時の生産数を現した書籍でもそれは証明されています。)

零式艦上戦闘機 - Wikipedia

F4U (航空機) - Wikipedia

F6F (航空機) - Wikipedia

 またドイツは第2次世界大戦時、強力なⅥ号戦車1型ティーガー、2型ケーニヒスティーガーを産みだしましたが、簡易かつ強力なエンジンを積み大量生産に向く米のM4中戦車やソ連のT-34にやがてやぶれていきました。(双方単独ないし数が同じで対峙した時はティーガーが無類の強さを誇りましたが、そもそもドイツの快進撃である電撃戦を支えたのは数を揃えた中型のⅣ号だったことも見逃せません。)

VI号戦車 - Wikipedia

M4中戦車 - Wikipedia

T-34 - Wikipedia

IV号戦車 - Wikipedia 

 特殊用途の機体や突出した機体は単機では確かに強力です。画も映える。ですが実際の戦場ではそうもいってられません。そう考えると数が揃えられている。武装もそこそこ強力かつ行き渡っており、オプションも豊富である。またバリエーション展開もされているとなれば…スコープドッグが最強となりませんか?実際キリコもほぼATM-09系に乗っていますし(笑)ということでこのエントリの締めとして最強、それはスタンダードが最強であるとして『ATM-09-STスコープドッグ』こそがアストラギウス銀河の最強ATとしたいと思います。ということでお後がよろしいようで<(_ _)>

タカラトミー/アクティックギア/ATM-09-RSC
タカラトミー/アクティックギア/ATM-09-RSC/tonbori堂所蔵品
ATM-09-STをベースにキリコが改造したものでこれも言わばスタンダードからの強化版


※今回の参考文献です。

※ボトムズのATは未だに模型が出ているので自分で作るのも一興かと。

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