謀略のデスロード|『マイル22』|感想【ネタバレ注意!】-Web-tonbori堂アネックス

謀略のデスロード|『マイル22』|感想【ネタバレ注意!】

2019年2月4日月曜日

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 ブログタイトルが既にネタバレしている気がしないでもないピーター・バーグ監督/主演マーク・ウォルバーグ『マイル22』。大変好みの映画で面白かったです。CQC銃撃戦やジェイソン・ボーンシリーズ(マット・デイモンの)が好きな人にはおススメできる映画でした。


動画はYouTubeより|1/18(金)公開!『マイル22』本予告編|Klockworx VOD|© MMXVIII STX Productions, LLC. All Rights Reserved.

ストーリー

 米軍特殊部隊のジェームズ・シルバは秘密支援チーム、オーバーウォッチのサポートを受けロシアのFBSの米国のセーフハウスを急襲。彼らの反撃を受け情報の奪取から交戦状態になり18歳の少年を含めてセーフハウス内の全員を射殺する。

 その16カ月後、東南アジアのインドカーにおいてシルバは盗難にあった4㎏のセシウムの回収作戦を指揮していた。内通者よりの情報は空振りで、情報にあったコンテナの中身は銃器と弾薬、そしてムンクの模写絵画があっただけだった。それに対してチームに当たり散らすシルバ。彼は天才的な頭脳を持ち記憶力に優れているが一方で対人関係に難のある障害を抱えている。


 内通者は警官でチームメンバーのアリスがリクルートした元特殊部隊に所属していたリー・ノアという人物。そのリーが突如、インドカー首都のアメリカ大使館に現れる。セシウムの在り処を記録したポータブルハードディスクを持って現れたリーは自分の亡命と引き換えにパスワードを教えるという。インドカー政府は高官と保安担当者が現れ彼の引き渡しを要求するが、既に工作員が入り込みリーを暗殺しようとする。しかしリーが反撃しその暗殺者を逆に殺した事と、彼の証言で絵画の絵の具の下に隠されたセシウムから政府は秘密裏に彼を亡命させることにした。


 シルバはチームを率いて一度退職願を出し米国との関係を断った状態でノアをキャッチアップするために市街近くの飛行場までの22マイルを抜ける危険なミッションに挑む。しかしリーを追うインドカーの保安担当者が部下を配置し待ち伏せしていた。オーバーウォッチの支援を受けていてもなお果たして空港まで無事にたどり着けるのか?そして護送任務の裏に隠された秘密とは?

イコ・ウワイスの起用

 この元特殊部隊の警官リー・ノアを『ザ・レイド』で一躍注目の的になった格闘家で俳優のイコ・ウワイスが演じているんですがハリウッド(もっともアジア資本も入り込んでいるんで純粋なハリウッド映画って訳ではないですがアメリカ人キャストが大勢を占め、米国人監督が監督しているという意味で)のウワイスの起用って、敵の凄腕格闘キャラとか、味方のサポートの格闘専門家が多かったように思います。


 しかし本作では非常に重要なキーキャラクターであり、彼の格闘もしっかりと見せつけた上に意味のあるキャラクターとしているのが本当に良くて今後彼を起用でもタイプキャストだけではないもっと面白い役どころで使われるようになればいいのになって思うキャスティングでした。これだけでtonbori堂はこの作品大好きなんですけれどシルバのキャラも面白いんですがちょっと問題もあるキャラクターです。

ジェームズ・シルバという男

 この作品は承前(アバンタイトル)であるFSBセーフハウス襲撃からOPタイトルになるんですがこのOPタイトルでシルバはギフテッドという事が語られているんですね。ギフテッドとは先天性で卓越した記憶力や計算力などの際立った個性をもった人の事を指す言葉で神からの贈り物という意味です。


 ただシルバも映画『ザ・コンサルタント』の主人公クリスチャン・ウルフのように常人とは違ったところがあります。ウルフは物事に没頭すると周りを気にしないで行動できることと、興味のない事には一切触れないなどがありますが、シルバの場合は天才的ではあるけれど、落ち着きがなく攻撃的であるという事。そのため彼は腕にゴムバンドを巻いて、感情が昂るとそれをはじいて落ち着きを取り戻すというアクションをします。この辺り、そういった人も確かにいるんだけど、ちょっとディフォルメが過ぎたかなあと。『ザ・コンサルタント』ではベン・アフレックが上手くやっていましたが、マークのシルバってただのアドレナリンジャンキーの癇癪持ちにしか見えないのでちょっとこの設定活かされていない気がしました。

コンパクトなタイムライン

 ピーター・バーグは俳優出身の監督で『マイル22』公式ツイッターアカウントによれば同じく俳優出身のクリント・イーストウッドよりも早撮りなのだとか。早いのは撮影だけでなく本編の尺もコンパクトです。上映時間は94分。エンドロールが5分ほどある?ことを考えれば正味90分弱。ジャストインタイムな上映時間は緊張感が保たれるいい時間だしこれはいいと思います。


 実はこの映画でもう一つ引っかかるのはシルバの事ともう一つ、オチが分かりやすいという事。ストーリーの書き方でお分かりの方もいらっしゃると思いますがこの映画いわゆる驚愕の展開が待ち受けています。それはサスペンス映画やこの手の映画をよく観ている人ならすぐに分かるんですよね。で海外の評価では評論家からも酷評だし、一般観客も芳しくないとも聞いています。

ソース|マイル22 - Wikipedia

 それはオチが分かりやすいよってことなのかもとちょっと思っているんですが、市外の飛行場までの22マイルの道程を描くだけの作品なのでそれはあくまでそのオチはそのための緊張感を盛り上げるための刺身のツマだとtonbori堂は思ったのです。だからこの映画は面白かったし、イコ・ウワイスもいい仕事が出来るわけです。つまり狐とタヌキの化かし合いはあくまでもサイドラインとして、このストーリーは『マイル22』なのですから。

銃撃戦

 コロンビアはボゴダでロケをしたそうで、これも公式ツイッターアカウントからなんですけれど、コロンビアといえば、麻薬カルテル(^^;治安は大丈夫なのかと少し心配になりましたが今は左翼ゲリラとの和平合意がなっているので安定しているようです。(ただ新大統領は合意見直すということでどうなるかは先行き不透明だそうですが。)

ソース|コロンビア大統領選 保守派ドゥケ氏勝利 和平協定に暗雲 - BBCニュース

 そんなボゴダでド派手な銃撃戦とか正気ですかと思いますが、南米を東南アジアの架空の国家首都に仕立てるのも何かと強引ですよね。ただ熱帯感はよく出ていた(緯度が同じぐらい)あとモブもしっかり映るところはアジア系やアジア系に近い感じで固めたり気を使っているようでした。でもこの襲撃シーン(シュートアウトシーン)は久しぶりに屈指の銃撃戦でしたね。ジョン・ウィック系とは違うミリタリー&ポリス系で。


 こうなると去年ジェラルド・バトラーの『ザ・アウトロー』を見逃したのが悔やまれますがどちらが凄かったのかなと気になりました。あちらは爆発は無いけどリアルな感じを追究しているなとトレーラーから感じたので。

キャスト

 ピーター・バーグとは4度目のタッグというマーク・ウォルバーグ。ピーター・バーグとはよほど気が合うのか今回もノリノリです(笑)癖の強いキャラクターをもうやりたい放題にやっている感がありますが、こういう作品に強いだけあってやっぱりはまりますよね。部隊員には『エクスペンダブルズ3』に出演したロンダ・ラウジーがいますが、なんといっても離婚した夫と子供の事で揉めていたり自分のS(内通者)がおかしな行動をとってもうしっちゃかめっちゃかな目に合うアリスにローレン・コーハン。コーハンは『ウォーキング・デッド』に出演しているそうなんですがtonbori堂は『ウォーキング・デッド』観てないのですよ(これ毎回言ってますけどね)


 『ウォーキング・デッド』からはダナイ・グリラやジョン・バーンサルとかいっぱい出てきているので本当にアメリカの関係者注目しているんだなと思います。また彼女はすごい体当たりでアクションに挑んでいるのでそこも見どころです。そしてイコ・ウワイス。大使館での医務室でのアクションシークエンスは本当に凄い。見せ方が上手い。あれちょっとでも下手をうつと、それは出来すぎでしょとかありえないってなるところを彼の身体能力で説得力を持たせた強烈なシーンでした。

ガントレットアクションとして

 『ガントレット』っていうのはクリント・イーストウッドの同名タイトル映画ですが、もともとは罪人をこん棒などをもった者たちを2列に並べたその間を駆け抜ける事を指します。この『マイル22』も2列ではないけれど四方八方から撃ち込まれる中をくぐり抜けるあたりはそういったガントレット系アクションだなと思いました。このような作品が大好きな人には凄くはまると思うアクション映画だと思うので心当たりのある人は是非ご覧ください。

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