ということで観てまいりました。『ヴェノム』実はこの作品に出てくるヴェノムというキャラクターはこの映画が映像初出ではなくサム・ライミ監督ピーター・パーカー/トビー・マグワイア『スパイダーマン3』でもヴィラン(悪役)として出てきています。基本的にはヴィランである「ヴェノム」が今回ダークヒーローの立ち位置で登場したのは人気の高いキャラクターからなんですが、さてどうだったのか?あらすじを振り返りながらちょっと書いてみようと思います。
ストーリー
承前
カールトン・ドレイクが率いるライフ財団の宇宙船は宇宙探査から帰還の途中、謎の事故で大気圏突入に失敗。マレーシアのジャングルへ落下する。殆どの乗員が絶望視される中、ドレイクは宇宙船が積み帰ったあるものの無事を確認すると現場からそれを持ち帰るように厳命するが、たった一人操縦士が生存していた。救急搬送される中、彼は突然起き上がり身体から何かを出して救命士と運転手に襲い掛かる。そして転倒した救急車から救命士が人間とは思えぬ力で屋根をやぶり何処かへと消え去った。
サンフランシスコ
ジャーナリストのエディ・ブロックは元はニューヨークの記者だったが上と衝突して解雇されサンフランシスコのTV局に拾われた。今では社会問題に突入して鋭く追及するジャーナリストとして人気者だったが、相変わらずやり過ぎて上からは睨まれている。そんな中、墜落事故を起こしたライフ財団のイメージアップのために総帥のドレイクのインタビューの仕事が舞い込み彼にその仕事が回ってきた。
婚約者のアン・ウェイングは弁護士でライフ財団側の代理人として働いている。意に沿わない仕事で腐っていたエディはアンに届いたメールを盗み見してライフ財団がホームレスを集めて違法な人体実験で死亡者が出ているとしった。彼とのインタビューの時にそれをぶつけるエディ。しかしそれはドレイクを怒らせ、結果彼は解雇されアンも弁護士事務所を解雇されてしまい、アンにそれをなじられた上で別れを告げられる。
どん底
あっという間にどん底に落ちたエディ。壁の薄い安アパートでくすぶる日々。馴染みのドラッグストアでもみかじめ料を取りに来るギャングを見ても傍観し、店主に反対に慰めの言葉をかけられる始末。そんなとき、ライフ財団のドーラ・スカースが彼に接触してくる。宇宙船から回収したのは惑星探査の帰りに発見した彗星に生息していた生命体で、ドレイクは過酷な宇宙空間で生き延びている生命体が別の生命体に寄生することで環境に適合する事から、生命体と人間が融合すれば過酷な宇宙空間でも易々と生存できる、いわば生きた生命維持装置としてその生命体を利用できないかを研究していた。
動物実験もまだ初期段階だが宇宙船事故で焦っていたドレイクはドーラに人体実験を行うように命令するが、第1回目の実験は失敗した。冷淡に次を指示するドレイクに対して恐怖を覚えたドーラはメディアを通じて密かに告発するためエディと接触したのだ。
シンビオート
シンビオートと名付けられたそれらを寄生させられたホームレスを撮影するためドーラの手引きで財団の研究所に侵入したエディは実験を受けたホームレスの中に何時も新聞を手に入れる知り合いのホームレス、マリアがいることを発見する。ドアガラスを破り助けようとしたマリアに襲われるエディ。マリアの腕や身体からシンビオートが這い出てエディの身体へ侵入する。そしてマリアは力尽きてそのまま死んでしまった。
慌てて逃げだすエディは常人離れした力で研究所を脱出。部屋に戻るが彼の身体には異変が起こっていた。いったい彼はどうなってしまったのか?逃げ出した人物とその体内に入ったシンビオートを追うドレイクたち。そしてマレーシアから人から人へ乗り移りながらやってきたシンビオート。戦いの火ぶたが切って落とされる。
エディとヴェノム
エディとヴェノムはWe(私たち、字幕訳では俺たち)という関係性を作る事になるんですが基本的にシンビオートは捕食者であり、獲物を捕らえるため、動くための器が必要です。こう書くと、『ヒドゥン』っていうエイリアンモノの映画を思い出します。それと『遊星からの物体X』どちらも人間を乗っ取るエイリアンが出てきます。『スパイダーマン3』のヴェノムも最初はピーターに寄生して彼を操っていましたが彼がそれを捨てた後、別の人間に憑りついてピーターに立ちはだかります。いわゆる人の心の後ろ暗い闇の部分を増幅していたのがこの映画では、どちらかとと言うと人を操つる所謂、カエルに寄生して操る虫っぽくなってるんですよね。もっともヴェノムだけは違ってて、いや違わなかったんですが彼もシンビオートの群れの中では「ルーザー(負け犬)」そしてエディもルーザーなわけです。で共感してしまった?うーん、ハリウッドはルーザーが立ち上がる話が大好きですが…アメコミに薄い知識しかないというかほぼほぼ『スパイダーマン3』での知識しかないtonbori堂にとってヴェノムってそういうもんなん?と。もっと闇に引き込まれそうなエディの葛藤とか、本能の赴くままのヴェノムの制御できなさとか…無いものねだりなんでしょうかね。
人衣一体
とは言えクライマックスに至る流れはやっぱり燃えるし、それは先の引っかかったルーザー同士のタッグマッチがあるアニメと似ていたんですよ。だからこそ凄く盛り上がった。そのアニメは『キルラキル』、トリガー製作、中島かずき脚本、今石洋之監督作品です。物語の一致は…あまり無いんですが、着る兵器、生きたセーラー服神衣「鮮血」と宿命の少女、纏流子の物語ですが、鮮血も流子も実はルーザーなんですよね。
で、一敗地に塗れても立ち上がる。そして鮮血を拒否する流子に喰らいついていく鮮血。そこがエディとヴェノムのクライマックスに向けての関係性にだぶりだして最後の最後にアレを見せられると、おいおいそれ『キルラキル』やんかーってなったんですよ。Twitterで『ヴェノム』『キルラキル』で検索してみたけどやっぱりそう思ってた人多かったようです。そりゃアレを見たらそう思いますよねって(笑)ちなみに中島かずきはあの『ニンジャバットマン』の脚本を書いた人で、劇団新感線の座付き作家だけではなく特撮からアニメ、そしてそれらにも造詣の深い人です。そして『ヴェノム』のプロデューサー、アヴィ・アラッドは『攻殻機動隊』の実写『ゴースト・イン・ザ・シェル』のプロデューサー。もしかするともしかして?(笑)
最後に
いろいろ、ぬぬっと思ったところもあったんですが、クライマックスに向けての盛り上がりは素直に面白いと思いました。それとポストクレジットシーンでウディ・ハレルソンが、最近はいい人役もこなしていたものの、久々にキレッキレの悪役。しかもサイコパスな殺人犯という、のちにカーネイジというヴィランになるキャサディ役で出演。引きも十分です。
もっともM.C.Uとは違うバースなのでこれはこれだけのストーリーとして語られていますが共同プロデューサーのマット・トルマックは合流もあればいいなという感じを話して痛いそうですし、その後加わったエイミー・パスカルもこれはM.C.Uの付属品であるという発言をしていたそうです。ただアラッドは消極的だったかもしれません。何と言っても彼はマーベル・スタジオを立ち上げた人物でありアメコミ映画を数多くプロデューサーとして関わった人物。思うところがあったのかなとは思うんですが、それが作品のカラーに影響したとすれば…ともかく『ヴェノム』の物語は始まったばかり、映画はヒットしたことですし、今後の事は今後次第。ともかくは見守っていきたいですね。
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