ジェームズ・ガンが『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(マーベル)から離れた件。|tonbori堂四方山話-Web-tonbori堂アネックス

ジェームズ・ガンが『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(マーベル)から離れた件。|tonbori堂四方山話

2018年10月24日水曜日

DC MARVEL movie News

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 今年もそろそろ終わりに近づいてといっても、まだ少し早い気もしますが、ショックだった出来事がいくつもありました。その中でもかなりのウェイトを占める出来事が、このジェームズ・ガンのM.C.U離脱です。まさに青天の霹靂、寝耳に水の出来事でした。

James Gunn
By Mingle Media TV - https://www.flickr.com/photos/minglemediatv/14528972189/, CC 表示 2.0, Link|画像はWikipediaより|ジェームズ・ガン (映画製作者) - Wikipedia

 マーベル・スタジオから(それは親会社であるディズニーの経営陣の意向であります)一切の契約を打ち切り解雇されたこの一件。正直未だに引きずっています。それについてちょっと書いておきたいと思います。

発端はジェームズ・ガンのtweetだった。

 事の起こりはジェームズ・ガンが悪ふざけにしては、あまりにも酷すぎるジョークをツイートした事でした。今を遡る事10年前から7年前にかけてのツイートです。このツイートは彼のファンの間ではよく知られていたようで、全く持ってどうかしているという内容のツイートでした。ツイートの内容もまったく擁護できる類のものではなく彼がペナルティを受けるのは仕方がない事だと思います。


 ただこの一件が最近のジェームズ・ガンのTwitterでのツイートがトランプ大統領に対する過激な批判に憤慨した陰謀論者やオルトライトと呼ばれるシリコンバレーやITニュースを作って発信している過激な右翼論者たちによって過去のジェームズ・ガンのツイートが掘り返された事により引き起こされた事から事態が政治対立を煽る感じになってしまったことと、その少し前に彼はバズフィードニュースのインタビューで過去を悔いているという話をしていた事もあり助命嘆願もネット空間を飛び交いました。


 近年ポリティカル・コレクトネスが人を叩くためのポリコレ棒なるなんとも下品な名前で呼ばれている事と結びつきネットが荒れたのも記憶に新しいところです。そしてその前にあったワインスタイン事件を契機に起こった #Metoo運動もオルトライトにはその流れで捉えられています。実際は被害を受けた人たちが、自分たちもと勇気を奮って声を上げている運動なのですが、オルトライトはこれは自分たちへの攻撃だと思ってる節が感じられます。(実際にはワインスタインは民主党、ヒラリー・クリントンにも大口の献金者として知られている事を突きつつそれ以外に関しては攻撃する道具とみなしている感じがある。)そういう思想的対立ももちこまれてしまったのです。

ジェームズ・ガン監督、10年前の差別ツイートが問題視されて新作映画をクビに→おフェミさん「10年前のツイートを蒸し返す右翼はクズ!」「ポリコレは他人を叩く為の手段じゃない!」 - Togetter

 このまとめでもある話なんですがヘイトスピーチをしていたラノベ作家が炎上、アニメ化は中止になったという話がありました。それもこの話で左右両派を巻き込んだ炎上騒ぎを加速させた感があります。

何故ジェームズ・ガンは解雇されたのか?

 ディズニーが彼をすぐさま解雇したのはその前にABC(ディズニー傘下の三大ネットワークのTV局)の人気ドラマの主役女優がヘイトスピーチをツイートし大騒ぎになり彼女をすぐさま解雇したという事情がありました。ジェームズ・ガンを放置しておくのはダブスタの批判を免れないということでの処置でしょうし、実際彼のツイートは先にも書きました酷いものでした。


 その点では彼は解雇を受け入れています。とは言え今後のマーベル・シネマティック・ユニバースの新たなるフェイズにかんして『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.3』は大きなファクターを背負うとされ、今後の作品の大きな流れにも彼は関わっていました。それだけにファンの落胆は大きかったし、それはこのtonbori堂もそうでした。

ソース|コミコンを動揺させたジェームズ・ガン監督の解任と、ディズニーの事情|WIRED.jp

ソース|『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』出演のクリス・プラットら、解雇されたジェームズ・ガン監督をサポート

 署名運動も行われましたが結局はディズニーはジェームズ・ガンを再雇用する、再登板させるという事にはなりませんでした。

ソース|『ガーディアンズ』監督の再登板求めネットで運動、署名24万人 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

ソース|キャンペーン · Marvel: RE-HIRE JAMES GUNN · Change.org

 ちなみにtonbori堂は署名しました。この件では署名の発起人も再雇用されるとは思わないが、ディズニーがした行為は明らかに下策であり、それをネットに残しておくためにもという話で、そこに共感したからです。これはジェームズ・ガンが解雇というニュースが駆け巡った時にTwitterでよく言われていた、躓いたり、過去に間違いを起こした人間でも、善き人になることは出来る。という原則から逸脱しているのではないかという事です。


 特にディズニーでは『ズートピア』や『アナと雪の女王』などでも語られたテーマですが、それは嘘っぱちではないかという事になりかねません。過去に間違いを起こし今は悔いていてもそれは贖えない。なんだか悲しくなります。tonbori堂は特にルーザーズ(負け犬たち)の逆襲や、過ちを犯した者たちや、一敗地まみれた者たちが立ち上がるストーリー展開は大好物です。ジェームズ・ガンは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でそれを体現してみせました。

 その彼による第3弾が、オルトライトの重箱の隅を楊枝でほじくる行為で(もちろんだからといってジェームズ・ガンのtweetを擁護するわけではありません)全てが無に帰すのは残念過ぎると思っているのです。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.3の行方

 確実なアナウンスではないですが『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でラヴェジャーズのクラグリンやロケットのスタンドインを務めているジェームズ・ガンの実弟ショーン・ガンからは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.3』ではジェームズの脚本が使用されるという話がありましが、はっきりしているのは現在制作はストップしているということとワーキングタイトルは決まっているという事だけです。ワーキングタイトルとは秘密保持のためやタイトルが決まっていないときの仮タイトルですが、ヒット作は早々にリークされてしまったり、ワーキングタイトルに隠し要素を入れたりしている場合もあります。この場合ニュースソースによると2021年まで撮影は無し。現在監督を選定中ということですが…脚本が使用されるといっても監督によってはリライトされる可能性も高いし先行きまったく不透明という感じです。


 噂だけですが女性の監督を起用するという話も。これはディズニーのイメージ回復のためにありそうなんですが、やはりクリエイティブな点でガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの世界観を引き継いでさらにいい世界観を提示できる監督(性別は問わない)を起用して欲しいです。

ソース|Jimmie Tramel: Tulsa-bound actor Sean Gunn knows Marvel-ous details, but can't share yet | Jimmietramel | tulsaworld.com(リンク先は英文です)

ソース|「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー3」製作中断 : 映画ニュース - 映画.com

ソース|Guardian of the Galaxy 3 Reportedly Begins Production In 2021

ソース|Daniel Rさんのツイート: "I hear they want a female director to replace Gunn for Guardians of the Galaxy Vol. 3. Not sure if true, so just a rumor for now. Again, just a RUMOR."(女性の監督を探しているという噂の元)

ジェームズ・ガンはどこへ行く?

 そんな悶々としていた日々を送っていたらこんなニュースが飛び込んできました。

ソース|ジェームズ・ガンがDCへ!『スーサイド・スクワッド』続編の脚本に決定&監督の可能性も - シネマトゥデイ

 最初はTwitterのタイムラインで早耳の人たちが聞きつけてきたんですが、まだ正式な話じゃないよと言うニュアンスでした。それでも、ジェームズ・ガンが『スーサイド・スクワッド』を担当するというのは凄く血沸き肉躍る展開じゃないですか。それを映画ではマーベルにやられっぱなし(いや私、DCの作品群も好きですけどね)のDC(ワーナー)が、どうだい?というのは控えめに言っても最高だし、その作品がルーザーズの逆襲である『スーサイド・スクワッド』っていうのは最高じゃないですか?


 ただそこには一抹の寂しさもあるわけです。ジェームズ・ガンの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.3』の続きは「永久」に観る事が出来ないという事実です。例え脚本がほぼ使われる事になっても、やはり別の人が撮る以上ジェームズ・ガンのフィルムではない。その事実を動かすことは出来ません。


 もちろん過去のツイートが許されるわけではないんだけれど、セカンドチャンスを与える事も考えなかったディズニーのやり方には異論をはさみたい。それはルーザーであっても間違った事をしてもセカンドチャンスがあるというマーベルのヒーロー達が言ってた事とは違うのではないかと…思うんです。

この一件が後々マーベルの綻びになる恐れも。

 実際にキャストの一人、ドラックス役のデイヴ・バウティスタはディズニーの処分に関してはっきり異を唱えていますし、他のキャストも契約があるのかすぐさまには反応していませんでしたが、共同の声明を出しています。来年の『アベンジャーズ4』でこれまでの10年以上に渡るマーベル・シネマティック・ユニバースのフェイズ4までの道程は終了しますが、新しき道程に関してもジェームズ・ガンは関わっていたと聞きます。


 でもディズニーはコーポレートガバナンスとして不実なツイートをしたジェームズ・ガンをカットアウトしました。それが次のマーベル・シネマティック・ユニバースの「終わりの始まり」にならなければいいんですが。ジェームズ・ガンが今回マーベル・スタジオから離れたのは悲しい事ですが、その作品世界は愛すべきものです。彼が戻らなくてもこれからも楽しい作品を観たいというのは1ファンとしての願いですが、今回の件でどうもしこりがのこってしまったようで…。『アベンジャーズ4』までは楽しめそうなんですが…先行きについては不安です。

ソース|デイヴ・バウティスタ、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」を降板? ジェームズ・ガン監督を解雇したディズニーに不信感| 海外ドラマ&セレブニュース TVグルーヴ

ソース|『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』キャスト9名が声明発表…ジェームズ・ガン再雇用求め - シネマトゥデイ

最後に

 実際のところ、ジェームズ・ガンがずっとマーベルと仕事をしていくとは思っていませんでした。きりのいいところで離脱して自分のやりたいネタを追究していたはず。ただただ残念なのは、こんな誰もが望んでいない形で彼の手による『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.3』が観れないの一点に尽きます。彼の手による『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』トリロジーの締めとなるはずだったのにそれが水泡と帰した。その事が残念ですし、政治的スタンスをはっきりさせろとは言いませんけど(ジェームズ・ガンとオルトライトとの衝突はトランプ大統領の方針に異を唱える彼が目障りだったからという事があります。)どうしてもこの件、ネットの過激派によって騒ぎ立てられたディズニーが屈したようにも見えるのがどうにも嫌な感じです。誰も幸せになっていない今回の騒動。いやオルトライトは気勢を上げてるようですが、そんな世の中だからこそジェームズ・ガンの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』が観たかった…そう思います。


 それとオルトライトたち、陰謀論者、対立を煽る者たちには軽蔑感しかありません。ジェームズ・ガンのツイートは酷いものだったけれど、彼らも平気でデマを飛ばし、相手の弱みに付け込む。それはヴィランの振る舞いです。それらに対するブライトサイドでマーベルはあって欲しい。今後のマーベル・スタジオの動き方にも注目したいと思います。

※tonbori堂が初めてジェームズ・ガンの名前を脳裏に刻んだのはこの作品からです。

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アクの強い作品でした。ですが彼の立脚点を知るにはいい作品だと思います。

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