ドリパス復活上映で劇場版『ファイブスター物語』を鑑賞する。-Web-tonbori堂アネックス

ドリパス復活上映で劇場版『ファイブスター物語』を鑑賞する。

2018年9月25日火曜日

FSS movie

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 ドリパスの説明は以前にもしましたが改めてご説明しますと、観たい映画に投票し、一定数の得票を集め毎週のランキングで2位以内に入れば上映候補に。その後ドリパス運営が各映画会社、配給元と交渉し首尾よくいけば復活上映としてシネコンなどで上映イベントが開かれます。この上映イベントも一定数(かかるスクリーンでペイ出来るギリギリのラインだと思われます。)の座席数が埋まれば上映成立。晴れて上映日に上映されるというもの。それに『ファイブスター物語』が上映されるという事で会場となったシネマート心斎橋に鑑賞に行ってきました。

画像はドリパスの公式ホームページ、スクリーンショット。(c)ドリパス/2018 TOHOシネマズ

ドリパス復活上映

 これまでこのドリパス復活上映で『花の詩女 ゴティックメード』は既に何度も上映が執り行われ、今も『花の詩女 ゴティックメード』全国ツアー2018という感じで全国30か所での復活上映がアナウンスされています。

ソース|[映画]花の詩女 ゴティックメードを映画館で上映しよう! | ドリパス

 その少し前に『ファイブスター物語』の復活上映の通知が入り、そろそろ『花の詩女 ゴティックメード』の復活上映イベントが来るかもしれないけれど、まだ先かもしれないと、まずはこのイベントを成功させようと購入したのです。


 その後『花の詩女 ゴティックメード』全国ツアー2018が開催されるに至り、そちらへ全力シフトされた方もいらっしゃいますが既にチケットを押さえていたので詩女様への都行き(『花の詩女 ゴティックメード』の事を主人公のベリンが詩女の継承として籠っていた場所から聖都ハ・リに向かう「都行き」になぞらえてファンはしばしばこの復活上映をこう呼びます。)の前に原作の星団歴2988年に起こった出来事をフィルム化したものを観ておくのも悪くないと思い出かけました。

角川アニメ『劇場版 ファイブスター物語』

 当時人気のあった『宇宙皇子』との2本立てて公開された角川アニメの1本です。当時はまだ角川春樹が角川書店の社長であり製作も角川春樹名義になっていました。今となっては懐かしい話です。『宇宙皇子』は同時上映作品でしたが『宇宙皇子』の方がメインだったように記憶しています。というか公開当時リアルタイムではtonbori堂は観ていません。前にも書いたように思いますが、原作者である永野護が関わっていない(といっても当時勝手知ったるという感じでスタジオに出入りはしていたとか)ままに製作され、そこにどうにも違和感を感じたからです。


 実際いろいろな噂も聞きはしましたが、ともかく原作者としてしかクレジットされていない『ファイブスター物語』を観る気になれなかったのです。まあシャアのようにいうなら「認めたくないものだな、若さゆえの過ちというものを」ってやつです。

’80年代のアニメシーンがつまった作画

 キャラクターデザインと作画監督には結城信輝。最近でも『宇宙戦艦ヤマト2199』『宇宙戦艦ヤマト2022』のキャラクターデザインで活躍している結城信輝のキャラクターデザインは当時でも濃いと評判でその画力の高さは折り紙付き。原作者、永野護も彼の実力は高く評価しています。監督はやまざきかずお。アニメ『うる星やつら』世代としては押井守が『うる星やつら』から抜けた後の舵取りを任された人という認識があります。なのでちょっとした小芝居シーン(ヴュラードがソープに絡んだり、見張りがあくびをしたりして物音にぎょっとしたり)の作画が妙に郷愁を誘うのです(笑)


 また今の上映コードではちょっと無い残酷描写。ユーバーの兵隊の首が景気よく飛び、両断されるその切断面は真っ赤とかなかなかにえげつない。これも’80年代を感じさせるものでした。今ならハイライトでごまかすか血は黒いかも(^^;特別にRやPGなどはついていませんがPG-12相当かもしれませんね。実はナイト・オブ・ゴールドが登場するのは最後の最後。この登場シーンは宇宙戦艦ヤマトのように大地を割って登場するのですが、そこに迫りくるデヴォンシャ、バルンシャを一蹴。そしてバスターランチャーでエアドーリーごとユーバーを吹っ飛ばす。この辺りは問答無用で盛り上がるシーンです。

永野デザインのディテール

 原作1巻を忠実に、そしてディテールを細やかに、そして省略する部分はばっさりとテンポよくすすむ66分間。でも今回改めて観たんですが(実はドリパス復活上映で2回ほど鑑賞済みに加えリマスターBlu-rayが『花の詩女 ゴティックメード』公開記念の期間限定で再発されたものを購入しています。)これじゃない感もはっきりとしてしまうんですよね。



画像はAmazonより|『ファイブスター物語』Blu-ray(期間限定のため品切れ中)
|KADOKAWA(c)EDIT/永野護

 例えば細かいデティールはよく見ると永野印が少し足りない。(決して線が少ないとかそういうことではありません。むしろ線は多かったです。)そして肝になるメカニックデザイン。モータヘッドはキャラシートの通りではありますが、何かがちょっと違う。ベル・クレール、モーターディグやMHドーリー、エアドーリーなど、確かに原作から拾ってクリンナップされたものなんですがやはり違うものにしか見えない。実際スタッフに任せるという事で永野護は一切口を挟まなかったと聞いていますが、ディテールの差はやはり埋められないものがありました。

アドラー2988とボォス451

 それでも、丁寧に作られたアニメーションとしてラキシスとソープの物語の流れは(多少変更点はあれど)第1巻のように進み、クライマックスはしっかりと盛り上げてくれるのです。ただ話の流れも大きく違わず(の割にはログナーは出てこないし、デコースも中尾隆聖の名演があるのに最後のアレも無い。)この作品のみで大きな物語のプロローグというのは(決着を付けつつ)『花の詩女 ゴティックメード』と構成がよく似ている事に気が付きます。


 主人公とヒロイン。そして「黄金の…電気騎士(モーターヘッド)」「なんて、美しいロボット…」先の台詞は雑兵が言った台詞ではありますが。ボーイ・ミーツ・ガールである2988を永野護流に、しかもリメイクやリファインではなく新規に、そして物語に組み入れる形でやってのけたのが『花の詩女 ゴティックメード』なんじゃないかなという気付きもありました。温故知新ってやつですね(笑)

サウンド

 アニメでいいところは音が付くところです。モータードーリーの音はこれが本当にドーリーの音なのか?とかナイト・オブ・ゴールドの起動音とかもコレ?ってのは『花の詩女 ゴティックメード』を観てしまったからですが、キャラクターに関してはデコースはもう中尾隆聖、いやさフリーザ様の、バイキンマンの声ですし、ソープは堀川亮、ラキシスは川村万梨阿、アイシャは佐々木るんの声で脳内再生されるわけです。


 これはトリハロン殿下が佐々木”かぁねぇだぁあ”望であるのと同様にです(笑)、当然ツバンツヒ姐さんは三石琴乃であるように。でもヴュラードは強力わかもとこと若本規夫なんですよね。この時は二枚目半、やや三枚目よりなヴュラードがマッチした芝居をされておられて良かったです。サントラは当時の流行りのシンフォニックなもので、これはこれでマッチしていたように思います。担当された朝川朋之は『新竹取物語1000年女王』のサントラも宇崎竜童とともに共同で担当していたとか。調べると懐かしいタイトルが出てきました。

ソース|朝川朋之 - Wikipedia

フィルム上映

 懐かしくも、想い出が蘇る。いやスクリーンで観たのはこれが2度目ですけれど、そんな思いになるのは多分今回の上映が最近のシネコンで導入が急速に普及しつつあるデジタルシネマではなくフィルムであるというのも大きいかもしれません。しかもこのフィルム、傷もあったし最初の東宝マークも若干退色しているかのように見受けられましたが、だからといって観にくい訳でもなく、音も若干最初は割れていましたが、ヴォリュームを調整したのか最後の方はそこまで割れていない印象でした。


 古い作品、特にフィルム作品にある味というものはこのフィルムにあるという人も多いのですがそういった感触を久しぶりに味わった気がします。(TVでフィルム作品を観てもなかなかそういう事にはならないのです。)やはりスクリーンで上映するというのは一種独特なものがあります。そういった味わいを得られるのもドリパス復活上映ならではだと思います。また『ファイブスター物語』の上映があれば(近くなら)観たいと思いますが、その前にまずはドリパスでリクエストをしないと。またリクエスト受け付けが復活していますので、気になる方は是非投票をお願い致します。

リンク:[映画]ファイブスター物語(ストーリーズ)を映画館で上映しよう! | ドリパス

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