tonbori堂メカ語り|VF-1バルキリー(超時空要塞マクロス)| #自分を作り上げたメカ4選 其の2-Web-tonbori堂アネックス

tonbori堂メカ語り|VF-1バルキリー(超時空要塞マクロス)| #自分を作り上げたメカ4選 其の2

2018年8月21日火曜日

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 まいどのTwitterからの大喜利タグネタからの増加捕捉版エントリです(笑)今回は可変戦闘機バルキリーについて。

ソース|ハッシュタグ #自分を作り上げたメカ4選



tonbori堂のツイート。

 バルキリーと一口にいってもマクロスもシリーズを重ねて35周年を迎えますます世界観が拡がっています。なので今回は最初の作品『超時空要塞マクロス』に初めて登場したVF-1に的を絞って書いてみようかなと。いや好きなVFはYF-19とYF-21だったりするんですがそれはまた別の機会にということで、今回は最初のVFであるVF-1で語ってみたいと思います。

VF-1Jバルキリー
画像はtonbori堂撮影/所蔵、バンダイVF-HIMETAL VF-1Jバルキリー|(C)ビッグウエスト

可変戦闘機VF-1バルキリー

 以前に好きなアニメのメカを書いたエントリで触れた可変戦闘機バルキリー、『超時空要塞マクロス』から始まったマクロスシリーズのメインメカである可変戦闘機をVFと呼称するこのメカは本当に自分の中ではガンダムのMSからの進化系として兵器としてのメカのかっこよさと変形メカの合体というエポックメーキングなものでした。

VF、CB、WM、HM、ABさてなんの略?答えは…|Web-tonbori堂アネックス

 で、先にも書きましたが今回はVFの中でも最初に登場したいわば元祖VFバルキリーということでVF-1について少し紐解いてみたいと思います。ではまずは登場した作品の話からしてみましょう。

超時空要塞マクロス

 VF-1バルキリーが初めて登場したのは『超時空要塞マクロス』、初回は今でも伝説になっている一挙2話放送(1時間)いわゆる『マクロス・スペシャル』です。放送日は日曜日の午後2時。普通なら遊びに出かけている時間です。よくもまあそんな時間に放送したものだと思いますが、キー局が大阪の毎日放送だったということも関係しているのかもしれません。

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 しかし『宇宙戦艦ヤマト』を手掛けた石黒昇が監督を務め、デザイン集団スタジオぬえががっぷりと関わったという事で周囲の期待値は高かったように思います。当時のアニメ誌では河森正治のストーリーボードや宮武一貴のデザイン画稿や美樹本晴彦のキャラデザインを掲載して盛り上げていたように記憶しています。メインメカであるバルキリーは当時ぬえの新人でもあった河森正治が担当。そもそもスタジオぬえがリアルSFアクションを通す企画コンペでメインの企画の対抗馬として作った(といってもメインを立てるための半ばフェイクだった企画)が通ってしまったものだと後の資料集やインタビュー記事などで語られているのは有名な話です。

 それでもハインラインの『宇宙の戦士』のパワードスーツや宇宙戦艦ヤマト、ゼロテスターなどアニメ作品にもSFの息吹を吹き込んできたスタジオぬえが本格的にTVアニメにかかわるという事で緻密な設定がてんこ盛りでした。

VF-1登場!

 そして放送が始まりバルキリーが我々の前に登場したわけですが、初登場時は確かに度肝を抜かれましたね。米海軍の制式戦闘機であったF-14トムキャットによく似たシルエットを持つ戦闘機がロボットに変形。それまでブロックの寄せ木細工のようなロボットが変形するものの飛行機のシルエットになるというのは特撮を含めて考えるとマグマ大使を除けば殆どありませんでした。もっともマグマ大使だって何かの設定的なつじつまは吹っ飛ばした形で変形していたので、こういった現用兵器が無理のない形で変形するというのはほぼ初じゃなかったかと思います。


VF-1Jバルキリー
バンダイHI-METAL VF-1Jバルキリー/tonbori堂所蔵/撮影/(C)ビッグウエスト

 マクロスがブリタイ艦隊の斥候を感知し、南アタリア島での進宙式当日に監察軍が仕掛けたブービートラップが発動。辺りは戦闘状態に巻き込まれ主人公の輝は見物に来ていたリン・ミンメイとともに近くにあったVF-1で脱出しますが機体が損傷を受け墜落寸前、管制官の早瀬未沙よりバトロイドへの変形を促され指示のままレバーを下すとロボットとなって文字通り胴体着陸をするという一連のシークエンスは、リアルロボットながらそれまでのロボットアニメの則に則ったものでした。


 何と言っても主人公がロボットに初めて乗る場合、実は動きがぎこちなかったり、しりもちついたり、つまり「慣れてない」描写が入る事があります。そこはちゃんと抑えているという部分がリアルロボットとしても妙にマッチしていて普通の街並みが戦闘状態になりボロボロになる部分とそこへ墜落に近く落下するという絵が非常に印象に残りました。そういった緻密な画づくりとベタな三角関係(マクロスのオペレーター、早瀬未沙とアイドルを夢見ているリン・ミンメイ。そして主人公であるパイロット、一条輝。)、3人がわちゃわちゃしている間にもゼントラーディとの星間戦争が並行して描かれ、大規模な艦隊戦、壊滅する地球など意欲作、野心作でもありました。


 ガンダムの人気を受け、出てきたアニメには違いありませんが今に至る大きな大河ドラマ的な流れに、極めてパーソナルなストーリーをのっけてくるSFロボットアニメーションの元祖といってもいいでしょう。そんなマクロスのメインメカ、VF-1バルキリーは当然スポンサーがついていましたが玩具メーカーのタカトクトイスが発売した完全変形バルキリー。これは本当に良く出来ていました。

タカトクトイス

 有井とイマイというプラモメーカーとともにスポンサーの一つであるタカトクトイスがVF-1の「完全」変形トイを発売。これがまた出来が良かったのは有名な話です。ちなみにtonbori堂は玩具店で見本を触ったことがありますが、シルエットも今の水準から言えば甘いところはあるにせよ、かなりリアルに再現された当時としては画期的な変形トイでした。ともかくあまりのショックに各玩具メーカーが衝撃を受けたんじゃないかと思う位に(tonbori堂の主観です。)よく出来たものでした。


 かなり熱く語っておりますが、それはtonbori堂が当時販売されたタカトクトイスのVF-1バルキリーが買えなかったからだろうと思います(笑)そして今に至るまで実は購入していないのです。(何度かメーカーが変わって復刻再販もされた)これだけVF-1は大好きなのに(苦笑)まあそこそこのお値段だったことと、サイズが大きかった事が購入に踏み切らなかった理由なんですが。もちろんバルキリーのトイはもっているんですけれどね。それは小さいもので、台の上においても、まあまだ置き場所に困らない、そのスケールのものです。


 そう言えばバンダイからあの頃のタカトクのバルキリーから考えるとデザイナーの河森正治をもさらに唸らせる出来の超合金をリリースするようです。これも時代なのでしょうが、ますますリアルになったバルキリー―は基本のデザインがしっかりしているという証左でもあると思います。ちなみにお値段もトイとしてはちょっとお高め(笑)完全にあの頃のファンを狙いに来てるのが分かりますが、それぐらいの衝撃を与えたメカであることは間違いないでしょう。

3段変形

 後のVF(可変戦闘機)にも引き継がれていく事になる3段変形。元々戦闘メカがロボット形態に変形するというのは決まっていたそうですがこの辺り本来のメイン企画でガウォークメカを出そうとしていた事と最初のメカはいわゆるヒーローロボットのようなブロック形状のメカが変形するという、今のような現用戦闘機に寄せたものではない感じでした。いわゆる当て馬企画であった『超時空要塞マクロス』の原型が話が決まりそうになった時に企画の融合というか修正が計られたのは各資料集やムックでも散々語られています。2本脚のガウォークメカはその後『超時空世紀オーガス』のブロンコやイシュキックとして再生しましたが、VF-1バルキリーはロボットと飛行機が合体したところにガウォークネタを持ち込んだものとして産声をあげました。


 河森正治がレゴ(これはマクロスFまで作っていたとか、新作ΔではCGで各ブロックの変形具合を確認することが出来るようになったそうです)でモックアップ(検討用のモデル)を作ったというのも有名な話で、これが無かったらスムーズな変形機構の理解は難しいものがあったでしょうが、このモックアップモデルがあってこその変形もVF-1を語る時には忘れられない部分です。当然ガンダムのプラモデルが売れていた(いわゆるガンプラブーム)を受けてさらにリアルにということでこの現用の戦闘機のスタイルからロボットに変形。しかも中間形態であるガウォークというダチョウのような形態がまた妙なリアリティを産みだしていました。


 そしてマクロスに参加していたアニメーター、板野一郎による超絶なミサイル弾幕表現、そして変形しながら画面狭しと飛び回るVF-1。これが後に板野サーカスと呼ばれるようになり、ファイター、ガウォーク、バトロイド(ロボット形態)を画面狭しと縦横無尽に動くバルキリーはファンの脳裏に深く刻まれました。

海洋堂リボルテックVF-1Jバルキリー
海洋堂リボルテックヤマグチ 三段変形バルキリー VF-1J【一条輝機】
tonbori堂所蔵/撮影/(c)ビッグウエスト

 飛行機形態(ファイター)からガウォーク(飛行機形態時のエンジンを鳥脚のようにしてホバリングできる中間形態)そして白兵戦用ロボット形態(バトロイド)への変形によって一時変形ブームが巻き起こり、その流れはやがてガンダムまで波及。ダンバインがビルバインへ主役メカ交代しエルガイムがマーク1から変形するマーク2へ。そして真打ガンダムMkⅡはやがて変形しウェイブライダー形態(飛行機形態)に変形するZガンダムへとなっていったのかなあと今にして思えばWikipediaのバルキリーの記述で後のアニメメカへの影響は頷ける部分がありますが、VF-1はそのスタイリングのリアリティは完全に頭一つ抜け出ていましたね。でもまさかガンダムまでもが変形する事になるとは誰も思わなかったでしょうが、バルキリーが未だにマクロスシリーズでバルキリー(VF)たらしめているのはこの3段変形というお約束は守られているからです。なのでVFはバルキリーという事でも通じるわけです(物語世界でも現実でも)

余談、レギオスとロボテック

 ちなみに『機甲創世記モスピーダ』に登場した人類側の変形戦闘メカ、レギオスもバルキリーと同じく3段変形するメカでした。正式名称はAFC-01レギオスといいインビットと呼ばれる侵略者に対抗するために人類が開発した戦闘機アーモファイターからガウォーク形態アーモダイバー、そして人型形態アーモソルジャーへの3段変形で戦場を臨機応変に活動できるというものでした。

別冊アニメディア/機甲創世記モスピーダ/裏表紙の学研ホビーの広告、上がレギオス、下がモスピーダ。




 パクリではなくまったく別モノとしてつくられたにもかかわらず、マクロス製作と関わりの深かったアートミック制作なためなのかは分かりませんが、Wikipediaによると同作品のスポンサーをつとめた有井がマクロスシリーズの売れ行きに気を良くして同じく3段変形するメカを発注したとあります。どちらかといえばこのアニメのメインはモスピーダというバイクが変形するパワードスーツなんですが、なるほどそういう理由は今にして思えば附に落ちるところはあります。実際当時ファンの間ではアレ、パクリ?みたいな話は身近でしたけどアニメ誌とかでは全然出ませんでしたからね(というかアニメ誌は殆どコマーシャリズムに則ったものなのでそういった話はかなり後にならないと聞こえてこない)


 後に放送された(これも超時空シリーズでしたが話はまったく関係がありませんでした)『超時空騎団サザンクロス』とセットで海外では放送され(放映権を買ったところが3本を勝手にまとめたとか)ロボテックとしてリリースしたそうです。近年、たまにハリウッドで実写版マクロスの話題が出るのはこの作品なんですが今現在は権利が切れた事によりストップ状態のようで動きはない模様です。(突如動き出すかもしれませんが)今のCG技術ならバルキリーを実写で飛ばすことなど造作もないでしょうが反面、宇宙戦争と三角関係というお約束は入ってくるのか?気になる所です。と、これもまた脱線ですね(^^;

VF-1バリエーション

 VF-1バルキリーは兵器でありバリエーションが用意されていました。当時はガンプラブーム華やかなりし頃。ガンダム放送終了後もバンダイ側はモビルスーツ・バリエーション(MSV)というシリーズを展開していました。当然後発だったマクロスも最初から数多くのメカが設定されほぼ動いていないものまで含めると多数のメカが設定されプラモが販売されることになりました。主役メカのバルキリーも量産機ということで、主人公機はカラーリングと頭部の形状を変えて差異を出すことになり、一条輝の搭乗機はVF-1Jという型式が与えられ白い機体に赤いラインという如何にもなカラーリングが施されていました。また頭部の角(レーザー機銃として設定されている)は一般兵用VF-1Aが1本に対し2本にデザインされていました。


 また輝の先輩で統合軍のエース、ロイ・フォッカーの愛機はVF-1Sの型番でレーザー機銃は左右2本づつの4本とさらに上位をレーザー機銃の数という分かりやすさで表現。またフォッカー機はF-14でお馴染みのジョリー・ロジャースの髑髏を模したマーキングを取り入れたカラーリングになっているのもモデラーの想像力をかきたてるのに一役買ったのは間違いないと思います。一般兵(いわゆるモブ)のVF-1Aは1本、輝の乗機Jは2本、フォッカーのSは4本。ちなみに練習機という名目の複座型D型は2本。その後作品が映画化となに劇場版ではDではなくVT-1という練習専用機。VE-1エリントシーカーという電子戦術偵察型が登場。バトロイド形態での増加装甲と火力増強のアーマードシステムGPS-1アーマードバルキリーなども登場しました。


 これはガンダムのフルアーマーなどに対抗したのかなという気がしますが電子偵察型のレードーム(お皿型のレーダードーム)はガンダムのモビルスーツなどにもアイザックなどに取り入れられていますよね。そしてこういう型式もまたファンを想像させる余地を与えるいい方便だったと思います。そしてそれは今のVF-31ジークフリードまで連綿とあるのもいいですよね。作品の歴史とそのメカの発展が透けて見える。それもバルキリーの魅力です。

ブービーダック

 『超時空要塞マクロス』の27話というか事実上の最終回であった『愛は流れる』の前に最終決戦用として登場してきたのがコードネーム、「ブービーダック」ことFASTパック装備のVF-1、通称スーパーバルキリーでした。これはアーマードバルキリー装着時、火力と装甲は強化されるもののバトロイド形態のみという欠点を克服するために開発されたもので、見た目にも強そうなブースターパックを背負い、ミサイルポッドから乱れ撃ちできるというまさに最終決戦用の強化パーツという感じで登場してきました。


 登場の仕方も第24話で早瀬未沙のピンチにマクロスから開発最終段階に入ったスーパーバルキリーで輝が駆けつけるというもの(ちなみにその時の搭乗機はVF-1S)劇場版では既に配備済みという体で出てきて、フォッカー用のスーパーパーツはブースターパックの右側がミサイルポッドではなく2連装にビームキャノンという、これまたマニアをくすぐる追加武装が(笑)このスーパーパーツはその後のバルキリーでもお約束のように装備されVF-25メサイアに至ってはアーマードバルキリー形態でも変形出来ますという風に(スーパーパーツは別に用意されています)なりました。重武装化とバリエーションが極致に至った感がありますが、まだまだ河森正治のネタは尽きそうにありません。

戦乙女バルキリー

 そもそもバルキリーというのは北欧神話に出てくる戦場を駆け巡る女神の事で、戦士をヴァルハラに招き入れる存在…だったかな?だったと思います(ヲイ。そんなバルキリーは現実世界では超音速爆撃機XB-70のペットネームに使用されたり、アメコミの登場人物名になったりと色々なところで使われていますが、日本のアニメファンの間でバルキリーと言えばこの可変戦闘機VF-1の事であり、マクロスシリーズの可変戦闘機を指す言葉になっています。


 それだけのポテンシャルを発揮するとは放送当時そこまでデザイナーで現在はマクロスシリーズの総監督ポジションでもある河森正治は予想してたのかどうかは分かりませんが可変戦闘機の可変バリエーションは今もストックや新規を考えていて、バルキリーの資料本のインタビューにはF-104スターファイターの可変戦闘機や(これは⊿でウィンダミアのドラケンの前のVFとしてちらりと登場)AV-88ハリアーのものなどがあると発言されています。まだまだこれからも新規のVFが登場するでしょうが今VF-1をあらためて見るとよく出来ており全てのVFの則はここにあるといっても過言ではありません。バルキリーを知るにはまずVF-1だということをこのエントリを書いてあらためて思いました。

次回は

 ということでVF-1を語ってみましたがまだまだVFはそのバリエーションも含めて語る余地が多いけれど次はアーマードトルーパーについて。いやこの前書いたとこやん!って話ではあるんですが正直どうしようかと思っております(ヲイヲイ)とは言えスコープドッグだけがATではないし、想い出語りでもありますので、そっちの方面から『青の騎士』とかの事を書いてみようかな…とか。ということで何卒よろしくお願い申し上げます。

参考文献:小学館THIS IS ANIMATIONシリーズ 「超時空要塞マクロス」・みのり書房「MACROSS PERFECT MEMORY」バンダイ「アートミック・デザインワークス」ムービック『河森正治マクロスデザインワークス』別冊アニメディア「機甲創世記モスピーダ」。(リンク先はAmazonです)※なお記憶に沿っているため間違いあるかもしれません。その時はご指摘など頂ければありがたく存じます。

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