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テレ朝木曜ドラマ『ハゲタカ』第1章を終えて。|【ネタバレ】|tonbori堂ドラマ語り

2018年8月3日金曜日

drama

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 前にも言いましたがtonbori堂はNHK版の『ハゲタカ』が好きでよく観ていたんですよ。

誰かが言った。人生の悲劇は二つしかない。 ひとつは、金のない悲劇。そしてもうひとつは、金のある悲劇・・・。 世の中は金だ。金が悲劇を生む。|ドラマ劇中の鷲津(大森南朋)のモノローグより

 NHK版はもうこれに尽きるんですがテレ朝版については、これはTwitterでつぶやいたんですがこれに尽きるかなと。


 という、ことで第一章終わったところでの感想を少し書いてみたいと思います。

若干ネタバレな発言をしていますが、視聴後の話という事でご了承いただければ幸いです。

ハゲタカ/ロゴはイメージです
ハゲタカ/ロゴはイメージです



第一章終了で感じた事

キャスト

 これについては前のファーストインプレッションにも書いたように問題はない…とは言いきれないけれど、演出の問題だと思うんですよね。いや毎回、鷲津の激昂シーンというか啖呵を切るシーンが入るんですけど。綾野剛はちゃんと出来る人なので、これは100%演出の要望を全力で演じていると思っています。

 問題はそれがちょっとくどいかなとか思ってしまうのですね。実際企業買収とかきれいごとでは済まない部分が多いし、お金は悲劇を産むんですよね。これはバブル崩壊からリーマンショックを経て本当に「無い」「有る」悲劇が多数ありました。そこに『ドクターX』よろしく「私、失敗しないので」と啖呵を切って快刀乱麻に難しいオペを成功させて、ついでにそれぞれの問題までも切ってしまう(解決する)というのはちょっと違う気が…。


 当然キャストが良いので観れる訳ですが、例えば今回NHK版と違って飯島常務、失脚しましたけど、さすが小林薫。フジの『ナニワ金融道』でのマチ金の老獪な社長役と被る役作りでしたが、やっぱり上手いわけです。「ワシにとっては末期の酒や…」とかね。他のキャストもNHK版とは違いますが適材適所感が凄くある。沢尻エリカ演じる松平貴子の日光みやびホテルの会長(貴子の父)のダメ2代目に利重剛とか姉にコンプレックスをもっている妹に木南晴夏などもうバッチリすぎて他に考えられない訳です。そんな訳でキャストに関しては全く問題ありませんでした。

シナリオ&ドラマ

 となれば結局、本編(ストーリー)が問題って訳なんですよね。それはツイートでつぶやいたとおりTBSのドル箱『半沢直樹』をはじめとする池井戸作品のテイストを持ち込んでテレ朝のドル箱ドクターXで切るみたいな話だと思うんですよ。まあTBS池井戸作品ドラマも言わばドクターX味ありますよね。勧善懲悪的に誰かを仮想敵に仕立ててそれを倒す。そして次の仮想敵がと、毎回、壁を設定し、時には味方からも造反者が出たりするけど知恵と勇気とガッツで乗り越える。少年探偵団か!といいたくなりますが時代劇が辿ってきた道を辿って来ていると思います。もっとも定型ではなくそれぞれの世相をダイレクトに反映させることが出来る現代劇として、お仕事ドラマの側面や刑事ドラマのミステリー、サスペンスも含ませることが出来るお仕事勧善懲悪ドラマというのは現代の時代劇なわけです。(しかも視聴者が望む形に姿を変えることが出来る便利な)


 でも『ハゲタカ』ってのは先のNHK版の鷲津のモノローグがよく表してるように「お金」に翻弄された人々が時には傷つけ合い、時には這いつくばり、双方傷だらけになりながらもそれでも前に進む。そしてそこには綺麗ごとだけではない、時には犠牲者も出るし、虚無感に襲われることだってある。そんな重厚な人の生きざまがあるわけです。今回の木ドラ「ハゲタカ」にそれが無いとはいいませんが、展開の速さがパンチの軽さとなってボディブローのように効いてこないんです。そこがちと問題かなと。実際に貴子が、鷲津から融資を受けM.B.Oをするときの件も、ちょっと時間をかけて欲しかった。

 劇中経過時間ではあったんですが、それが効いてこないんです。正直それだけで2話じっくりかけてもいいのに、第1話バルクセール第2話の太陽ベッドの合間に語られた話が急に展開し、そして解決もあっさり。そして飯島常務の息の根を止めるのも(止まってませんけど)展開が速すぎて常務じゃないけど、ついていけまへんわ(大阪弁でついていけない)となりました。まあNHK版はCMが入らないので画面に集中できるけれど民放はCMが入る分集中がそがれてしまう上に、啖呵を切るシーンが印象強く脳裏に刻まれてしまうからかもしれません。

もう一度問う。この時代に『ハゲタカ』をやる意味。

 正直、分からないんですよ。平成最後の夏に、平成を総括するみたいな事を製作意図として言っているというのは伝え聞いているんですが…。どうなんでしょうか。ここまではダイジェスト感が強い展開でした。第2章はこれも原作にある展開をアレンジしてきて進むと思います。(海外が舞台の展開はしないようですが。あとハゲタカ映画版の展開は入ってくるのか?な)多分肝は第3章として予定されている第1話で鷲津が町工場にいたあそこに繋がってくるオリジナル展開(原作者協力)になると思うんですが…。ともかく外連味たっぷりな第2章からどう今現在に繋がってくるのか?最後まで見届けたいと思います。

※今回テレ朝版を観た人も出来れば観て欲しいNHK版はNHKオンデマンドで配信中です

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