※【月刊ニュータイプ2018年9月号『ファイブスター物語/FSS』の内容についてネタバレしています。】
今回のエピソード、重要ポイントはもう一つあってそれは何かというと「エトラムル」です。第1巻でヘルマイネの頭部ファティマシェルに収められた「エ・ト・ラ・ム・ル(無形ファティマ)」はただMH(当時)をコントロールすることだけを考えているとソープに言わしめた事を思い出させます。
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そのとき、これは一番自然な形のファティマかもしれない、ファティマをめぐって人が争うことも無いとも語っていました。そして時代は新時代への胎動を予感させるバルタ―博士のGTMデモールへという訳です。そんなエトラムルですが、レーベンハイトの持つ、バランシェ・エトラムル「ロンド・ヘアライン」としてドクター・ビリジアンの製作したブラス・シャーレ型が登場しました。という事で9月号で2本目となってしまいましたがエトラムルの事とかを書いてみようと思います。
エトラムルとGTMの未来
レーベンハイトとロンド・ヘアライン
ロンドという名前がついているからといってジュノーに関係…してないとも言えないんですよね。なんといってもこの子のマスターはマヨール・レーベンハイト。名前からは分かりませんがジュノー・コーラス王朝のバランカ家の王子なのです。もっともアルルの弟子として王家を出ているようなんですが…実は謎が多い男でもあります。その後イズモ・アストロ・シティの滞在を経て傭兵としてそれぞれの道を歩み始めました。いったいなんのためにアルルに付き従っていたのか?バランカ家の王子としてなのか、それとも?そして現在ではコーネラのスケーヤ騎士団の騎士団長となっています。
そしてアルルからは「そなたには全ての剣技を伝えた、ロンドの嵐を吹き荒らせ」と言われたというのもアルルがハリコン直系なのでハリコンの孫弟子…といっても騎士の弟子ってのは、それで強いのかというのもあるし難しいところですけど、相当な使い手であることは想像に難くないでしょう。そんなレーベンハイトのファティマ、ロンド・ヘアラインは前にもちょっと書いたんですが触覚をもった頭部を持っていて、1巻のミジンコのようなエトラムル・ファティマとは大きく違った妖精のようなシルエットをもっています。基本的には感情などは存在しない…はずなんですが、なにかありそうなそんな予感さえもあるロンド・ヘアライン。その実力は本編では未だ未知数ですが、アルルとの子弟対決も現実味を帯びてきたこの状況、どのようなものか見れるのは、そう遠くはなさそうです。
ビリジアンとブラス・シャーレ型
そしてビリジアンがデモールのために開発した新規のエトラムル・ファティマ、ブラス・シャーレ型も初お目見えしました。生体演算機としてのファティマとして最低限の生命維持が必要な器官しか持たないエトラムル。見た目は先にも書いたミジンコ体型が殆どだったようなんですが、やはりルックスは大事という事で生命維持に必要なエネルギーを送るコードや羊水の中で呼吸するためのエラを廃止。代わりに側頭部にマルチキャブレターを配置して培養液を吸収するチャンバーを持たせたのです。このマルチキャブレター、自動車、バイク好きならビビッとくる名前ですよね。キャブレターとは自動車に使われる装置で気化器と訳され、空気と燃料を混合する装置です。エンジンのマニホールドなどに設置されシリンダーに燃料と空気が混合した混合気を送り込むのですが、電動などではなく重力と機械動作のみだけで作動する装置です。もっともブラス・シャーレの持つマルチキャブレターがそのような装置かどうかは分かりませんが、見た目はキャブレターの上に良く取り付けられてるエアフィルターを思い出させる形状。もしくはバイクのマフラー(消音器)、バイク、自動車好きのクリス(永野護)らしい設定だなとニヤニヤしました。そういう装置とともにむき出しの生体器官もカバーで覆われ見た目はロンド・ヘアラインとは違いますが随分と違った親しみやすい形状を持つ事となりました。
ビリジアン本人はバルタ―博士のデモールにわざわざ新型エトラムルを作ったのは「己」の可能性を広げてくれるから。つまり自分のためになると判断しているから。ここは己の欲望に忠実なカリギュラらしい考え方であります。手助けされている方は過分に思っていても、それは自分がやりたことであり、その先への可能性を広げてくれるとなら例え悪魔とでも手を結ぶ。そんなところでしょうか。ですがこの先デモールとブラス・シャーレはビリジアンの予言どおりに新時代のGTMにエトラムルとして長きに渡り星団の主力となる、その発端をも見ている訳なんですよね。
ショウメ争奪戦と予告されていましたが、その裏では星団の用兵戦略などが一変する実験でもあるというわけです。とはいえミラージュがツァラトラ出したら一発で灰燼と帰すわけなんですが(^^;とは言えコーラス6の時代にはデモールは主力の座に就き、A.K.Dのゴーズの尖兵として恐怖を振りまくのかと思うとちと思うところがありますね…。
エトラムルの鍵を握る男、ドクター・ビリジアン
じゃあ、AD世紀の頃のシン・ファイアに戻せば!ってなるんですけど、やはりウラニウム・バランスの「生体演算理論」ってのがGTMのコントロールにはシン・ファイアより一朝一夕を行ってると考えるべきなのでしょう。そしてその基礎にも通じているビリジアンはファティマは優れているのは認めるが、効率をもっと上げることは出来ないのかという、彼なりの結論を出したいのかな?とも。ただ騎士とファティマの相性による直感の選択反応の差が今まで埋められなかったけれど、感情コンバーターでどこまで詰められるか?そのデータが欲しいのだろうという事でもあります。今のところいい人っぽいし、マウザーと漫才しているおっちゃんですが、この人もカリギュラメンバー、その顔を少し見せたことで今後の彼の行く末も…というか彼が最初に紹介されたのはDESIGNS1なんですよね…。そこを考えても今回のエトラムル含めて興味深い回でした。
ビリジアンもマウザーも、それからツバンツヒもだけど、科学者の本分に忠実だなぁと思います。
返信削除所謂、象牙の塔的側面があるなぁと思います、カリギュラ。ちょっと真賀田四季研究所を連想しました。
澤木さん>
削除クリスの考えるサイエンティスト像ってのがよく出ていますよね。そしてそれはバランシェも、モラードもそうなんですよね。いわんやミースもそういう狂気をはらんでいるのはカイエンが指摘した通り。
とは言え欲望に忠実なだけストレスフリーな気がしてたけど、ベルタの尻に敷かれてるとかマウザー本当に自由人だなと思いました(笑)
あと確かに真賀田四季研究所っぽさはありますねえ>カリギュラ
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