俺のは戦争じゃねえ、戦さだ。|『RE:BORN』|感想【ネタバレ注意!】-Web-tonbori堂アネックス

俺のは戦争じゃねえ、戦さだ。|『RE:BORN』|感想【ネタバレ注意!】

2018年1月14日日曜日

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 この映画の主演、坂口拓改めTAK∴は『VERSUS』で知って、その後もこの『VERSUS』の面々は何かしらと気にかけて観ていました。例えば最近では『コードネームミラージュ』の山口雄大監督は『VERSUS』の第2班監督を務めてTAK∴の主演作『地獄甲子園』も監督しています。TAK∴がまだ坂口拓だった頃にはスピードスターとも言われていたほどのアクション俳優だったんですが、少し前に引退。でもこの作品で復帰というアナウンスが2年か3年前に流れて、それは気になるなと思っていたものの劇場で鑑賞する機会を逸してしまい、うーんと思っていたらひかりTVのVODサービスで配信レンタル出来るという事で早速観ました。

動画はYouTubeより|『RE:BORN』予告編|シネマトゥデイchより
|配給 : アルバトロス・フィルム©「リボーン」製作実行委員会

アクション映画というより戦闘映画

 ファーストインプレッションはアクション映画というよりは、これは戦闘映画だなと。一緒やんって言われるかもしれませんけどそう言いたくなる映画だったんです。ではその辺りをちょっと書いてみたいと思います。

ストーリー

 国防軍特殊部隊が屋内での演習中に突如壊滅する事件が起こった。謎の男がたった一人で精鋭の部隊を一人で壊滅させたのだ。


 それからほどなくした石川県加賀市。加賀市でコンビニ店員をしている敏郎はサチという少女と2人で暮らしている。カウンセラーにかかっており精神安定剤を服用しているが見た目には普通の人物で、彼のために大けがをしたという健二という青年をたまに見舞っていた。

 そんな敏郎の周りで殺人事件が起こる。やがて謎の集団が敏郎の命を狙うようになる。ある時は白昼堂々と。ある時は夜陰にまぎれて。そんな彼らを敏郎は何事も無いように撃退していく。敏郎は元傭兵で彼の命を狙っているのは彼が元所属していた部隊を率いていたファントムという指揮官。キャスパーやニュート、イーグル、フォックスなど部下を投入し敏郎を狙うのは彼が部隊が行っていたあるビジネスを潰してそこから一人の少女を連れ出していたからだ。


 敏郎をおびき出すためにサチを誘拐したファントム。その真っ只中に飛び込んでいく敏郎。待ち受けるのはかつての戦場での相棒。最強の兵士アビス・ウォーカー。全てに決着をつけるべく再び戦場に舞い戻る敏郎。生き残るのは果たして誰だ?

画像はAmazonより(リンクも)|『RE:BORN』|(C)「リボーン」製作実行委員会
画像はAmazonより(リンクも)|『RE:BORN』|(C)「リボーン」製作実行委員会

戦さ人

 先にも書きましたけどは坂口拓は数年前に一度俳優業を引退しています。近年TAK∴名義で復帰したのはこの作品にも使われてるウェイブという技術とそれを含めた戦闘技術をゼロ・レンジコンバットを習得したことに関係してるようです。ちなみに坂口拓が匠馬敏郎名義でアクション監督、アドバイザーなどを務めた『HIGH&LOW』シリーズでその格闘術の使い手である雨宮兄弟の指導をしたのは彼です。

 実はこの俳優業を引退していたものの復帰したのはこの作品の戦技指導をしている稲川義貴氏との出会いがあったからだそうです。稲川氏の考案した戦闘術ゼロ・レンジコンバットは古流の武術やカリなどの西洋武術を取り入れて新たに産み出されたもので、その格闘術を産みだした稲川氏と坂口拓の出会いがこの作品を産みだすきっかけになったとか。


 この辺りは公式サイトに2人のインタビューがあるのでそちらを読んでいただければ。坂口拓がかなり惚れ込んでいるみたいで、従来のアクションからこれで一つ光明が見えたのではないかと。元々スキルはあったけどしっくりくるものが無かったところにこれだという感じで。しかも今回坂口拓の身体のキレが凄かった。これまでも坂口拓出演作でも彼は海外ではスピードスターって呼ばれるほどのキレをもったアクションアクターと言われていますが、今回はそういうキックの速さ、パンチのスピードのキレじゃなくて見切りや動き方のキレ、初動の速さ印象づける動きをしていたように思います。


 それを駆使する時の坂口拓、いやさTAK∴の目は完全にそっちの人だったのです。もともとそういう素質があるのかもしれないけどスイッチ入ったみたいな感じがありました。そういう意味で印象的なのが『俺のは戦争じゃねえ、戦さだ。』って言うところ。そうやって道なき道を切り拓いてきたのかなと(彼の名前の拓は祖父がそういう想いを込めて付けたとか。(以前に『VERSUS』のコメンタリーかなにかで聞いた覚えがあります。)そのTAK∴が今回切り拓いたのは、新しいアクションを表現するということだったのかなと感じました。


 ストーリーも過剰に説明せず、必要最小限の情報だけというのも好感を持てたし、敏郎が通う精神科のカウンセラーとのやりとりとか、街中での襲撃者を倒すところでも身体に怪物を棲ませている感がなかなか不穏な感じで良かったし、そしてラストの余韻もアクション映画というかあの手のアウトロー映画の常套手段なんだけどやっぱりカッコいい。

キャスト

 キャストには主人公の敏郎はTAK∴、最強の敵アビス・ウォーカーには戦技指導の稲川義貴、敏郎を狙う傭兵部隊の指揮官ファントムに『メタルギア・ソリッド』のソリッドスネークの声優でお馴染みの大塚明夫。刺客にいしだ壱成、篠田麻里子。また傭兵部隊にはTAK∴と組んでいるアクションアクター、三元雅芸、屋敷紘子、坂口茉琴。敏郎の友人、健二役に斎藤工、カウンセラーの先生にウルトラマンマックスの長谷部瞳。


 特に斎藤工は殆どアクションしないんだけど一瞬で2人を車いすに引きずり倒す部分とか敏郎に戦って死にたいと懇願するシーンとか漢って感じで良かったですね。それと忘れちゃいけないサチ役の近藤結良ちゃん。いい目をしてます。子役が実はカギを握っているんですよね。余談になりますがファントム役の大塚明夫は久しぶりに実写で観ました。実は大塚明夫は幾つかの実写作品にも出ているんですがtonbori堂が観たことあるのは随分前の映画『ブリスター』って作品でそれ以来です。最後に敏郎とファントムが対峙するシーンはちょっと痺れましたね。あの声でじわじわとって感じで。そりゃアクション系に対抗するならボイスでしょって感じがたまりません(笑)


 監督は下村勇二、谷垣健治とともにドニー・イェンのアシスタントを務めた香港仕込みの今の日本のアクションの流れの元にいる人といってもいいでしょう。『VERSUS』のアクションコーディネーターを務めていました。いわばアクションを知り尽くした男。今回はアクションは激しいものの抑制の効いた画作りでした。それがまたパトレイバーや押井守作品でお馴染みの川井憲次の音楽とマッチしていました。この映画はTAK∴という表現者の戦闘をスクリーンに焼き付ける作品で、そこにストーリーが乗っかってる映画なんですけど、ラストの余韻がいいので『VERSUS』からおっかけてる人や坂口拓ファン、アクション映画ファンは観て損なしと思います。

ソース|下村勇二監督作品「RE:BORN」公式サイト | 出演 TAK∴(坂口拓)いしだ壱成 他 REBORN

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