スリルジャンキー『奥様は、取り扱い注意』【ネタバレ】

この愛は本物か?それとも偽物か?

この秋クールのドラマは『奥様は、取り扱い注意』『監獄のお姫さま』『刑事ゆがみ』の3本に集中して観ています。まあ相棒は観たり、観なかったり、科捜研もですが。(安定感と基本1話完結なんで途中から見ても大丈夫なため)

『奥様は、取り扱い注意』
画像はamazonより|『奥様は、取り扱い注意』|綾瀬はるか、西島秀俊|(C)NTV

そんな中『奥様は、取り扱い注意』が最終回を迎えました。このドラマを見始めたのは春クールで一番入れ込んで、各話毎にエントリを上げたくらいの『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』、そして先ごろSPドラマが放送された『BORDER』の金城一紀が原案・脚本だったからです。

水曜10時の日テレドラマは基本的に女性をターゲットにしているのですがたまにサスペンス刑事ドラマも放送したりしますが、基本的には女性に共感しやすいドラマ作りをしています。だからといって冒険しないわけではなく時にはグイグイ押したり、跳ねたりとバラエティーに富んでいるのが特徴ですが、それにしても、あちらに越境したり革命など剣呑な世相を反映したポリティカルフィクションとハリウッド映画にも負けないアクションスタイルが得意な金城脚本のドラマが水10っていうのはどうにも違和感がありました。

ですが初回に受けた感じは導入こそぶっ飛んだものの、後は奥様がそのスキルで町内とトラブルを解決するちょっぴりコメディタッチなドラマだったのです。



『奥様は、取り扱い注意』

初回観たときは訳あり主婦っていうにはかなりヤバい過去を持った(某国の特殊工作員っていうのは、菜美の過去語りを観るに菜美の身体能力を見てリクルートする男性が白人系なので、ロシアがリクルートして特殊工作員にという感じと妄想。もっともCIAやイギリスMI6だったりすると面白いかもしれませんが。基本、日本を始め中国などアジアでの工作に従事していたことが伺えます。)主婦が、そのスキルを活かしてちょいとばっかし町のトラブルを解決していく、いわば『三匹のおっさん』とか奥様は魔女スタイルの『ハングマン』?とか海外ドラマっぽいなあって思っていましたが…まさかそういう方向に着地するとは。

日本のドラマは10回(9回打ち切りで8回もあるし11回の場合も)が基本です。何時からこんな短期で回すようになったのかは、多分フジの月9がこのフォーマットを採用しているからでしょうが、短い間にも、『奥様は、取り扱い注意』はなかなか面白い作劇を展開していきました。

実は元スパイや元特殊部隊隊員がっていうのはフィクションでは無茶苦茶多いパターンです。アーノルド・シュワルツェネッガーの『コマンドー』も元軍の特殊部隊指揮官が引退していたものの過去の因縁でという話でしたし、普通の主婦が実は凄腕のといえば『ロング・キス・グッドナイト』ってのもありました。こちらは記憶を失ってという入りでしたけどね。

で、旦那様が金城脚本作品の前作『CRISIS』で公安捜査官の田丸、そして別のドラマ『MOZU』では主人公、公安のエース、倉木を演じた西島秀俊。綾瀬はるかとは『八重の桜』では兄妹で競演ですが、前作のイメージもあり『ダブルフェイス』で潜入捜査官もやっているので絶対に裏があるぞと多くの視聴者が予想。結果その通りというのは…うん、まあひねりは無いけどみんなそれを期待していたので、期待通りでした!みたいな展開でした(笑)

当然、旦那が公安捜査官、そして奥様は特殊工作員となれば『Mr.&Mrs.スミス』を思い出した人も多い事でしょう。水10のテイストに合わせてはいましたが激しい夫婦喧嘩シーンは、そうそうコレコレ、これを待ってたんですよ!って人がTwitterの #奥様は取り扱い注意タグにいっぱいいらっしゃいました。

劇場版『MOZU』
画像はamazonより|『MOZU』|西島秀俊、香川照之、真木よう子|
(C)2015劇場版「MOZU」製作委員会 (C)逢坂剛/集英社

町内のトラブルシューター?いえスリルジャンキーです

元工作員だった菜美は死を偽装する前から実は公安にマークされており、自身の死を偽装した事から次の任務ではないかと思われていたのですが、突如受付嬢をはじめたり合コンに参加したり、どうやら足を洗うためかと?と考えられたもののそれも偽装ではないかということで倉木じゃなかった伊佐山が接触するがなんと一目惚れという、まあそれはそれで有りだと思います。

恋に落ちるのはそんなものは理屈じゃないですからね。実際に菜美の方もそうだったことをたびたび語っています。とは言え今まで必要最低限の殺伐とした人間関係しか構築出来てなかった彼女が、ある種ママ友という濃密な人間付き合いを始めることにより、それぞれの隠してる事や町内のトラブルに徐々に首を突っ込んでいくことになります。

というか初回に…主婦業に飽きたって言っちゃってるんですよね。ってことは最終回でも旦那様にしっかりと指摘されていましたが、これ平凡な生活に飽きてしまって刺激が欲しくなったという典型的なスリルジャンキーなわけです。

このネタも本当に多くて元殺し屋が結局殺しの世界に舞い戻る。いやもともとそれしか出来ないっていうのはクリント・イーストウッドの傑作『許されざる者』がそうです。元無法者のガンマン。マニーが、元の相棒に誘われたといえ結局殺しの道に戻るという話でした。結末はちょっと違いますが。

トリオ・デ・主婦

菜美をはじめとする3人、お隣さんの優里(広末涼子)と京子(本田翼)もこの2人もこのドラマを多彩にした貢献者です。普通の人だけど、それぞれに事情を抱え込んでいるというのを1話の最初に見せておいて、それを複線として最後に持ってくる事で、単に訳あり主婦の闇の仕置き人っていうだけのものじゃないストーリーを紡ぎだしていました。

キャリア志向だったのにできちゃった婚(しかもそれは旦那の企みだったという事が明らかになるなど、そういう部分が物語の陰影を濃くしています。)をして、子どもの手がかからなくなったのを機に外に出たいと夫に訴えるもののそれが叶えられず、つい一線を越えてしまうなど、綺麗ごとだけでは終わらせない部分は金城さんらしいなと思いましたね。

それは京子の方もそうでちょいマザコン気味な夫と、子どもが出来ない事を悩む京子。そしてどっしりと構えて泰然自若な姑(銀粉蝶)、これをベテラン銀粉蝶さんが演じているからこそ、実は登場人物中一番強いのはこのお姑さんではないかと思いました(笑)

ラスボスと思われていた優里の一線を越えた件にも関わっている主婦売春の元締め役玉山鉄二。ラストアクションは確かに次々と綾瀬はるかが手下をのしていくという長回しアクションで凄いものがありましたが、開けた場所を使ったため(これは狭い場所だと何をしているのか分からないという要望もあったのかも?)少々間伸び感がありました。

そしてラスボスもあっさり見逃してしまうという。いや奥の手だしてくださいよってのはあったんですけどね。ただラスボスが菜美にお前はこっち側の人間だっていうのは「つまんねえな、なにか面白い事が起こらねえかな」っていう台詞を終始いってたことと伊佐山が菜美に指摘したことにかぶってきていましたね。

銃声そして、

ラストシーンは本当に難しいもので、正直に言うとあれはありがちな終わり方だなと。ようするに観ている貴方の想像(妄想)に委ねますというやり方です。

銃声、そして暗転、そういう終わりは度々使われているように思います。ただ昨今の傾向はなんらかの決着が欲しいというのが強いものです。そうなるとあの、どうなったの?という事で穿った見方で、映画化?続編?Huluで続きをドラマ化?という話まで(Huluは日テレが現在運営中でオリジナルコンテンツだけではなくドラマのサイドストーリーをも配信しています。)となると、これまた「タダ」問題にもかかわるけど、まあドラマはドラマで終結させてくれというのは分からないでもないです。

この後を予想して見ると、愛はあるけどスリルも捨てられない奥様と旦那様はある種この後『Mr.&Mrs.スミス』っぽくなるんじゃないですかね。始まった当初からそうではないかと睨んでいた方も少なくないようですし。ただそれだと普通の「主婦」との接点が完全に失われてしまうので、やっぱりお隣トリオの楽しみが損なわれてしまうのではと思ったりもしますが、実は本編中で「これが最後」の言ってたんですよね。だからそっちの方に振り切ってアクション増量な作品でもよい気がします(笑)そしてラスボスは玉鉄ではなくビートたけしでお願いします(MOZUかよ!)





広告
広告

0 件のコメント :

コメントを投稿

お読みいただきありがとうございました。ご意見などございましたら、コメントをよろしくお願いいたします。