昨日Twitterのタイムラインでラスベガスの乱射事件で犯人が使用したと言われるライフルが分かったというツイートが回ってきました。この件では憶測に推測が飛び交っていますがこの回ってきたツイートも真実かどうかは分かりません。
画像はイメージです/Pixabay |
犯行には軍用ライフル(民生品)が使用された。
ただAR15系のライフルが主に画像として紹介されておりニュースでも報道された監視カメラも犯人の持ち物として画像にあったので(そのものずばりかどうかは不明ですが)少なくとも回って来たようなツイートの写真にある銃と近いモデルが使われた可能性は高いとは思います。ワシントンポストのつたえるところによるとモデファイされたAR15系の自動小銃が使われたとありますのでツイートにあったアサルトライフルであったかも知れないということです。
また記事には、この手の武装をフルオートにする方法があるというように伝えています。軍用のアサルトライフルは民間向けで販売される際にフルオートで射撃できないようにして販売されますが、それをフルオートで射撃できるように改造する方法です。具体的にはトリガー(引き金)にとりつけるクランク、指で引くより素早くトリガー引ける道具で40ドルほどで購入できるとか。しかもこれは合法ということです。
ソース|ワシントンポストWhat kind of guns were used in the Las Vegas shooting? - The Washington Post
AR15系というのは米軍の制式アサルトライフル(自動小銃)M16として使用されており、現在では狭い車内やヘリコプターで取り回ししやすいカービン(騎兵銃)化されたM4がメインとなっています。上に掲載したイメージ写真もM4カービンですが、このタイプはクローン(同じ外観や同じ弾薬を使用する)タイプが多くドイツのヘッケラー&コック、スイスのシグなども生産しています。レイルシステムという多目的マウントを装備し、より銃を固定できるバイポッド(2脚)や銃を安定させるための握りフォアハンドグリップ、より狙いのつけやすい光学サイト(ダットサイト)、レーザーポインターなどが容易に取り付けられるようになっています。
これらを買う事は銃砲店で購入できますしなんとはなればネットでも購入できる事は出来るとも記事は伝えています。(単純に宅配されるというわけではないようですが。また州ごとの購入にかんする条例許可などのこともあります)元が軍用でもセミオートならばスポーツ射撃用に購入している人はアメリカには多いという事です。実際に銃を使った競技会なども多く催されています。
セミオートマチックをフルオートのように撃つ方法
単発銃をフルオートで撃てるテクニック「バンプファイア」が理解できる秒間2000コマのハイスピード撮影動画 - DNA https://t.co/u0dBp72RyH なお特別な道具なんぞなくてもこうすれば擬似的にフルオートで撃てる。どう規制したらよいのかわからんよね。— chaka@ニュースサイト「DNA」 (@dna_chaka) 2017年10月3日
こうなると本当に全部規制しないと無理ってなりそうな勢いですが、それでも昨日、書いたように所持はアサルトライフルなら1丁までに規制する、装弾数を規制する(違法なものが出てくるにしろ基本的には規制)などまずは着地点を探って規制するのが遠回りに見えても近道じゃないかなと思います。当然アメリカのガンマニア、ガンナッツは抜け道を探ろうするでしょうが、すくなくとも安易に手に入らなければ思いとどまるケースもあるのではないかと。ちなみにネバダ州は先に書いたエントリのとおり規制が緩い州とのことですがサイレンサーも連邦法の規制に準拠したものなら購入が認められるとあり、本当に緩いんだなと思いました。
ちなみにカリフォルニア州では禁止されていたと思います。(ワシントンポストの記事には明言されていませんでしたがマガジン(弾倉)の弾数規制はあるようです)またブラックジャックやヌンチャクのような打突武器も確か隠し持てて音もなく人を殺傷できるからということで禁止と昔聞いたことがありますが今はどうか分かりません。だいたい武器というものは正規のルートから次第に道を外れるものなので最初の正規のルートで絞ればちょっとはマシなんではないだろうかと言うのがtonbori堂の読みです。理想論かもしれませんが。ただ州ごとの差異もあるので一朝一夕にはいかないでしょう。それにトランプ大統領がこの件で積極的に動くとは思えないし。セルフディフェンスという概念がある限り難しいとは思いますが拳銃や護身用の武器は認めても少々過剰じゃないかという武器や火急的に必要のない武器はなんらかの規制をとるのがいいのではと思います。
パニック・イン・スタジアム
不謹慎ですがラスベガスの一報を聞いた時はこの映画を思い出しました。正体不明の謎の男がロサンゼルス・メモリアル・コロシアムでアメリカンフットボールの試合中に時計台に忍び込み、ライフルで観客席を狙っているのが分かり、秘密裏にLA市警、SWATが動きますが結局男は試合終了前に観客席に向かって発砲、パニックになるという群像劇でした。後にNRA(全米ライフル協会)の会長となるチャールトン・ヘストンが主演というのも何かの因縁でしょうか。
アメリカ人は心理的にそういう恐怖をずっと持っているのに何故か銃規制が高まらないのは先のエントリで書いた通りですが、さらに前にテキサスタワー乱射事件というものがありテキサスにあるテキサスタワーから大学構内を銃撃したという事件がありました。犯人は警察によって射殺されましたが、『パニック・イン・スタジアム』もジョン・カサベテス演じる隊長率いるSWATが出動して対峙するシーンが描写されています。
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結局危険と認められたらアメリカは撃つんですよね。そこのところは最近の世情を重ね合わせると少し怖い所です。銃と生活が切っても切れないところにあるのもまたアメリカ。強盗犯が押し入った際にレジ下のショットガンで反撃して撃退したリカーショップの店主の話や、反対に銃で脅かされてとっさに銃を抜いために殺されてしまったマーケットの店員とか、実際の話ではないですが似たような事例は探せば出てくるはずです。銃が無いと不安、誰かに襲われるという恐怖があるからと言ったのは『ボウリング・フォー・コロンバイン』のマイケル・ムーア監督ですがその恐怖がセルフディフェンスとなっているのかもしれません。
『パニック・イン・スタジアム』は最後にこいつはいったいなんなんだというところで終わります。ラスベガスの犯人は父親はFBI最重要指名手配犯だったこともあるそうですが本人は見た目には裕福な人物でベガスでギャンブルに興じているリタイアした男だったという話です。弟さんも全く心当たりがないという話ですし、精神病での既往歴は無かったとも報じられています。本人がかかっていたか?いないかは分かりませんが(病院にいかなければ既往歴はつかない)そうなると高まるのは疑心暗鬼。銃を大量に買い込んでいるとかなると自警的な動きでまた世情があれるかもしれないと思うとなんとも。これもまた見えない恐怖、テロですね。
あとショービス界にも影響が出ています。ネットフリックスで2017年中に放送予定の『パニッシャー』のニューヨークコミコンでのパネルは中止になりましたし、ブレードランナー2046のプレミアでのレッドカーペットは中止になりました。
ソース|銃撃事件受け『ブレードランナー 2049』のレッドカーペット中止に - シネマトゥデイソース|'Marvel's The Punisher' Panel Pulled From New York Comic Con Following Las Vegas Tragedy
他にも見えないところで影響が出てくるでしょう。銃撃事件が起こるとどうしたってゲームやそういう暴力的な映画にも非難が集まりますから。因果関係はなくてもです。そのためにもそういった事件を減らせる方向へ向かってほしいなと切に願います。と、最後にアメリカ発信の記事では映画評論家の町山智浩さんの記事ともに参考にさせていただいているニューズウィークの冷泉彰彦さんの悲観的な観測の記事が入ってきました。
これがアメリカのリアルなのかと思うと暗い感じが否めません。
ソース|ラスベガス乱射事件、史上最悪の犠牲にも動かない銃規制議論 | 冷泉彰彦 | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト追記20171006:
今回の銃撃に使われたの『バンプストック』(バンプファイヤーと同じ理屈のシステム、今のところは規制はかかっていない)を規制をNRAが提案したという話が報じされています。
ソース|全米ライフル協会、連射装置の規制勧告 ベガス銃乱射で異例の声明 写真5枚 国際ニュース:AFPBB News
銃の所持ではなくオプションを取り締まりましょうという部分ですね。根本解決には遠いですがNRAもこの状況を憂慮しているというのは少しだけ前進と捉えた方がいいと思います。ただNRAは付属品だけですませたいっていう考えだとは思いますが。
追記20171008:
バズフィードジャパンの記事のリンク
ソース|バズフィードジャパン:専門家にきく。銃で死ぬ人をなくすために大事なこと
米国バズフィードの記事を翻訳したものですが、警察や州政府もてをこまねているわけではないという。そして専門家からの提言などを紹介しています。
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