tonbori堂は基本的にガンマニアなので、こういう事件が起こるといろいろ考えてしまいます。エキブロ時代にもこういった事にちょくちょく言及はしていましたが、最初に言ってしまうと、米国もそろそろ銃規制をする段階にあると思います。最大の圧力団体NRA、全米ライフル協会が強力なロビー活動を行っており、銃規制が進まないという現状はここ10年以上に渡って議論されてきた話で、日本人の留学生が射殺されたバトン・ルージュ事件やコロンバイン高校の乱射事件などが起こるたびに銃規制が叫ばれ、そのつど、NRAが銃を持った危険なやつらには銃を以って対抗しようという話で堂々めぐりをしています。しかしそろそろ我慢の限界でもあるのではないかと今回の事件で思いました。
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銃天国なのか?銃地獄なのか?
この事件で銃規制の機運が高まっても、100%無いと思うんですが共和党側のトランプ大統領が銃規制しますといっても事はそう簡単にいかないでしょう。党内基盤が脆いトランプはNRAの支配力の高い共和党ではその顔色は気になるはずです。従って銃規制がすぐにどうにかなるかは無いでしょうが少なくとも自動小銃の規制は必要になってくるのではないかと思います。
軍用の自動小銃をセミオートマチックだけにして販売するというのはアメリカでは普通に行われており、殆どの場合は合法です。しかもそういった小銃は合法的にフルオートに改造する事も出来ます。元がフルオートの軍用小銃なだけにちょっとしたことでフルオートなみに射撃が出来ることは度々問題にはなりますがその度に却下されている経緯があります。他方、サブマシンガン(短機関銃)という拳銃弾を使うフルオートの武器はほとんどの州で携帯も所持も禁止されています。理由は「隠し持って運ぶことが出来る」武器という事だと聞いたことがあります。大量に殺傷できる武器を隠し持って運ぶことが出来るというのは犯罪を誘発することになるといった理由のようですが、それよりはるかに威力の高い見かけは軍用の自動小銃が禁止されないのは、国民の武器を持つ権利と言うのがあるからです。
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アメリカの映画やドラマなどで度々繰り返される言及されることで有名な合衆国憲法修正第2条です。
合衆国憲法制定(1787年)から4年後の1791年に追加された条項。「規律ある民兵は自由な国家の安全保障にとって必要であるから、国民が武器を保持する権利は侵してはならない」と記された。 (2007-04-18 朝日新聞 朝刊 3総合)コトバンクより
民兵というのはミリシアとも呼ばれ、独立戦争時にはミニットマンと呼ばれる民兵がいました。開拓時代や近代までその伝統は続き、現在は州兵がその役割を果たしていますが、政府を信用しない極右団体や保守系団体が民間人として武装して自警団を組織したりするのもこの伝統の名残りです。もっともこれ以上のオーバークオリティの武器を持つことにより激化しているとも言えなくもないんですが、日曜日に家族でシューティング・レンジ(射撃場)へピクニック気分で出かけ、ライフル銃やピストルを撃つというのが普通という土地もあるわけです。
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田舎の方では害獣もいるし駆除のために銃をつかったりすることも普通にあります。そのためきちんと学ぶ必要があると幼いころから銃を道具としてちゃんと扱えるように叩き込むとか。反対に都会でセルフディフェンスのために銃を購入して弾を込めて置いたら子供が弄って暴発という痛ましい事故もあります。日本のように完全に武器がお上によってコントロールされている(ちなみに戦争前では許可をとれば拳銃を所持することも出来ました。今は競技者など限られた人たちのみです)国ではピンとこないでしょうし、書いているtonbori堂でさえもそうです。
ただ猟師さんなど銃を扱う人たちならばそれなりに道具としてその危険性も理解しているでしょうが、反面武器のもつ危ない魅力に取りつかれ道を踏み外す者がゼロとも言えないのも事実です。また道具として、自衛のための武器として浸透しているアメリカで一斉に銃を取り上げるようなそんな規制は多分反発を招くだけでしょう。
溢れる銃
人口単位当たりでも単純な所持数でもアメリカはトップです。それだけ銃器メーカーも産業として確立してしまっています。近年では売れ行きも鈍化していると言いますが、それでも銃本体にカートリッジ(弾薬)などなど大きな市場をかかえているのもまた事実です。事件のあったネバダ州は銃の規制が全米でもかなり緩い州です。年に一度の銃器の見本市、ショットショーは事件のあったラスベガスで開催されています。いわば銃の本場ということです。これが東海岸だと例えばニューヨークでは拳銃の携帯は特別な許可が無い限り違法だったはずです。基本的に西部、中西部は緩い気がします。
また発砲事件の死傷者数も世界でも群を抜いていますが、それでも銃を規制しないのはそういう事もあるからです。こういう時にNRAが出すお題目は『銃が人を殺すのではない、人が人を殺すのだ』『だから銃を持っている凶悪な連中に対してこちらも銃で対抗するのだ』なんともはや、やられたらやり返すな理論ですが、セルフディフェンスという思想は上の修正第二条と密接につながっています。
BBCニュース - 銃社会アメリカ 数字で見る被害と支持
それでも規制はあった方がいい
米国の国内事情があっても銃規制はあった方がいいとtonbori堂は思っています。すぐに全部を捨てろとは言わないけれど、(それはあまりにもアメリカの現実を無視しているし極端すぎると思います。)例えば自動小銃は所持制限を掛ける。例えば1丁ないし2丁。そして国へのデータベース登録するくらいの事で乱射事件をこれからおこそうと考えている犯人には結構ハードルはあがるんじゃないでしょうか。どんなことをしても犯人が武器を集めるとなれば確かに手段は他にも闇マーケットなどで手に入れるなどがありますが、そんなことをいっていたら何も始まりません。もっとも国からの過剰な管理は反発を呼ぶかもしれませんが基本的にピストルなど短銃は登録制なのでライフルまで広げるしかないと思います。
追記:20171005 ネットでの販売も規制した方がいいでしょうね。自動小銃の販売は対面のみに限るとか。ネットで証明書といってもごまかす方法はいくらでもあります。
殆どの乱射事件の犯人は、普通に取引をして普通に銃を購入している事が分かっています。怪しげなディーラーから手に入れている事は少ないのです。そういう事さえも市場が縮小する。妥協すれば付け込まれると思っている人々の抵抗にあいそうではありますがやってみる価値はあるのではないでしょうか。最初は水面になげた石の一投でも波紋が広がればということです。ちなみにこれまで規制の網はいちおうあったことはあったものブレイディ法は時限立法で結局失効してしまっています。こういうのもNRAのロビー活動によるものなんでしょうがやはり多数の死傷者が出た今が世論を動かすときじゃないでしょうか。
ただ先にも書いたようにトップがトランプ大統領なのでNRAよりな共和党の力が強い内はと思ってしまいますが、だからこのこのタイミングで成立させられればそれは快挙になるのではと思っています。完全に所持を禁じるのではなく所持のハードルをあげるだけでも効果はあるのではないかと思っているんですが…さて今後のアメリカの動きも注視したいと思います。
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