8月はお盆ですが8月6日、8月9日、8月15日は何の日かご存知でしょうか?6日は広島への原爆投下、9日は長崎への原爆投下。そしてそれを受け大日本帝国は御前会議を開きポツダム宣言を受諾、15日に無条件降伏をしました。昔は8月になると太平洋戦争関連の映画が公開されたり、TVでは今でもそういった特集番組を放送することは多くありました。今でもNHKはじめとする地上波などでそういう特集を放送したりしています。その関係で何故か8月になると私、tonbori堂も戦争映画を観ることが多くなります。それは第2次世界大戦ものであったり、第一次世界大戦ものであったり、いろいろです。太平洋戦争というものでなく欧州の戦争で有ったり、日本の戦時下のお話であったり。色々な作品を、ほんの少しばかりですが観ることにしています。
太平洋戦争だけじゃない。
日本は大陸にも進出し、それに対し中国と戦争をしていました。盧溝橋事件を発端とする日中戦争もあります。「あの戦争」と指すと第2次世界大戦の日中戦争であったり太平洋戦争であったりそれぞれの局面があり、日本は枢軸国として日独伊三国同盟で世界と戦争をしていたわけです。そんなわけで日本側から戦争を描いた作品で私が観た作品の中でも印象深いものを幾つか上げていきたいと思います。
『この世界の片隅に』
やはりこの作品は外せない気がします。戦時下の日本、そして呉という基地のある町、軍港である町で嫁いできた、すずさんの日常、次第に戦争が押し寄せてくる様を、如何にもという感じでなく、丁寧に、丹念にその日の出来事を活写しながらやがてくる6日、15日を過ぎてなお人は生きていくという事実を描きだした良作です。特別大きな事が起こるのではなく日常の連続に戦争という薄い膜がおおいかぶさってきて、空襲が始まり、物も徐々に不足、それでも暮らしている日常にある時ということからお隣の広島に原爆が投下、そして15日を迎えても人は生きていかなくては、そして一人では生きていけないという事を教えてくれる作品です。多くは語りませんが、こういう映画を観ることは、考えること、感じる事を育む事になると思います。『ブラックラグーン』『マイマイ新子と千年の魔法』の片渕須直監督が、原作漫画にほれ込み、数々の困難がありながらもクラウドファンディングで真木太郎プロデューサーがパイロットフィルムを製作し、製作費を集め完成にこぎつけた労作でもあります。
今、現在も
8月になり、また再上映してくれている劇場もありますので、お時間のある方は是非劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか?劇場にいく時間がという方も(出来れば劇場でご覧いただきたいのですが)各配信サービス(U-NEXTやAmazon、ITunes)で配信もあります。
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『独立愚連隊西へ』
岡本喜八監督の戦争活劇です。『この世界の片隅に』の後にこれをもってくるかといわれそうですが、この作品tonbori堂の好きな戦争映画でも1,2に入る作品です。
歩兵第四六三連隊は中国の八路軍の部隊に急襲され軍旗を抱いて脱出した北原少尉(久保明)を残して全滅。この報せを受けた師団司令部は将軍廟に駐留する留守居部隊の大江大尉(平田昭彦)に四六三連隊の軍旗捜索を命じる。八路軍の真っ只中に捜索に出るのは危険な行為であり、先発部隊は戻らず、続いての捜索隊には四六三連隊に配属された左文字少尉(加山雄三)率いる独立左文字小隊にその命が下される事となった。
軍規などはなんのその、渡河中に味方に八路軍に間違われ丸裸で逃げ出したり、裸ではかっこが付かぬと友軍のトラックを襲撃して身なりをそろえたりして牢屋に放り込まれたり、副官の戸山軍曹(佐藤允)以下まるで山賊だがパリパリの精鋭にもひけをとらないベテラン揃いの左文字小隊は果たして八路軍やゲリラのうようよする地域から無事、北原少尉を救い出し、軍旗を取り戻すことができるのか?というストーリー。
前作『独立愚連隊』では謎の従軍記者が北支戦線で戦死した弟の死の真相を探るという主軸と最後に八路軍の大軍に立ち向かい留守居小隊は壊滅というエンドだったために、ストーリーが暗い、好戦的などの批判がたったそうで、今作では人が死ぬシーンは極力抑え(それでも死者はでますが)八路軍も顔の無い兵士ではなく人間としての描写を盛り込んだを聞きます。
痛快なれど、戦争の馬鹿馬鹿しさを活写した1本
前作のヒットを受けこの続編『独立愚連隊西へ』が製作されたわけですが、上記の理由からコメディタッチを取り入れ軽く観れる作品になったとか。ですが旗のために右往左往する軍隊、馬鹿馬鹿しいと思いながらも軍旗を探しに行くのではなく敵地に取り残された北原少尉を救出にいくという目的で四方八方敵だらけの地に踏み入る左文字少尉などファンタジーではあるけれど喜八監督の想いがにじみ出ている作品になっています。
人物描写も簡潔かつ台詞も的確。活劇シーンは喜八監督が好きな西部劇を模したような、ネイティブアメリカンとカウボーイの多数に無勢なシーンを彷彿させるようなシーン。敵中突破に、スパイが潜んでいるというサスペンスまで盛りだくさん。その上で戦争の馬鹿馬鹿しさと人の命がなんとも思われない恐ろしさまで、欲張りな構成なれど、ちゃんと筋が1本通っている作品です。まさに痛快なれど戦争の馬鹿馬鹿しさを活写している映画なのです。
この愚連隊シリーズは非常に人気が高く喜八監督は前作『独立愚連隊』と三作目にあたる『どぶ鼠作戦』を監督されています。あと裏愚連隊とでも言うべき『血と砂』という砦を死守する兵隊の悲哀を描いた作品もあります。そちらも是非ご覧になってほしいですね。
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今回は
2本だけのご紹介になりましたが、それぞれ多くの映画があります。岡本喜八監督ならば『日本のいちばん長い日』『激動の昭和史 沖縄決戦』という現実に起こった歴史的な事実を扱った東宝の8.15大作や小品ながら痛烈な戦争へ皮肉を込めた『肉弾』、他の監督作品ならば『ひめゆりの塔』『連合艦隊』『火垂るの墓』など第二次世界大戦(太平洋戦争)を題材にした作品がたくさんあります。映画を観て過去に起こった事に思いを馳せ、考える事もたまには必要ではないかなとtonbori堂は思います。
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また映画はあくまでもフィクションです。『この世界の片隅に』のようにその日起こった事を最大限現実に沿わせてもです。それでも当時の事を伝えてくれる媒体として、さらに何があったのかを自ら知るきっかけにすると良いのではないでしょうか。そういう契機になればいいと思います。静に映画を鑑賞してその日、その時何があったのかをゆっくり思いをめぐらせていただければ幸いです。
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