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何時ものウィル・スミス映画|『i,ROBOT』(2004公開|米)|tonbori堂映画語り

2013年11月14日木曜日

movie SF

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 『i.ROBOT』はウィル・スミス主演のSFアクションで近未来、AI搭載のロボットに労役をさせるようになった世界の話。


『i,ROBOT』(2004公開|米)/ロゴはイメージです
『i,ROBOT』(2004公開|米)/ロゴはイメージです

 有名なアイザック・アシモフ(最近ではトリビアの泉のOPで有名)のロボット3原則

1.ロボットは、人間に危害を加えてはならない。
2.ロボットは人間から与えられた命令に服従しなければならない。
3.ロボットは1条および2条反する恐れのない限り自己を守らなければならない。

が載せられた『われはロボット』がベースになっている。そしてこの原則は人間でいえばモラルともいうべきもの。実際に彼らを動かすものは人間達のオーダーでありそれとこの原則がどう関わり変化していくのかということがロボット側のテーマになっていく。

ロボットの反乱

 このテーマは実は「2001年宇宙の旅」でも言及されている。以前観て「え?そうだっけ?」という方はHAL9000が何故あのような行動をとったかを思い出していただきたい。ここでのロボットはAIであり自分で考え行動できる自律機械なのだ。原則を元に動くNS5型そしてそれを越えて考える力を与えられたロボット、それはもしかすると人が自分に似せて作った写し身であり鏡像なのかもしれない。サニーを観てそんなことを考えた。それは当然製作者たちも想定していてただろう。だからこそサニーは人に模してデザインされている。そして今の流行りのiMacのようなプラスチックな質感をもたされて、それは人に似ているが人ならざる道具(ツール)をいう部分をも思い出させるように作られているのだ。


 昔『ウェストワールド』というSF西部劇映画があった。人間に模したアンドロイド相手に、西部劇のアウトローの世界や、ローマ時代の紛争で当時の人間になり切って楽しむアトラクションが売りのテーマパークで、そこのロボットが突如狂いだし、ワザとやられるはずが人間を殺してしまうというもの。あの作品では娯楽のためのアンドロイドは完全に人のようにつくられていた。人の皮(スキン)を持っていたわけだがサニーたちはツールの側面が強調されているのは今世間に浸透しつつあるスマートデバイスをも「自我」をもったらどうするのか?そういう問題提起にもなっていると思う。

ネタは深遠なれどバッドボーイズなバディムービー

 とそこまでは良かったが結局ウィル・スミスの「バッドボーイズ」+「エイリアンネイション」風味になってしまったのはまぁハリウッド映画の宿命か。そういう命題的なものは自殺したラニング博士とウィル扮するスプーナーと協力することになるブリジット・モイナハンが演じるキャンベル博士が担当することになる。でもそれはミステリー映画としては所謂謎解きでしかないのためあっさりとしている。この作品はウィル主演なのだ。

 そこは彼(ウィル)のアクションで締めないと収まらない。当然彼が機械が相棒で葛藤したり、信じられないと思いつつサニーと交流することで信頼を築いていくという定番展開があるけれどそれは『エイリアン・ネイション』や『48時間』の亜流とでもいうべきものになっていて所謂、真に信頼に足る者≠モノなのかという部分にはちょっと弱さを感じてしまう。なので結局のところ何時もウィル・スミス映画になってしまうのだ。まあそれはトム・クルーズの作品は何時ものトム・クルーズになってしまうのと一緒かもしれない。


 ルックは悪くないし、サニーの(その仲間も含めて)造形もよいので突き詰めれば『ブレードランナー』になり得た作品になったかもしれないが…。あとこの手のSFロボットネタを良く知っている人なら真相はすぐに解ってしまうかもしれない。しかしユニークと称されるサニーの存在があることでこの映画のテーマというものがおぼろげながらに残る事で救われているが、結局最後のドンパチや中盤のカーチェイスはやはり「バッドボーイズSF編」の印象はぬぐえなかった。

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このエントリは本家ブログ(web-tonbori堂ブログ)よりの転載加筆分です。

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