ギリギリの縁に立つ感覚とは?|『狂っちゃいないぜ』(2000公開|米)|tonbori堂映画語り-Web-tonbori堂アネックス

ギリギリの縁に立つ感覚とは?|『狂っちゃいないぜ』(2000公開|米)|tonbori堂映画語り

2012年11月2日金曜日

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 この映画は1999年に製作され2000年初旬に公開された映画で当時から気になっていたけどなんとなくそのままにしていたら忘れていた。

『狂っちゃいないぜ』原題名Pushing Tin/ロゴはイメージです
『狂っちゃいないぜ』原題名Pushing Tin/ロゴはイメージです

 で去年あたりからまた気になってきてとうとうレンタルで借りました。で、感想は「映画館に観にいけばよかったぁぁぁ・・・」でも多分大ヒットするような映画ではないと思う。だからこそ映画館で観とけば良かったし、今でも多くの人に観て欲しいイチオシの作品。

ちょっとイカれた航空管制官たち

 お話は航空管制官であるニックが主人公。過度のストレスを抱えながら日々膨大な量のトラフィックを捌く彼らの中でもナンバー1の実力を持つ彼の前に変人ながらその実力はニックに迫る新人ラッセルが着任する。そんな彼を意識するニックは次第に心のバランスを欠いてるというストーリー。ニックの実力ナンバー1からくる尊大さ。まるで東洋の哲学者のように寡黙だがどこか危険な感じのするラッセル。ニックとは愛し合っているがちょっとしたことから彼が信じられなくなる妻のコニー。そしてラッセルの若くて美しい妻メリー。そして仲間の管制官達。どのキャラクター達も生き生きと映し出されとても観ていて飽きさせない。何気ない日常を描いているお話だが彼らの職場が航空管制というストレスの非常に高い職場。だからこその日常と航空管制をしている時の落差に面白さがある。

キャスト

 ニック演じるキューザックはまさにはまり役といった感じでこの役を嬉々として演じているし、ラッセル役のソーントンも「アルマゲドン」のミッションリーダーよりこっちの不気味だけど凄腕の管制官がよく似合っている。特にニックと対峙するところはその存在感が十二分に引き出されていた。

 それにこの映画気が付くとけっこう豪華な配役なんである。妻コニーのケイト・ブランシェットにメリーのジョリー姐さん(笑)実力派女優の共演ですぜ。このときはまだ貰っていなかったと思うけどジョリーは確かオスカー貰ったし。ビリー・ボブともこの映画が縁で結婚した(略奪愛だった)航空管制に関してのディティールも丁寧に撮られているのも面白かった。

キている人たち

 ニックが冒頭に着陸コースを頭に描きながらぎりぎりのニアミスを起こす一歩手前で誘導するところが頭の中でレーダースコープのグリッドを描きながら指示する。その頭の中のヴィジョンをCGで描いたり。ラッセルが着任早々着陸待ちの飛行機一本のラインに並べるあたりなどそういった映画的に見せているのも上手い。


 あとネタバレになるけれどこの映画は、ニックとコニー、ラッセルとメリーの二組の夫婦の物語でもある。それぞれの夫婦の距離感とか仕事に対する矜持とか、いろいろ含んでいて楽しめた。なんだろう、多分邦題で損をしている気がする。『狂っちゃいないぜ』って台詞としてはいいけれど、タイトルだけでは意味不明だもの。でも原題名「PUSHING TIN」もちょっと分かりにくい。ちなみに原題の「PUSHING TIN」とは業界用語で航空管制を指す言葉。ここらをもうちょっとなんとか出来れば…。でもアクション映画とは違いお仕事系でかつ地味系なので難しいか。でも個人的に好きな1本。

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MOVIEtonbori堂「狂っちゃいないぜ」

元記事を改稿掲載(2004.6.27-16:35:32)

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