事件はスクリーンで起きているのか?|『踊る大捜査線THE MOVIE2』(2003公開| フジテレビ/アイ・エヌ・ピー)|tonbori堂映画語り-Web-tonbori堂アネックス

事件はスクリーンで起きているのか?|『踊る大捜査線THE MOVIE2』(2003公開| フジテレビ/アイ・エヌ・ピー)|tonbori堂映画語り

2011年8月15日月曜日

crime movie

X f B! P L

 どうにもこうにも、この映画については冷静に語る自身が無い😅それだけこの映画を待っていたこともあるし5年間心の中でふつふつとわいていたものもある。それだけに製作決定のニュースに対し歓喜の声を上げた。

踊る大捜査線THE MOVIE2/ロゴはイメージです
踊る大捜査線THE MOVIE2/ロゴはイメージです



 だからこそ二つの評価を持つというかなり異例の事態になってしまったのは予想外だった。それだけ時間が経っていたと言う事なのか、それとも・・・。なのでこの評価どちらを先に読んで貰ってもいいけれど二つとも本心なのである😅

ベイブリッジは本当に封鎖できないのか?

 ともかく「踊る」ファンとしては肯定したい部分や良かったところが多いしドラマからの目配せも嬉しい作品だった。反面映画としてみると…なんじゃこりゃあっていう部分も目立った。以下2つの評を挙げておきたい。

踊るファンとして観た「踊る大捜査線」

 まず最初に、なによりオリジナルキャストを再結集させたことに素直に拍手を送りたい。今では日本映画界で稼ぎの計算できる俳優織田裕二以外にも柳葉、深津など売れっ子アクター、アクトレスのスケジュールを抑えるのは難しかっただろう。そしてOPからヘリコプターからの空撮。スケールアップしながらもファーストシーンから「踊る」テイストが全開状態。5年の歳月で湾岸署には新しいマスコット「湾岸くん」そして観光案内所まで出来、交通課ガールズがそこで観光客相手に笑顔をふりまいている。全てが昔のままの湾岸署だ。


 いや違う各キャラクターごとに5年の歳月の設定がなされあるのものは念願の刑事になっていたり奥さんが実家に帰っていたりとファンサービスにはことかかない。それを探るのも、見つけるのもファンの喜びだ。なんせ今作では監督が200以上のリンクがあると発言。それを探すのに2回3回と観ても楽しめる作りになっている。実際リピーターの報告がオフィシャルウラサイト(これは映画を観れば解るようになっている)に上がっている。


 現場と会議室での同時進行ドラマといいお馴染みのキャラクター達のそれぞれの見せ場がきっちりあるところといいさすがファンの心をわかっていらっしゃる作りになっている。ファンなら何回でも楽しめるし「踊る」を知らない人ならまずはTVとTHEMOVIEを観て予習してから劇場へ。絶対にはまれます(笑)そう『踊る大捜査線』は文字通り「踊る」映画なんです。

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映画ファンとして観た「踊る大捜査線」

 映画好きとして観るならば、今回の踊るはオールスターキャストにしたせいか、テンポが微妙に乗っていない。それは最後までズレを生じてしまった。それがまず一つ。そして、ところどころ映画的な構図を見せて「これは映画ですよぉ」という画面が出てくるがそれがどうにもうまく機能していない。というかむしろ寒い😒


 主なところではまずオープニングのSATとの訓練シーンだがSATの突入シーンがあまりにもちゃちに見えてしまう。悪く言えばコント。あんまり完璧にしろとは言わないけれどたった一人で人質に近づくなんてそんなことは無いでしょう、訓練を受けたプロなんだから(苦笑)もっともこの映画は『踊る大捜査線』であって『S.W.A.T』じゃない!なんてと言われればそうですけどね😓でもプロであるSATを現場の知恵で切り抜けるところを見せたいのなら、もっと相手は『プロですよ』と、そういうところを見せたほうがいいと思うんだけど。だからこそ籠城事件の素人でも知恵と勇気でなんとか出来るという部分がクローズアップされるというのに。


 それとリンクのためのリンクが重なりすぎて映像を散漫なものにしているのも気になってしょうがない。ファンサービスも大事だけどもっとさりげなく配置するべきだと思う。そして最大の?は犯人グループ。とってもネタバレなんだけど彼らの動機も『?』なんだけれど、それがまるでうまく伝わらない。『踊る』の醍醐味は犯人より警察内部でのそれぞれのキャラクターの動きが魅力になっているのだが前作もそうだけど『事件』をえがかなくなったため、『映画』ではほんとに関係ないまでにその『事件』だけを煽り、犯人の存在を薄くするか(動機が薄い副総監誘拐犯と発作的にわが子を守ろうとする母)、大筋に関係なく濃いキャラだけで印象付けるだけの日向真奈美を出したりした。これらはいずれもTHEMOVIEの犯人達で、それがTVからの延長ということで上手く機能はしていたが、今回のナイナイ岡村ふんする増田喜一やジョビジョバのマギーが扮した犯人達いずれも中途半端なんである。


 何故なら岡村のオチは出オチとしてはありかもしれないが殺人犯達は青島達へのアンチテーゼなるはずだったのに違った道を歩んだ青島達になってしまった。そこらへんを突き詰めれば面白くなったかもしれないのに「踊る」テイストという呪縛に捕らわれそこを突っ込まなかったためなんとも言えない間の悪さがついてまわるのだ。これはラストシーンまで続く。そんなわけで予備学習なしやファンでないと観るのはキツイ一本。それがここまでヒットしたのはまるで訳が分からない。

それだけ今回の「踊る」は自分のなかで真っ二つだった。

 それと周りの反響なんだけれど前回より今回の方が「踊る」っている人より「踊る」に乗り遅れまいと必死になっている人が沢山いるような・・・・。好きな人なら何回見ようがそれはいいんだけど話題だけで知ったかぶりするためだけに観るのはどないやねん?と正直感じてしまったのも自分が乗れない一因かもしれない。


 しかしこれビジネス的には正解かも知れない。オールスターでTVからのお客さんにもくすぐりばっちり。映画的な画に分かりやすいお話(いやそれほど分かりやすいかと言われれば?だけど)ただ、そうやって映画館に足を運んで貰ったお客さんを次にどうやって繋げるか?たしかにブロックバスター的な今回のやりかたには正直首を捻ることもあるけれど、ハリウッドだってブラッカイマーがあれだけボロクソでも年に数本作品をしっかり残して成績を残している。勝ち組、負け組なんていうのはくそと一緒に流してしまえというのは私の持論だがそれでも映画が衰退してしまうのは忍びない。いいところはしっかり学び、魂まで売り渡すことなく良いものを創って欲しい、そのためのヒット映画から学ぶ次への課題だと思うのだが・・・

追記2008.9.13

 あれからまた5年の歳月が流れ『3』の制作決定の公式アナウンスがなされた。どうやら再来年公開と聞く。だが邦画の質の低下が叫ばれる中、キャスティング重視、TVドラマからの映画化はどんどん進んでいる。先行き暗いと見る関係者も多いが『相棒』、『花より男子』の成功でこの道で成功を修めた各局の流れもあるしフジも『HERO』というカードを切った。そして『海猿』も。


 正直どうなるかは分からないが、基本面白いドラマと映画を見せてくれるのならどんなものでも歓迎したい一方、パターン化、フォーマット化されたフラグ立てを見せられるようなモノならお断りだし、なにより脚本のしっかりしていないモノは論外だ。そういうこと思うと『3』のニュースにも素直に喜べない自分がいる。もちろん基本、刑事ドラマやアクション映画は好きだけど、それはちゃんとスジが通っている(スジがつながっているとかそういうのじゃなしに)話をちゃんと観たい。それだけなのにそれが叶わぬ事のなんと多いことよ。この失望感が増さないことを祈るのみ。

さらに追記2011.08.15

 うーん正直「踊る3」について、観た後でこう書くのもなんだけども面白くなかった。というか客演させるんなら客演の方々にも華を持たさないとというのが一つと、新キャストが踊るのフィールドに馴染んでなかった。

 というか正確には馴染むように主人公青島とガッツリ絡んでいない。やっぱり主要新人がどんな形であれ青島とガンガンぶつかったりしないと。そういう意味では踊るファンとしても映画ファンとしてもバツな映画だった。っていうかドラマでじっくりやるべき案件だった思うんだけどなあ。やっぱり1と2が100億いったのが間違いの始まりだったなと今にして強く思う。ファンももっとドラマシリーズをという声をあげるべきだったし、主演がドラマをしたくないっていうのなら主役交代もドラマ中に進んでいい感じで続けていけただろうに。もっともそれらは全て「たられば」でしかないんだけども。なんというか長く続けられるドラマシリーズの鉱脈を掘り損ねた感がある。まあいってもせんないことだが。

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ムービーtonbori堂「踊る大捜査線」

元記事を改稿掲載

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