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こんなアメリカに誰がした?|『ボーリング・フォー・コロンバイン』(2003公開|米)|tonbori堂映画語り

2011年6月2日木曜日

movie

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彼らもボウリングをすれば良かったんだよ

 「映画内で語られた言葉、タイトルにもなっている/ボーリング・フォー・コロンバイン」

 カンヌ映画祭で大絶賛を受け、審査委員長のデビッド・「ツインピークス」・リンチが特別賞を設けたとも。しかも数々の映画祭でも絶賛され、とうとうアカデミー賞ドキュメンタリー映画部門でオスカーを受けその壇上で監督が「ブッシュは恥を知れ」と言ったことは記憶に新しい。

ボーリング・フォー・コロンバイン/ロゴはイメージです
ボーリング・フォー・コロンバイン/ロゴはイメージです

雑感

 さて白状しよう、私tonbori堂はガンマニアである。「銃が人を殺すのではない、人が人を殺すのだ」というのは私がこの趣味にはまった頃に、アメリカで銃犯罪が起こるとよく言われた言葉で、それを金科玉条とまでは言わないけれど無邪気に信じていた人だった。しかし今回のムーアのこの映画でそれは図らずも証明されたとも言える。ただそれが聖書の聖なる言葉のごとくふるまうがのような人たちが圧力団体(全米ライフル協会NRA)を運営しているとなるとそりゃとんでもないことだ(そんな人ばかりじゃないし軍産複合体など実際にはかなり複雑な構造になっているけれど)。


 個人の権利を声高に叫ぶ人たちがその権利を抑えようとする者たちに闘うのに銃を持ち出せば相手も銃を持ち出す、そしてそれは延々と続くことになる。そんな神経症的で攻撃的なアメリカで銃を野放しにするのは果たしていいのだろうか?という事をこの映画ではあれこれ周辺への取材や突撃アポなしでのチャールトン・ヘストン(今は前NRA会長)へのインタビュー。もっともそれを取り上げるきっかけはタイトルロールに入っているコロンバイン高校での2人の少年達の銃乱射事件だったのだがそれが彼の故郷であるフリントであった6歳の少年が6歳の少女を射殺した事件へ比重が移っていく。


 そのあたりは彼の原点となる貧者と富める者たちとの軋轢やそれが抱える社会問題への追求にも関わっているためそこが深く掘り下げられる。そして恐怖は今も彼らを捉えている。ムーアは独善的な部分もあるし欠点もある。問題を提起するだけであとは見る人に委ねるようにしながらもある答えに結びつくようにしているところはそうだ。

 だってマリリン・マンソンがクレバーで非常に落ち着いて語るシーンや、その後マイケル・ムーアはアメリカの大手スーパーチェーンの本部へ、コロンバインで銃撃を受け障害が残った少年達を引き連れ銃弾の販売を止めるように訴えるシーン。それに対しスーパー側は翌日に段階的に取りやめると発表すると語りが入る。

 そしてチャールトン・ヘストン(アメリカを代表する俳優でNRA会長)に突撃インタビューで語らないヘストンを映すことにより、強く観客に彼の考え、こうやって面倒だと思う人が多いから、銃が蔓延し事件が絶えないんだという事を強く訴えてくる。私はこう思う彼のような男が入るからこそアメリカは自由の国なんだと。もし彼が創作活動を制限されることがあればそのときは本当の恐怖が始まるときだろうとも思う。しかしだ彼もまたアメリカ人であり自らの正義を通すためにありとあらゆる手段を使うことは間違いない。


 それが私の中でこの映画に抱いた違和感の正体だろう。ただ彼のやり方もありだと思っている。それとこれは9.11へのアンサーとなる事が9・11が起こった瞬間に決まった。ただその部分は状況によって産まれたものだから、それは後にブッシュの再選を阻止するために(それは結果的に適わなかったが)華氏911となったことも覚えておきたい。

ちなみに

 アメリカのガンコントロールに関して、それはアメリカ国民が決める事だけど、個人的にはある程度のコントロールは必要なのではと思っている。ただアメリカは例えばNYなどでは銃の携帯には煩いしある程度のコントロールがあるものの、テキサスだと結構フリーだったりとかで土地によって差がある。だから難しいんじゃないかなとも。でも野放図であれば危険は高まるわけだからやはり必要なんじゃないかな。悲しいかな人間は愚かな生き物だから。

最後に私にこの映画を見ることを勧めてくれた友人に感謝!

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