惑星カラミティの枢軸/ファイブスター物語/FSS/ 月刊ニュータイプ連載/第6話時の詩女アクト5-1「緋色の雫」|考察/備忘録【ネタバレ注意!】-Web-tonbori堂アネックス

惑星カラミティの枢軸/ファイブスター物語/FSS/ 月刊ニュータイプ連載/第6話時の詩女アクト5-1「緋色の雫」|考察/備忘録【ネタバレ注意!】

2022年12月3日土曜日

FSS manga

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 エピソード「緋色の雫」もダイ・グ陛下の最後の出撃で大詰めの展開をあっと驚くバランシェ・ファティマを中心にした全星団通信ネットワークジャックという動きを迎えていますが、月刊ニュータイプ2022.11月号の扉で何故バッハトマ以外の枢軸軍に参加している国家の動向のおさらいしていたのかというのはそういう事だったのねと思いました。もちろんロッゾとウモスの首魁の2人が発する事態を静観しその言葉が額面どおりかは分かりません。国家を運営するものとして同じカラミティの超大国の皇帝が発する言葉は自国の行く末を決めるかもしれないとなればそういう決断にはなるかなとは思います。

 そしてとうとう本編にこの2カ国の首魁が登場したのもこのエピソードの終着のみならず魔導大戦の終わりも意識させます。その後にヨーンが騎士となるエピソードが描かれる訳ですが、デコースとの決着という点でこれも枢軸(特にバッハトマ)の軍事面に大きく関わる話になります。彼はバッハトマの総騎士団長ですから軍トップがやられてしまうと指揮系統に大きな影響がでるのは必至です。ボォスの2人は既に「緋色の雫」冒頭でも描かれていましたがクラーケンベール大帝はそもそもこの大戦に参戦したのはまだMH時代でのナカカラ攻防戦での対フィルモア、ノイエ・シルチス戦のころより一貫して「心躍り、血が湧きたつ戦(いくさ)をしたい」という、まあともすればウォーモンガー(戦争狂)という話をしていました。当然それはメヨーヨが傭兵業を生業としているというのもありますし、「我ら(新世代)」の時代が来た事も大きいのですが、バッハトマについた方が「面白い戦い」が出来ると踏んでいたからです。なので面白くなくなれば義理を果たしたうえで離脱はあり得ます。ベラ戦まで立ち位置不明だったガマッシャーンも、ナオが腹を決めてこちらも「先」が見えた時点でバッハトマに進軍、ハツーダン大陸を抑える事を決意。現在はその準備のためあちこちへ飛び回っています。となれば残るロッゾとウモス、この2国がカラミティから同じく遠征しているフィルモア、クバルカン、ジャスタカークとは別に枢軸勢力としてどのような立ち回りをするのか?ジョーカー星団の今後の動静も含め物語に色々絡んでくるのは間違いなく、特に重工業国家としてのこの2国はGTMの供給を含めても大きな力を持っているため本筋ではなく背景として押さえておきたい国家です。なので短いテキストやDESIGNSなどから読み取れる部分を考察してみたいと思います。

今回のテキスト、DESIGNS3と6/永野護著/KADOKAWA刊
今回のテキスト、DESIGNS3と6/永野護著/KADOKAWA刊


ロッゾ帝国【EmpireROSSO】

 カラミティにある重産業都市を中心とした集合国家的な国で元はスパチュラ国という栄えた重産業都市国家があったものの一夜でAD世紀末に星団に帰還した炎の女皇帝の旗艦シングのバスター砲で壊滅した事から他のスパチュラのような都市国家が生き残るために合従連衡し、帝国として頂点に皇帝を頂いているものの議会によって皇帝が選ばれる連邦制のような専制君主制という変わった政体を持っているとされています。重産業で栄えているだけあってゴティックメード(GTM)はその主要な輸出品の一つ。名ガーランドと謳われるパラベラム・スタームの手によるグロアッシュというロッゾの主力騎のほかに各国へ輸出するためのGTM、バヤデルカが星団で広く使われています。グロアッシュはモータヘッド(MH)時にはヘルマイネ、バヤデルカはデコースがかつてバストーニュで駆っていたデヴォンシャに対応しています。バストーニュの話は星団暦2989でその前2985年にアドラーのダラッカで3騎サイレン(GTMユーレイ)相手に立ち回り完勝。その時の相手の一人バーバリュース・Vを見逃した事から彼は黒グループのリーダーを降格する事になりましたがそれはまた別のお話。GTMだけではなく騎士の腕も重要とは言いますがGTMガーランド、パラベラム・スターム公は本編では名前だけしか出てこず、バーガ・ハリの改修などを手掛けたゼビア・コーターもその顔の設定画があったり、未だ本編観登場のGTMガーランド、メリンダ・クルップのキャラシートがあるのにその姿が不明なままの謎の人物です。後年、ああそれはオレの別名だよとかマウザー教授がいいそうではありますが…。知っている人ならご存知でしょうが名前のネタ元パラベラムとモーゼルは関係ゼロでは無いのです。パラベラムというのは9mm口径の自動拳銃弾9mmパラベラムからきており、製造したのはドイツのDeutsche Waffen- und Munitionsfabrikenという火器弾薬製造メーカーです。後にモーゼル(マウザー)兄弟のモーゼル(マウザー)社を買収しています。なのでマウザー教授とパラベラム・スターム公がマウザーはあり得る線ではないかと思われます。(あくまで想像ですけれどね、もちろん別のカリギュラ系のガーランドないしヘッケラー・バシントンのようにマウザーの弟子のような存在という線もあります。)


 現在の皇帝はレオ・ブーチェル。キャラシートでは髭を生やした威厳のある姿をしているブーチェル皇帝は恵那皇太后がGTMラミアスでバヤデルカをぶった切った時に(この頃はまだMHファントムで相手はデヴォンシャやマグロウ?だった気がします)フィルモアにねじ込むほどの胆力をお持ちの方だったという事がダイ・グ殿下から語られていました。その麾下にあるロッゾ帝国騎士団筆頭なのがウーグラ騎士団で、魔導大戦でのベラ攻防戦に枢軸側から参加していました。ロッゾ帝国総騎士団長はダッグナード・ボァ・ジィ、ミラージュのウラッツェン・ジィの兄です。兄弟で別々の騎士団に所属しているというのは同じく元ミラージュ騎士のシャーリー・ランダースとトリオ・デ・コーラス騎士のプルース・ランダースがそうでしたがロッゾの筆頭騎士で方やミラージュ騎士ってのも相当なもんですよね。ダッグナードはベラ戦の時に本国の通信シーンでやっと登場。この方もキャラシートは先に発表されていました。それよりウーグラの騎士団長グレース・スドールはベラ戦で初登場のキャラクターですが何の前触れもなく新キャラ投入されるのもこれまたファイブスター物語だなと。今後も再登場あるかは分かりませんが是非登場して欲しいキャラクターでチャンスは十分にあると思っています。あとこれは全くの余談なんですがブーチェル皇帝、『未来少年コナン』のバラクーダ号の水夫頭、ドンゴロスに似てると思うんですよね。いや単に髭がそう思わせるんですが顔色を別にすれば東映動画の『長靴をはいた猫』の魔王ルシファも同じ髭を生やしていました。そういう意味ではちょっと永野護のキャラデザインからいうと新しさを感じるタイプなんですけど、本編に出てきたらやっぱり永野護だ!ってなりましたね。でもやっぱりドンゴロスや魔王に似てる(笑)


 ロッゾは今回の参戦についてはフィルモアやクバルカンのようにやがて崩壊するカラミティから脱出しボォスに新たな王道楽土を建設するための橋頭保を築く訳ではないとされています。何故ならロッゾは既にジュノーのボリショイ大陸にある程度の領土を確保しているからです(ジュノーは北半球のロンド大陸はコーラス王朝が支配していますが南半球はまだまだ未開拓なところも多いのです)この参戦はロッゾ帝国の地位の向上ともちろんそれなりの領土の確保が出来れば将来の植民地化と資源惑星への労働力確保となり、ロッゾの国力向上が主な目的なのです。当然それが毀損しそうな状況になれば引き下がるか他のボォスの国家と組んでバッハトマ討伐に乗り出すやもしれません。当然それは今月号(月刊ニュータイプ2022.12月号)でのダイ・グ陛下のお言葉によっては、これは言質を取るという意味でもまず成り行きを見てというのが大きいと思います。それ程カラミティの中での統合フィルモア帝国の存在感はグレート・ショルティ連合の中心という以外にもカラミティの古き血の血統を引き継ぐ者たちの国としてロッゾも無視できないという事に外なりません。そしてその言葉によっては後の様相ががらりと変わる事も考えられボォスのみならずカーマントー他での資源惑星経営にも悪影響を及ぼすからです。ともかく今後の動きが注目される国家であることは間違いありません。

ソース|モーゼル - Wikipedia

ウモス国家社会主義共和国【NSUA/Nationalsozialistishche Umoss Arbeiterpartei】

 ウモスはロッゾ帝国のあるキーヤ大陸北西部の荒れ地の多い場所にある国です。元になったのは「青い影」とよばれる政治結社で、国家を成立するためにシステム・カリギュラと契約を結び強固な社会主義国家を作り出しました。首都はプロコルハルム。この都市の名前の元ネタは英国のバンド「プロコル・ハルム」で彼らのデビュー曲にして最大のヒット曲「青い影」もウモスの母体となった政治結社の名称として使われています。現在の首長はフォッケヴォルフ・ムックル総統。質素な服装の小柄な老人のキャラシートがありますけれど今回その姿で庭園の手入れをしている彼が初登場。と思ったら「孫娘」が登場ししかも騎士でバランシェファティマの蘭丸のマスターとか…。名前に前青銅騎士団団長のダンチヒが入ってるあたりムックル総統の家系も気になりますね。


 筆頭騎士団は青銅騎士団。魔導大戦時の団長はベルミ・クローゼ、悪役として描かれていますがウモスの置かれた弱い立場をはねのけ強力な国家として国家の安寧とウモスの民のために粉骨砕身している人という側面もあります。そのためには大の虫を生かして小の虫を殺すのも止む無しという冷淡さは話の通じない融通の利かなさも感じられるところで、かつて青銅騎士団に所属していたミハエル・レスターや現在もカンプグルッペ(連隊規模の部隊)の隊長をつとめるオリバー・メルシュなどには不信感を持たれ、レスターを騎士団から策略を持って追放しています。それもこれもウモスの行く末を案じての事でレスターに関しては「泣いて馬謖を斬る」気分だったようです。騎士として有能な人物であれば同じ道を目指して欲しいが、そうでなければ障害となりうる。クローゼという人物はある意味で官僚的であり、その上で人の上に立つ度量も持ち合わせているというのはベラ攻防戦でも描かれていました。ちなみにその前の青銅騎士団団長はクローター・ダンチヒでバランシェのAFオデットは彼のパートナーであり、彼がベルミに団長を譲り引退した頃にバランシェ邸に出戻った頃に璃里・ブラウ・フィルモアのパートナーとなりやがてその娘である茄里のパートナー(ブラックスワン「オディール」)となるのですがそれはまた別のお話。そのダンチヒも先にも書きましたがムックル総統の孫娘の名前に入っているのはというのも気になるところです…。


 ウモスもロッゾ同様に重産業を主体にしている国家でカリギュラの手を借りた事によりマウザーの設計したGTMボルドックスがもたらされその開発を引き継いだヘッケラー・バシントン(彼もまた本編には未登場でキャラシートもない人物です。)が国家の旗騎としてのGTM紅盾鋼・ハルシュカを産み出しました。またロッゾのグロアッシュのGTMガーランド、パラベラム・スターム公がライモンダ・バヤデルカというGTMの設計を残しウモスの主力商品として各国で使用されているのも大きな収入源です。


 そんなウモスは植民地経営をしているドーマ連合を組んでカーマントーでの資源の確保(労働力を含め)と、もちろん移住先としてのボォス、ミノグシアの地を押さえる事も入ってるとは思うのですが開戦当時、カステポー近辺をショートカットしようとしてセントリーブリッツの雷撃で他の3か国連合による先遣部隊は全滅し戦力も結構低下しているので何かしらの大きなものを得るまでは引けない気がします。こちらもロッゾ同様に国益を毀損するのは避けたいところでしょうが国内事情もありどう動くかはまだ見えてこないところがあります。もし今後ドーマがカーマントーから引き下がる状況が遅からず産まれてくるのでその時の状況次第では彼らもボォスから手を退かざるを得ないかもしれません。もちろんそれはウモスという国自体の存続に関わるかもしれないんですが…どちらにしてもウモスの先行きは厳しさを増す気がします。

魔導大戦最終局面

 どちらにしてもバッハトマは最終的に孤立した上で攻め込まれる(そしてそこにはミースやアウクソー、三条が捕えらえている)そして攻め込む方はミノグシア連合にフィルモア、クバルカン、コーラス、A.K.Dがついているけれど主力はデプレとマキシというのははっきりしているしそこで「奇蹟の44分間」が起こるのでまあトンデモない事になるんでしょうけど(あのラキシスの大盤振る舞いエピソードみたいなことが起こるんだろうとぼんやりと)ボスヤスフォートの正体ははっきりするのか?(超帝國の汚濁、汚辱とまで言ってるので皇帝団絡みの案件なのはほぼ間違いなし。精神だけを飛ばせる精神生命体みたいな改造された総帝か?)などもありますが、今回星団の主な国家がそれぞれの立場で参戦しているためその後から起こるアドラーへの侵攻へのきっかけになる話などにどう関わってくるのかも気になりますしカラミティの崩壊への道筋などもある意味ここから始まる訳ですから今後も目が離せないエピソードが続く事かと思います。その中でもこのカラミティの2つの国家がどういう運命を辿っていくのか興味は尽きません。

※参考テキスト|F.S.S.DESIGNS 6 XROSS JAMMER/F.S.S. DESIGNS 4 覇者の贈り物(Amazon)

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