月刊ニュータイプ2020.11月号連載の『ファイブスター物語/FSS|運命のラキシス:7444/~大君主バフォメートのまなざし』エンディングにおいてマウザーの口から語られたのは彼らシステム・カリギュラは超帝国の皇帝たちのコピー人間の集団であった事でした。それが何を意味するのかはまだ分かりません。ただ彼らは産みの親であるユニオ3、ナ・イ・ンによって粛清された超帝国総帝の血族トライブと称しています。これは部族を指す言葉ですが最近ではよく耳にする言葉です。
超帝国総帝たちは自らの血を残すために敢えて子孫ではなくコピーを残す道を取った。これはある意味アルセニックがタイ・フォンを遺し、バランシェはクーンとマキシ(の胚)を遺したのにも通じるなと少し感じました。まだ見ぬ未来に向かって脱出すると言ったのは東宝特撮「怪獣大戦争」でのX星人統制官の言葉ですが、総帝たちの決断もそれに近いものを感じます。そしてファイブスター物語の主人公アマテラスはあくまでも神様であるけれどラキシスは最終的には神様になるとしても、今はその位階を上がる前の「ヒト」であるというそこにも掛かってきているのかと思っていて(人から創られしというダブルミーニングとしても)彼らの存在というのはある種の対極であるというのもあります。という事で今回はシステム・カリギュラについて考えてみたいと思います。
※本エントリは2020.11月号『ファイブスター物語/FSS』でのマウザーの発言を受けての話ですので単行本派の方には【ネタバレ注意】でございます。出来れば本編をお読みになってからエントリをお読みいただけば何よりです。何卒よしなに😌
DESIGNS5リッターピクト/永野護 著/KADOKAWA刊|©EDIT/永野護 |
※今回の考察はユニオ、超帝国についての説明が役立ちました。ファイブスター物語/FSSのデザイン集DESIGNS(デザインズ)5リッターピクトは序文というか最初にユニオの詳細な解説があるので是非ご一読を。なかなか興味深い記述があります。(※リンク先はAmazonです。)
システム・カリギュラ
そもそもtonbori堂はシステム・カリギュラ、シオの門番(チーフティンズ)というのは超帝国の技術を風化させないために遺したタイムカプセル的なものではないかと思っていました。その根拠はDESIGNS5『LITTER.pict』でユニオ3始祖皇帝ナ・イ・ン(以下ナイン)が人類を存続させるために自ら作り上げた昆虫型社会」を閉じてまた人間型社会へ戻す中、自らは星団を去りモナーク・セイクレッドを追い、その遺した物を封印、そして粛清していったという事からです。実際、血の召還で呼び出された炎の女皇帝ナ・イ・ンはフンフトに廃都アマダ・ジーにおいて騎士の弱体化や星団での技術後退を自らが仕掛けたと言っていましたし。それに抗う総帝たち皇帝団、ファロスディー・カナーン・トライブが粛清の手を逃れ後の世に超帝国の技術を伝え遺すために作られた組織、それがシステム・カリギュラだと思っていました。
これ半分当たりで半分間違っていましたね。彼らは後世に伝えるのではなく(そういう目的もゼロじゃないけど)彼らが情報を貪欲に(饕餮と揶揄されるほどに)吸収するのは護り伝えるがどこかで歪んで吸収し溜め込む事になったと思ってたんですがそうではなく、粛清を逃れた者たちがナインに対抗するための組織であったという事。だからこそGTMの開発もナインら最強の騎士団とGTMが星団を去っても続けていたし、ツバンツヒ姐さんをはじめとする重合人間化(ポリメリゼーションキャスター)、GTM変形化も炎の女皇帝麾下の超帝国剣聖騎士と渡り合うため。そのための力を蓄えていたという事だったようです。とは言え炎の女皇帝ナ・イ・ンが突如戻ったスパチュラの件以外は星団に姿を現す事もなくその目的は半ば形骸化し、長い暇つぶしのような任務となったものの、不可侵の領域がこの星団にある事を察知しちょいちょい天照にちょっかいをかけていたという事なんでしょうね(その度に消されるという)
当然、詩女を通じてカリギュラの事は炎の女皇帝ナ・イ・ン(以下ナイン)も知っていたとは思うんですが放置しているのは結果的に今の世のGTMの弱体化や騎士の血の拡散に知らずのうちに彼らが一役買う(カリギュラ自体はそうとは全く思っていないんでしょうけれど)事になっていたからではないでしょうか…。そうなるとなんとも因業深い組織なんではありますが、超帝国剣聖、騎士と対抗するために重合人間となり、剣聖剣技を越えれないならば自らをGTM化するまでに化身する。それだけでナインの超帝国剣聖のヤバさが分かりますがそれさえも一蹴するのが超帝国剣聖だとするとその血を引き継ぐマキシのヤバさも分かろうというものです。まあそれよりもヤバいのがヴィーキュルたちで、それ以上はお笑い組となっていますがある意味変な笑いしか出てこないって意味ではまさに「お笑い組」ですよね(^^;
そんなシステム・カリギュラもそもそもそういう意味でスタートしたとしても超帝国の叡智が結集した訳だから自然とガーランドのギルド的な側面を持つ事になりマウザー教授やストーイ博士らのGTMの系譜が出来上がっていったという話にもなります。(別系統としてブラウニー・ライドの系統がありますがこれは超帝国の血統が拡散していった後の流れでしょうが大元としては同じものと言えますが系統が違ってきている)そうカリギュラは超帝国皇帝(総帝)の残留思念のようなものではありますが結果そういった技術の語り部にもなった訳です。
ガーランド組織としてのカリギュラ
彼らのGTM技術はそれはもうすごいものがあるだろうし、そもそもデチューンしたGTMを流すだけでも超帝国の直系技術な訳ですからボルドックスは詩女ベリンと皇子トリハロンの暗殺計画時に持ち出された時「最新鋭」とまで謳われ2700年以上の時が経ってもマイナーチェンジを繰り返し未だ現役として使用されている名騎な訳です。物語上ではXナンバーの付いている騎体はカリギュラの提供する騎体とされていますが、ブーレイ騎士団のオデオンとラムアドの関しては「DESIGNS4覇者の贈り物」でソルダート6と7に割り振られています。ただ中身は旧設定のようにサイレンとAトールのようなホルダ31やバーガ・ハリで組まれているかは不明。そもそもボルドックスの基礎設計があるからその流れで別装甲付ければいいじゃないっていう気がしないでもないですけれど。
そしてもう一つ、ファティマ以前のシン・ファイアやエトラルム研究でもオーソリティであったガリュー・エトラルムとも親交があり、輪波理論をもってして流体装甲やその他素材分野を専門とするドクター・ビリジアンことギルフィー・ビリディンまたの名をパローラ・ブラス。彼もまたカリギュラのメンバーですがDESIGNS1のA.K.Dで先出しだがと紹介されていたのはツバンツヒ姐さんだけでなくクラックとして入団するマウザーやその他を先に示していたのかなと。今のところデモールのトライアルとそれに続く黒騎士と破烈の人形との闘いの解説の役回りでしかなかったんですが彼もまた再登場が待たれる人物です。少なくとも彼の輪波理論はガンダムにおけるミノフスキー粒子のようなものの気配がしているので(ヲイ!)
そういうジョーカー星団でのカリギュラの立ち位置はまさにフィクサーとしてそれぞれの国家だけでなく星団をまたにかけた活動をしている組織といえます。実働部隊としての力を持ち、知財としての働きかけもできる。いわゆる一種の職能集団ではありますがそれぞれが人であった頃の記憶を追い求めるだけに存在しているというのもまた儚いという気もしますね。
ナ・イ・ン炎の女皇帝
システム・カリギュラにとっては多分不俱戴天の仇ではあるんですが(というか手が出せない聖域、潜入出来てもその深部(詩女)に手が届かないという感じと捉えられているのはツバンツヒ姐さんの言にもありました。)当然ラーンというか詩女を通じてナインも彼らカリギュラの動向は知っているけれど敢えて見逃しているのか。(その割にはスパチュラの時はあっさりヨー・タイインらをバスター砲で吹き飛ばしましたけど)というよりそもそもセントリーとの契約とは何だったのか?皇帝団を粛清し自らはヘリオス剣聖騎士団とともに結晶生命体に意識を写してモナークを追い求めたのは?この辺りは非常に気になる所です。
ナインはそれまで人類を導くパスファインダー(先導者)としての役割でありながらカーマイン(ボォス)のセントリーたちという存在を知りジョーカーの真の姿を知らないといけないとなったのか?そのあたり何故モナーク・セイクレッドを目指したのかは明確に語られていません。そこは単純にバランシェと同じで知りたいという欲求かもしれないけれど。
ただ彼女はユニオ3として人類という種を残し拡げるという意味でスバースのオペラ・コントロール(連載当時はハイブレン)を永久に解除してのも、支配階級である皇帝団を粛清していったのも自らが階級化した人類を平坦化する、そういう考えがあったからというのはリッターピクトに明記されています。その最後の仕上げの途中で彼女は何をカーマインの守護者であるセントリーたちと交わしたのか。このジョーカー星団のセントリーたちも大元辿れば天照が産みだしたジョーカーから創造されしものたちでつまりそれさえも天照の手のひらの上であることを考えると廃都アダマ・ジーでソープ(天照)の幻影を見た時に何かを本能的に悟ったと思うと凄く味わい深くなると思いませんか?今後魔導大戦も終結に向かってその歯車が周り始めましたがまだまだイベントは多くあるように思います。その時カリギュラメンバーと詩女が邂逅することはあるんでしょうか…その時に何かまた一つ分かるような気がします。
※DESIGNS5リッターピクト/KADOKAWA刊/Amazon
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