『ファイブスター物語×花の詩女 ゴティックメード』ドリパス10周年記念/全国巡礼イッキミ上映劇場版(byTOHOシネマズ梅田)を観てきた。-Web-tonbori堂アネックス

『ファイブスター物語×花の詩女 ゴティックメード』ドリパス10周年記念/全国巡礼イッキミ上映劇場版(byTOHOシネマズ梅田)を観てきた。

2020年6月22日月曜日

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 ドリパス10周年記念でこの度、劇場版『ファイブスター物語』と『花の詩女 ゴティックメード』のイッキミ上映が企画され全国巡礼と銘打ち全国津々浦々まで上映されるのは前回のエントリで書きました。でめったにない『ファイブスター物語』と『花の詩女 ゴティックメード』のイッキミ上映が本日2020年6月21日日曜の13:00より大阪は梅田のTOHOシネマズ梅田にで開催されましたので緊急事態宣言解除後の初のスクリーンをこの作品で堪能ということで観てきました。そこで今回は劇場版アニメ『ファイブスター物語』と『花の詩女 ゴティックメード』やCOVID-19後の映画鑑賞などについて書いてみます。

The Five Star Stories SP [HD] trailer/YouTubeより


劇場版アニメーション『ファイブスター物語』

 Twitterではよくつぶやいているんですが、この話はブログで書いたかな…今検索してみたんですが話はしていないようです。(もししていたらごめんなさい)まあぶっちゃけて言うと『ファイブスター物語』初公開時には観に行っていません(コラッ!)実のところ永野護は実作業にはかかわっていないという事でしたので当時ひねくれたオタクだったtonbori堂はじゃあオラ観に行かねえとかなったんですね(^^;お恥ずかしながら全てを網羅するとかそういう事もなく本編とCHARACTERSなどを追っかけていましたね…。でも劇場版には当時の最高のスタッフが揃っていました。監督やまざきかずお(うる星やつら3リメンバー・マイ・ラブ、うる星やつら4ラム・ザ・フォーエバー)、作画監督/キャラクターデザイン結城信輝(『天空のエスカフローネ』『宇宙戦艦ヤマト2199』)、脚本/遠藤明範(『機動戦士Zガンダム』『機動戦士ガンダムZZ』)という布陣です。特に結城さんはこの頃、永野護とは違うラインでどっちかというと暑苦しい絵柄でしたが強烈な迫力のある絵を書いてて、キャラ絵を観たときは全然違うなと思いましたが後年、動いているところを観るとこれがまた良かったりするんですよね。ただ結城さんのキャラデザインで食わず嫌いしてたところはあります(すみません) 


 内容は第1巻を手際よくまとめた感じになっており今観ても入門編として非常に良くできた1本ではあります。ただ言い換えると第1巻の物語は表層的には映画『卒業』(ダスティン・ホフマン主演)の変奏曲的なストーリーであり分かりやすさもあるし感情移入もしやすいという事でもあるんですが。しかし『ファイブスター物語』本編を読み込んでいるディープな星団民の皆さまは知っている事でしょう。見た目だけではない実は深いキャラ造形や奇想天外な伏線が忍ばせてあるという事を。それでもとっつきの良さで『重戦機エルガイム』の頃からの古株に加えてこの劇場版アニメーションで参入したファンも多い事かと思います。その意味ではこの『ファイブスター物語』劇場版アニメーションは大成功といっていいんじゃないでしょうか。


 また今回改めて思ったのは80年代のトレンドが漏れなく入っているなということです。地面の割れるシーン。やたらと空間を広く見せる背景(これは押井さんのTVアニメ『うる星やつら』からの流れを汲んでいると思うのですが。)アクションシーンも重量のあるものが地響きたてながら向かってくる感じをスローモーション的にして重量感を高めていました。ただその全てはGTMとなった今は違うという事を星団民は知った訳なんですよね。とはいえスーパーロボットの描写としては伝統の描き方をしており、そこは味わい深く思ったところでした。

『ファイブスター物語』×『花の詩女 ゴティックメード』

 別にこの作品同士は対決するものではありません。なんというか劇場版アニメーション『ファイブスター物語』はぶっちゃけて言うとヤマトからガンダムで巻き起こったアニメブームも収束が見えてきた頃。月刊ニュータイプの看板連載漫画であった『ファイブスター物語』をアニメ化しようとするのは全くもってビジネス的な要請だったと思います。とは言え創刊の時より2人3脚でやってきた月刊ニュータイプ初代編集長である佐藤良悦氏率いるトイズプレスに永野護のその版権コントロールが委ねられ一筋縄ではいかない状態での劇場アニメ化。そう言う事でスタッフワークに参加しなかった原作者永野護。

花の詩女 ゴティックメードワールドガイド/KADOKAWA刊/©EDIT/永野護(tonbori堂撮影)


 当初より自らの肩書をデザイナーといって憚らない永野護がZZガンダムのメカデザインや「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」のデザインワークから降板を余儀なくされたことでいろいろあったのはトイズプレス刊行の『マモルマニア』からしかうかがい知る事しか出来ませんが思うところはあったはずです。80年代トレンドのアニメとしては大正解であっても永野護の頭の中で思い描くモーターヘッドの動きやファティマの動きではないと。そしてそれはやがて『花の詩女 ゴティックメード』へと結実する事になった…。そう思っています。言い換えれば現在進行形の『ファイブスター物語』の物語の過去に起こった出来事を切り取った話であり、第1巻への変奏曲では無いかというのがtonbori堂の見立てです。


そんなことなんかある訳ないっぺよとクリス(永野護)なら言いそうですが、砂塵の中で起立するカイゼリン。物語の最後にファティマが出てきて終わる。大きな運命に委ねられた少年少女の物語。そう一致点が多いのですよ。そしてそこには連載してきて積み重ねたものがあり物語の行間が豊かになっているのです。それが『花の詩女 ゴティックメード』という作品だと思っています。


 またそのおかげで『ファイブスター物語』も今観るとこれまた多角的に色々楽しめる作品となりました。ログナーが出ていないとか初手の黒騎士のシーンが全く違うものになっているとか(若きドラグーン卿とエスト)などなど、行間が空いている分、脳内GTM変換などなど味わい深い楽しみ方が出来るようになったのです。これも『花の詩女 ゴティックメード』が出来たなればこそです。そういう事も多分頭の中にあったんじゃないかな?最初はOPのソープとラキシスのシーンはプレゼントかなと思ったんですよ。ナイト・オブ・ゴールドもマグナ・パレスとは思わず新しいナイト・オブ・ゴールドのバージョン違い(それは散々予告されていましたから)と思っていたんですがそうではなく、これはあの物語の運命のもう一つスイッチだったという事を宣言したものである…そう思えばこれまた合点が行く事になるのではと。そう想いを強く感じました。

COVID-19(新型コロナ禍)後のシネコンとドリパス10周年

 これは極私的な事ですが緊急事態宣言が出る前に最後に映画に行ったのは2月の『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』でした。それからシネコンはおろか繁華街にもあまり近寄らないようにしていました。お家時間でステイホームを実践してたわけなんですが、宣言解除後、今回久々に梅田という大阪の玄関口に行った訳です。完全に元のようにはなってはいませんが人出は戻りつつあるなと思いました。そして消毒、マスク。シネコン(TOHOシネマズ梅田)では器機による非接触検温を実施していました。そして席は一つ開けての市松模様の配置。新しい生活様式としてこれからしばらくはこれがスタンダードになるでしょう。ただシネコンでの興行はこりゃ大変だなと。これまででも満員になる映画とならない映画ってのはありました。だからよりお客さんのはいる映画をより多くかけてスクリーンを稼働する。それがシネコンのシステムです。しかしどんなに満員御礼の映画でも、それまでのキャパの半分だけになってしまう。これは他のエンターテインメントで観客を入れるビジネス全般に言える事ですが…。かなりスクリーンや実演はかなり厳しくなるのではと感じます。でもそんな中ドリパス10周年という事で旧作が今スクリーンにかかっている状況下だからこそ敢えて『ファイブスター物語』と『花の詩女 ゴティックメード』をかけて下さったのは本当にありがたい事でした。やはり家で観るスケール感とスクリーンで観るスケール感は全く違うし、音響もこのシステムを家で再現するのはかなり困難。それを手軽に楽しめるこの空間の良さというものを改めて感じた1日となりました。次の再演は何時になるかは分かりませんが出来る限りは『花の詩女 ゴティックメード』『ファイブスター物語』をスクリーン観たいと思いますし、他の作品でも例えばIMAXで上映していた『AKIRA』や『アベンジャーズ』などはチャンスと財布に余裕があれば観たかったしもしあなたが観たい作品があれば、そして財布に余裕があれば是非スクリーンに足を運んで欲しいと思います。一期一会の出会いもいいけれど時には再会を楽しむのもいい。スクリーンの楽しさを多くの人にも実感して欲しいですね。

ドリパス公式サイトhttps://www.dreampass.jp/

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