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tonbori堂「ドリパスから一掴み」戦争映画5選Vol.1「史上最大の作戦」から「激動の昭和史沖縄決戦」まで

2020年4月13日月曜日

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 COVID-19の感染が拡がり政府から緊急事態宣言が発令されました。こんな時はお家でおこもりな方も多いでしょう。こちらもAmazonプライム特典で鑑賞できる作品をチョイスしたりしておりましたが、今回は以前にやってました「ドリパスから一掴み」をお送りしたいと思います。これで温故知新、名作を再発見していただいて今なら配信サービスで観れるものもあるかと思いますので是非ご覧いただき、でCOVID-19の感染が収束した暁にはドリパスさんで投票していただくとひょっとしてスクリーンで再見できるかも?ということで何卒お付き合いのほどを。前回までは刑事映画(ポリスアクション)を中心に東西問わずまで幅を広げて15本ご紹介しましたが、今回は戦争映画をドリパスに投票できる映画から5本選んでみたいと思います。

その前に毎度おなじみのドリパスさんのご紹介をば。

ドリパスとは?

 好きな映画に投票し、毎週月曜日に得票数が最も多い映画3本が上映候補となってドリパス側から配給元などへ交渉。公開できる運びになればドリパスよりその映画のチケットが販売され鑑賞できるというものです。

ただし全ての作品の上映が担保されているわけではなく上映候補のまま塩漬けになっている作品もあれば繰り返し上位になり復活上映を果たしている作品もあります。それに交渉の末、配給元からNGが出る場合もありますのでご承知おきください。とにもかくにもまずは投票しないと始まらない。そういう観たい映画をもう一度スクリーンでみんなで観ようという趣旨のサイトです。(現在運営はTOHOシネマズが主体となっています。)

ドリパス | リクエストの多い映画を映画館で上映します!

tonbori堂おススメ戦争映画5選

 戦争といっても扱う戦争はいろいろあって、最近の湾岸戦争、アフガニスタン、ベトナムそして2度の世界大戦から、今も続く紛争まで入れると相当な数に昇ります。ということで今回はまず第二次世界大戦(WWⅡ)を描いたものを中心にご紹介したいと思います。

画像はイメージです/(ノルマンディー上陸作戦)
WikiImagesによるPixabayからの画像/画像はイメージです(WWⅡノルマンディー上陸作戦)


『史上最大の作戦』

 第二次世界大戦、連合軍の最大の作戦にしてヨーロッパ解放の端緒となった一大上陸作戦です。そう言えば最近ゾンビを絡めた『オーヴァーロード』(ノルマンディー上陸作戦の作戦暗号名がオーバーロード)がドラマ『LOST』新しい『スターウォーズ』などで有名なJJエイブラムス製作でありましたね。


 こちらはコーネリアス・ライアンの戦記を元にしたオールスター作品で米英独の有名俳優と監督も米側、英側、独側の3人という異例な超大作です。出てくる俳優を列記するだけでも大変なもので、ジョン・ウェイン、ヘンリー・フォンダ、ロバート・ミッチャム、エディ・アルバート、リチャード・バートン、ケネス・モア、ショーン・コネリー、クルト・ユルゲンス、ヴォルフガング・プライスetc。


 あまりにも登場人物が多く全てを覚えるのは大変ですが、時系列順に上陸作戦前の両軍の動向から作戦開始、後方への橋頭堡確保のための空挺部隊のグライダーやパラシュート降下。そしてノルマンディーの五つの地点からへの上陸が開始。(とりわけオマハと名付けられた海岸ではドイツ軍の頑強な抵抗にあい、多大な犠牲を払った激戦区となりました。)これらを原作戦記からの印象的なエピソードを絡めつつ物語を語らせるという長大な群像劇になっており交互にそれぞれの話が作戦進行順に進むので通しで観れば分かりやすいと思います。


 上層部の思惑や戦場で敢え無く散っていく兵士たち。守る側も甘い見立てや意思疎通に欠く上層部により未曾有の戦場にそれぞれがそれぞれの立場で臨む。そういう物語になっています。言うほどドイツが悪者で、連合軍が正義という訳ではなく一種俯瞰した描写の作品となっています。第二次世界大戦の転機となったノルマンディー上陸を描いた作品のマストとして一度は観て欲しい映画です。

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『大脱走』

 これは戦争映画の中でも連合軍の捕虜にスポットを当てた作品で、元になった実話があります。それを潤色したストーリーによる戦争映画です。監督は『荒野の七人』のジョン・スタージェス。彼が原作を読んですぐに映画化権の取得に動いたそうで、相当に話に入れ込んだのがよくわかります。


 キャストは、『荒野の七人』で売り出したスティーブ・マックイーン。同じく『荒野の七人』に出演していた、ワイルドな風貌で人気のあったチャールズ・ブロンソンとナイフ使いで搭乗していたジェームズ・コバーン。TV西部劇『マーベリック』で有名だったスター、(50代以上の人には『ロックフォードの事件メモ』の方が馴染みがあるかも)ジェームズ・ガーナ―に映画監督としても有名で、『ジュラシックパーク』で大富豪ハモンドをえんじたリチャード・アッテンボロー。


 大掛かりな戦闘シーンは出てきませんが、捕虜収容所から脱走を企む連合軍の捕虜とそれを阻止する側のドイツ軍側。一癖も二癖もある捕虜たちの奇想天外な脱走計画の結末はいかに?というこれまた何度観ても飽きない映画です。

特にクライマックスのマックイーンのバイクアクションは本当に一見の価値ありです。何故バイクアクションなのかは是非ご覧になって欲しいと思います。

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『荒鷲の要塞』

 戦争映画ではあるんですが、ちょっと毛色が変わっている作品です。『大脱走』も戦争映画でありながら戦闘シーンではなく脱走するところがメインとなっていますが、こちらはスパイ映画のような潜入、そして脱出を描く少人数による潜入部隊の戦いを描いています。原作は冒険小説を数多く手がけ『女王陛下のユリシーズ号』のアリステア・マクリーン。実は彼が脚本も手掛けており、構造的にナチスの難攻不落の要塞に潜入というともう一つの名作『ナバロンの要塞』を彷彿させます。


 『ナバロンの要塞』は断崖絶壁の島でしたがこちらは山の上にある古城。鷲の城と呼ばれ、麓からはロープウェイでしか城に行けず難攻不落の要塞。そして山中にあるため軍勢をもって侵攻するのも難しいというもの。英軍のスミス少佐率いる5名の隊員と米軍のレンジャー部隊のシェイファー中尉を含めた7名で後方に落下傘降下しドイツ軍に偽装して潜入、城に囚われた欧州の反攻作戦をキーマンであるカーナービー将軍を救出するのが目的でした。果たしてスミス少佐は敵中の中無事将軍を救出できるのか?というあらすじですが、本当に戦争映画というよりは冒険、スパイアクションに近いかもしれません。


 ただ米軍、英軍、そして独軍揃いぶみで冒頭は敵中に落下傘降下するため敵から鹵獲したユンカース輸送機を使う(本物です!)という凝り具合。もっとも細かいところではドイツ軍のものではないヘリコプター(ナチスマークはついているけれどどうみてもベルのヘリコプター、この時代には無い)が出てますが、量産にはいたらないもののドイツには回転翼機のプロジェクトがあり飛行したものもあるというのは史実を使った空想シーンとしては面白いアイデアでした。


 キャストはリチャード・バートンにクリント・イーストウッド。イギリス人らしいタフガイバートンと、米国人気質まるだしのイーストウッドの取り合わせはなんとも珍しく、またアクションの立ち回りもイーストウッドらしいものですし、台詞のやりとりでのバートンの芝居がかった仕草もまた良いのです。戦争映画というにはちょっと毛色が違い過ぎるかもしれませんが英国らしいプロットの作品として非常に面白い冒険活劇の1本です。

[映画]荒鷲の要塞を映画館で上映しよう! | ドリパス

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『U・ボート』

 連合軍側ばかりではバランスがとれないのでドイツ軍側の映画も。大西洋で群狼作戦で連合軍側の補給線を締めあげたもののソナーを装備した駆逐艦に次第に追い詰められていったドイツ海軍のU・ボート部隊の中の1隻を描いた群像劇です。


 艦長以下生え抜きの乗組員たちの戦いぶりを戦意高揚のプロパガンダのため取材しに軍の報道班のヴェルナーがU-96に乗り組むところから話は始まります。ナチス・ドイツ側は既にケルンまで爆撃を受けており戦況は厳しさを増していましたが兵士たちは意気高揚としていました。もっとも潜水艦の乗組員は攻撃を喰らうとあっという間にお陀仏。明日をも知れぬわが身を馬鹿騒ぎを出航前にするのが常でした。そういった描写から航海中のむさくるしさ。まさに息のつまる描写が満載の潜水艦映画の傑作です。


 航海中に任務を受け敵船団を索敵、攻撃、敵駆逐艦の追跡、爆雷を受けて海底に着底、バッテリーの損傷で九死に一生を得て、なお本国からは地中海の要衝であり難所でもあるジブラルタル海峡の敵中突破を命令されと、まさに困難に突き進みながら艦と命を共にする艦長以下乗組員の生き様を濃縮して描き出しています。


 元々はドイツのTVシリーズとして制作されたものを編集して映画として公開。完成までに2年の歳月をかけ、艦長以下の乗組員役も無精ひげ伸ばし放題で狭い潜水艦セットでの撮影でキャストは疲労していき、長い航海のあのやつれた感じが出たとも。実際映画で潜水艦のシーンで秀逸な映画は色々ありますが、『U・ボート』ほど圧迫感のある作品はあまりお目にかかった事がありません。是非とも潜水艦映画の傑作として、また戦争の無常観がよく出た作品としてご覧いただきたい1本です。

『激動の昭和史 沖縄決戦』

 日本の戦争映画は第二次世界大戦のものは殆ど太平洋戦争の話であり、日中戦争(支那事変)もそこに含まれます。そしてこの映画は戦争末期、日本攻略の足がかりとするため米軍がの攻めてきた沖縄での戦闘を中心に描いた作品です。


 サイパンは既に陥落し、マリアナ諸島から飛来するB29の中継地としての橋頭保を確保するため米軍は沖縄上陸作戦を開始、対する日本軍はここを本土防衛のための防波堤と設定し徹底的に抗戦し本土決戦の準備とするという計画を考えていました。(実際には物資も乏しく本土決戦のための装備も人員も不足し国民総動員でというところまで本気で検討していたようです。)


 そのためその直前にあった硫黄島の戦いのように敵軍を誘い込み、これを各個撃破するという作戦を打ち出したわけですが物量で押す米軍に対し日本軍はすぐに物資が欠乏。追い詰められていく事になります。この作品はその沖縄の陸軍第32軍司令官、牛島中将をはじめ帝国陸軍側がいかに戦い沖縄全土が焦土とかしていったかを追う映画です。ひめゆり学徒隊なども出てきたり徴用された島民たちや一般兵士がいかに戦い散っていったかを淡々を追う作品で、これを観ると何時もやるせなくなるのです。それでも昨今の事を思えばこの作品は是非観るべきだと思います。


 監督は岡本喜八、『独立愚連隊』シリーズやなど戦争の馬鹿馬鹿しさを描きながらも娯楽作品を撮り、『肉弾』ではさらにそれを推し進めた戦闘シーンの無い戦争の非道さ、無常さ、馬鹿馬鹿しさを追求していましたが、この作品では大きな波に翻弄されて命を散らしていった人々をじっくりと追っています。キャストには牛島中将に小林桂樹、長参謀長に丹波哲郎、八原高級参謀に仲代達矢。他オールスターキャストによるいわゆる8.15シリーズの作品です。

[映画]激動の昭和史 沖縄決戦を映画館で上映しよう! | ドリパス

Amazon Prime Video配信中|『激動の昭和史 沖縄決戦』/©東宝


次回の『ドリパスから一掴み』は

 やはり戦争映画となると日本の映画もいれないとと考えるとちょっとヘヴィなラインナップになったかもしれませんがどれもよく出来た作品ですし、特に『史上最大の作戦』『大脱走』『激動の昭和史 沖縄決戦』あたりは基礎のキとして観て欲しいなと思う作品です。ドリパスでリクエスト集まればもしかすると…。


 次回ももう1回戦争映画特集をしたいと思います。『荒鷲の要塞』のような変わり種ばかりになるのか、それとも『史上最大の作戦』のようなド直球な作品ばかりになるのか?請うご期待。そして「tonbori堂映画語り」としてこの辺りの作品たちもまたエントリを立ててみたいと思っています。『史上最大の作戦』や『大脱走』とかめちゃくちゃ語りがいのある作品ですし、『荒鷲の要塞』も好きなんですよ。ああ、当然『U・ボート』『激動の昭和史 沖縄決戦』も同様です。という事で次回もまた『ドリパスから一掴み』で何卒よしなに<(_ _)>

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