旅路の終わり|『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』|感想|【ネタバレ注意!】-Web-tonbori堂アネックス

旅路の終わり|『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』|感想|【ネタバレ注意!】

2019年12月20日金曜日

movie SF VFX

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 最速上映に参戦してきて観てきました。ともかくいろいろ言いたいこともあるけど昨日の今日でネタバレで語るのもなんなので、一応配慮はしています。しかし、もししていてもそこは平にご容赦を。情報を一切遮断されたい方は鑑賞までネット絶ちをされた方がよろしいかと思います。この『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』はルーカス・フィルムから製作がディズニーに移ってからの『スター・ウォーズ』3部作の完結でもありますが、最初の3部作からのファンとしては、スカイウォーカーの物語が完結するという事に感慨深いものがありました。そしてその物語は無事に着地したのかどうかなどを少し書き留めていきたいと思います。

Star Wars: The Rise of Skywalker | Final Trailer|youtubeより|

STORY/オープニングクロール

 遠い遠い遥か彼方の銀河系で…

 クレイトの戦いから1年、レジスタンスは体勢を立て直したがその矢先衝撃が走る。先の帝国皇帝、パルパティーンが蘇り銀河へメッセージを発したのであった。レジスタンスの司令官であるレイアはすぐさま情報を収集するように命じる。そしてファースト・オーダーとの最終対決へ向けレイへジェダイの修行をルークに代わり導く。一方スノークを倒しファースト・オーダーの最高指導者となったカイロ・レンもその声を主を突き止め自らの力を誇示するためそして脅威となるものを排除するためパルパティーンの存在を突き止めようとしていた。

 果たして皇帝は蘇ったのか?レイ、フィン、ポーは皇帝の謎を解くためシスの古いコンパス、ウェイファインダーを探しだしその航路を探す旅に出る事になる。残された時間はあと僅か。果たしてパルパティーンは本当に蘇ったのか?カイロとレイの決着は?全てが終結するのか?彼らの長き旅路の終わりを我々は目撃する事になる…

最後のジェダイ

 なんでしょうね、一言で言うと詰め込み過ぎな印象を受けました。前作『最後のジェダイ』では監督のライアン・ジョンソンが間を取りゆったりとそれぞれのキャラクターを掘り下げようとして、新しいキャラとしてローズとフィンを描き、レイとカイロ・レン、ポーとレイアという対比をさせていった訳ですけれど、反面ルークが偏屈親父になってしまったり、なんだかディテールの点で乗り切れない演出も多々あり、その上、今作にあたる3作目の監督脚本に予定されていた『ジュラシックワールド』のコリン・トレボロウは製作上の不一致で降板。また重要な役割を以ってくるレイア役のキャリー・フィッシャーの急逝という事態となり一時は暗礁に乗り上げるかとも思われたこの『スカイウォーカーの夜明け』は結果、『フォースの覚醒』のJJ・エイブラムスの再登板という事で最終的な船出をするに至った訳です。


 正直、『最後のジェダイ』で提示されたレイの両親についての問題、カイロ・レン=ベン・ソロは第二のダース・ベイダーになったのか?などなど積み残し問題を解決するために本来ならばある程度時間をかけて語られてもいいストーリーを前作から2年ちょっとで作り上げたため(実際には前作終了前から走っていたとしても降板劇やフィッシャーの急逝により)かなり難しいかじ取りを要求された事は想像に難くありません。この『スカイウォーカーの夜明け』を観ていると続3部作(シークエル・トリロジー)が作られる前にはっきりとしたロードマップが無かったという事がはっきりと露呈してしまった。いやかっちりとしたロードマップを作るともしかするとあっちにふらふらこっちにふらふらしてしまうからある程度のものでいいんですが、例えばレイの正体だけは決めておいて、あとはキャラを転がしてみて決めるとか、フィンに大きな役割を持たせることだけを決めて他は空けておくがファースト・オーダーとの決着は付けるとか。


 『スター・ウォーズ』というのはサーガとして深遠な物語世界を持つに至りましたが、その後サーガはスピンオフや小説、コミックなどで拡がり続けました。また映画に台詞でしか出てこない星系などもデータ化され広域なマップが出来上がっています。それらがルーカス・フィルムからディズニー・スタジオへの売却時に、正史(カノン)とそういうスピンオフはレジェンズとに分けられました。その後『フォースの覚醒』以後の作品と旧3部作、新3部作に続きこれを正史世界として編み直したと思われていたのですが、スター・ウォーズを現在コントロールしているルーカス・フィルムのキャスリーン・ケネディはマーベルのケビン・ファイギのように最終的にここに着地させようというコントロールをしていなかったように思えます。いや実際にはある程度の着地点は定まっていたのかもしれませんが、これはレイとカイロ・レン=ベン・ソロ。そしてレジスタンスの仲間たちの旅路の物語であれば多分一貫したシナリオで話を紡ぐべきだったのではないかなと観ていて思いました。


 『ロード・オブ・ザ・リング』は全てピーター・ジャクソンが監督しましたが、トールキンの『指輪物語』という原典があってそこを基本にジャクソンが潤色していったことにより、迷ったら原典(原作)に戻るという指針がありました。しかし『スター・ウォーズ』をマーベル作品のようにそれぞれ別々の監督に委ねてというのはいいんですけれどシナリオのコントロールは筋を通しておいた方が良かったのではないかと。例えばJJがやるなら3部作のシナリオは全てJJがやるとか、ジョンソンがやるならジョンソンに3部作任せるとか。(次の作品はジョンソンに任せるという話だそうですが)『スター・ウォーズ』というのは集合体としてのサーガではなく大河ドラマとしてのサーガなのだという事が今回強く感じた事です。なので作品として結果的にこれはケネディが提示したのか、ディズニーなのかは分かりませんけどJJ、置きに行ったなという感じが凄くありました。そのため『フォースの覚醒』からの『新たなる希望』からの『ジェダイの帰還』としての『スカイウォーカーの夜明け』という感じがとてつもなく強く感じました。

旧3部作からの旅路の終わりに

 それでも『エピソードⅣ新たなる希望』からのスカイウォーカーの一族の物語に決着が付く(付いたかどうかはご自分の目でお確かめください。)この物語、やはりエンディングにジョン・ウィリアムズのスコアがジャーンとかかるとやはりああ、これで終ったと感慨深いものを感じることになるのです。当然オープニングもあのSTAR・WARSのロゴからの文字がぐわーっとロールしていってイントロダクションが語られるとやっぱり盛り上がるし、本当にジョン・ウィリアムズのサウンドトラックはエバーグリーンであるなと再確認しました。そしてそれがあるからこそ色々思うところがあっても物語を着地させたことに、さらに想いを馳せることになる訳です。


 それとともに今後また新しい『スター・ウォーズ』のサーガが語られるとしても次は全く新しい作品となるでしょう。それはレイ、フィン、ポー達が登場する、しない如何に関わらずそうなるべきだと思います。何故ならやはりこの『フォースの覚醒』からの続3部作(シークエル・トリロジー)はプリクエル・トリロジーから続くスカイウォーカーの物語の終焉なのだから、次は新しい時代のスター・ウォーズを語るべき時ではないかと思ったからです。ザ・ワン(選ばれし者)であったスカイウォーカーの物語の結末がついた以上、次は新しい時代へと踏み出して欲しい。そしてそこにウィリアムズのスコアによるスター・ウォーズのテーマがのればそれは紛れもない『スター・ウォーズ』なのですから。スカイウォーカーの終焉を見届けられた事と新しい『スター・ウォーズ』への出会いも楽しみになってきたというのが今回の映画を観た正直な感想です。


 もしあなたがかつて『スター・ウォーズ』(1978年)を観て胸を躍らせた少年だったならこの映画を観てそれまでの道程に想いを馳せるも良し、新3部作で『スター・ウォーズ』に触れたならアナキンの始めた事がどのように着地したのか見届けるのも良し。この続3部作から観た人はこのシークエル・トリロジーの決着をその眼で確かめて欲しいと思います。

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