1号限りの復活、Animec/アニメックを読んで。|tonbori堂昔話り-Web-tonbori堂アネックス

1号限りの復活、Animec/アニメックを読んで。|tonbori堂昔話り

2019年11月21日木曜日

anime book

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 ガンダム40周年記念号と銘打ってはいますが、ガンダム40周年に併せてあの頃アニメージュなどの大手出版社とは違った目線でアニメブームの最前線にいた雑誌『アニメック』が1号限りの復活を果たしました。つい最近も出発はアニメ雑誌ではなかったけれどアニメをメインに扱いアニメ誌と認識されていた『OUT』が同じく1号限りの復活をとげましたが、今回の企画は現KADOKAWA代表取締役副社長である井上伸一郎氏が40年の冠を使って温めていた企画を実現したというのが正しいでしょう。実際あとがきにもそう書いてありますし。現NewType(ニュータイプ)の編集長、角清人氏が編集人と名を連ねていますが実質㏋(HとPがくっ付いた馬力という単位単語)こと井上副編(アニメック2代目副編集長)のお仕事だなと思いました。そんなわけで久しぶりに読んだアニメックから色々思い出した当時のことを書いてみたいと思います。

アニメック ガンダム40周年記念号 (カドカワムック)/tonbori堂所蔵
アニメック ガンダム40周年記念号 (カドカワムック/リンクはAmazon) /tonbori堂所蔵

アニメックの想い出

 tonbori堂、アニメックを買ったのは何時頃かなあ考えてたんですが高校生の頃ではなかったかと思います。最高アニメ誌4誌を買ってたこともありました。(アニメージュ、マイアニメ、OUT、アニメック)実際のところOUTは最初はアニメ誌ではなかったように思ったんですけれどアニメ中心になってからは割と買っていましたね。でもお小遣いではさすがに毎月全部を買うのは難しい。なので基本はアニメージュと初期のアニメックは隔月だったのでバラっと読んで興味の引く柱(記事や特集)があれば買っていました。


 未だに発行されているアニメ誌は3誌、アニメージュ、ニュータイプ、アニメディアくらいでしょうか。tonbori堂が続けて買っていたのはニュータイプはマイアニメと入れ替わりのようになったのかな?アニメージュはナウシカの連載が終わったころに買うのを辞めました。実際いろいろ雑誌を買い続けるというのは読むことも含めてエネルギーがいるのです。だから好きという部分が少しでも減るとかなり厳しくなります。アニメックも実は最終号までは買ってなかったように思います。


 多分それにはニュータイプの登場が大きく関わっていて、それはエルガイムのメカデザインでtonbori堂の心をがっちりつかんだ永野護の漫画が出るという話が一番大きかったのかな…。そして気が付くと井上さんの名前がニュータイプにあって(@_@)びっくりしたことも(割と巻末のスタッフとかそういうところはチェックする方なので。)これも何かの因縁かもしれないなとか(笑)それでもアニメックは好きな雑誌で、特集、論評などなど影響を受けてる部分は小さくありません。今でも機動戦士ガンダム大事典(2も)、聖戦士ダンバイン大事典、戦闘メカザブングル大事典、重戦機エルガイム大事典、機動戦士Zガンダム大事典という大事典シリーズは本誌は処分してしまったけれど未だに手元に残してあります。


アニメック増刊大事典シリーズ。左側からガンダム、ガンダムPART2、ザブングル、ダンバイン、エルガイム
アニメック増刊大事典シリーズ。左側からガンダム、ガンダムPART2、ザブングル、ダンバイン、エルガイム
tonbori堂蔵書/発行ラポート/©創通エージェンシー/サンライズ

 元々、評論系、分析系の記事が好きだったこともに大きく要因としてあって、そういう意味ではニュータイプは実はアニメージュより読み物系が若干弱いように捉えられていると思うんですが(実際テキストは少ない)、実はコピーの付け方やグラビアなど版権ビジュアルをメインにしつつも細かいところで短い文章に芯を掴んだ部分を入れようと努力の後が見えてけっこうそれがお洒落に映ったものです。アニメックとはまた違うマナーの文章にはまっていた時期でもありました。と、ちょっと横道に逸れちゃいましたね。今はこれらの雑誌は殆ど休刊し残っている月刊アニメ誌はアニメージュ、ニュータイプ、アニメディア。(特殊なグレートメカニックのような季刊の雑誌もありますけど)一時は5誌以上も有りブームに乗ってしのぎを削っていましたが随分落ち着いたものだと思います。もっとも評論系や分析、研究系は他の映像媒体を語る雑誌でも苦戦しているので(権威のある雑誌でも)それから考えるとテキスト量の多いアニメックは取材、編集手法をとっても本当に今回の小牧編集長と井上副編の対談を読んでも大変だったんだなと思いました。

ライバルとしての「OUT」

 まったく違う誌面(といってもOUTのヤマト特集号を作ったのはアニメック編集長の小牧さんなのですが)だけど何故かOUTとアニメックってのは自分の中では対になっていたところがあって、いわゆる特集本(ムック、アニメックだと大事典、OUTはガンダム・センチュリー)では両者のカラーがはっきりと出ていました。アニメックは文芸誌というか読み物系の系譜を持ち、OUTはビジュアルもふんだんに取り入れたグラビア系雑誌の匂いと申しましょうか。

 そうですねえ、アニメックがオートメカニックならばOUTはNAVIといえば分かってもらえるでしょうか(余計に分からないよ!)とクルマ雑誌を読んでいる人にしか分からない話ですね(^^;でもテキストはどちらも多いんですよ。ガンダム・センチュリーも実はテキスト結構あるのです。この流れはマクロス・パーフェクトメモリーやボトムズ・オデッセイなどにひきつがれていきアニメックは大事典シリーズとして定着していきました。前にでたOUTの1号限りの復活号(ヤマト2202特集)もKADOKAWAからの発刊というのは時の流れを感じます。

OUT 宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 特集号 (カドカワムック 775)/Amazon

数多くの才能

 ここから育った人も多いですよね。tonbori堂はOUTとアニメックで、ゆうきまさみという漫画家を知りました。後年、週刊少年サンデーで『究極超人あ〜る』で週刊連載が始まった時は、なんか小躍りしちゃったもんです(その前に月刊連載で『鉄腕バーディ』という作品もありましたけども。こちらも面白いので是非)今回、メッセージを寄せてる人達を見て、あ、懐かしいとなったり、えっこの方も?という驚きもあったり。朝ドラライターさんという認識(その前はSPECに詳しいライターさんと覚えてた。)木俣冬さんがアニメックに出入りしてたとか、脚本家の會川昇さんもそうだったとか、あ、平松広和さんアニメックでバイトしてた話、前にどっかで読んでたんだけどこれを読むまですっかり忘れていました(笑)表紙のことぶきつかささんはそういえばだったんですけど高河ゆんさんもかーと、同じラポートの『ふぁんろーど』(今は別の会社に版権が移動)かなと思っていましたけど人の記憶ってのはわりかしいい加減だなあと思う事しきりです。


 そして池田憲章さんの名調子が読めたのは嬉しかったですね。SFヒーロー列伝、復活号では『快傑ズバット』でした。tonbori堂は本誌掲載時にこの連載を読んで『怪奇大作戦』を再発見したので凄く懐かしかった。それまで『怪奇大作戦』って辛気臭い特撮ドラマなんだけど、みょうに惹きつけられる凄みがあってそれがなんだか分からなかったんですけどそのもやもやがすっきり解消されたというか。あれが無かったら『怪奇大作戦』って記憶の忘却の彼方に押しやられていたと思っています。また封印作品でもある「狂鬼人間」やウルトラセブンの「遊星から愛をこめて」もそうだったような…。やっぱり記憶がしっかりしていないな(^^;キカイダーも01などその少し前までよく再放送していたもんだからやっぱり目がウロコだったことも多かったですよね。

アニメ新世紀宣言から4半世紀以上を越え

 そして特集でアニメ新世紀宣言の想い出をKADOKAWAが運営している小説投稿サイト「カクヨム」で募集をしていたことを知り、ああそんな面白い企画があったのかと入選した4本を読んで、あらためて途方もない時が過ぎたなあと感じ入りました。それは『富野由悠季の世界』を見てきたときにも思ったのですが、富野監督が第一線でバリバリお仕事をされて脂の乗り切った頃、そして今もなお監督のお仕事を見てるわけでして、考えてみると凄いことですよね。そして監督自身今も新しい人達に対抗心を燃やし続けて創作にいどんでいらっしゃる。それに付きます。ちなみにアニメ新世紀宣言はアニメックをはじめとするアニメ誌でその熱気を感じただけで、こちらとしては大阪で悶々としていましたね。


 ただ、たまたまDAICONフィルムが創設したSFショップ「ゼネラルプロダクツ」が環状線沿線の桃谷駅近くで開業したということを聞きつけ(いやそれもアニメックとかに広告というかゼネプロの中心メンバーであった関西商人の2人、オタキングこと岡田斗司夫さんと快傑のーてんきこと武田康廣さんの連載ありましたからね。)あの頃ゼネプロで些少ながらも幾らか散財した事を思い出しました。色々あって処分したものの、幾つか残っているのはバランのミニフィギュアと園田健一さんの同人誌メカオペブック、そして士郎正宗の同人誌漫画「ブラックマジック」にDAICONオープニングアニメのVHSビデオが今手元に残っています。どれも思い出深いものばかりです。そう言えばこの辺りの内幕話は島本和彦先生の『アオイホノオ』でも描かれていますが、tonbori堂はそれを外から見てスゲー人たちがいるなあって思っていたのでした。そしてその同じ空気をちょっとだけ吸って明日への糧としていた。そんな時代でした。で後年それを読んでそうだったのかと(当然オタキングの昔語りとかと併せてですが)思ったのもなんか面白いですよね(笑)

 今回の復活号を読むとテクノロジーは進歩したけど好きなものは変らないなあと。ただあの頃よりは色々なものを見て、体験し、痛い目にもいい目にも会いました。ともかくガンダムも40年、この先どこまで付き合えるかは分からないけれど楽しめるうちは楽しみたいですね。当然それは富野監督の新作や永野護のファイブスター物語とか、それ以外にも色々と。そしてまたこういう振り返りが出来ればいいですね。

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