「破烈の人形」【ザ・ダルマス/S.S.Iクバルカン】|ファイブスター物語/FSS解説【ネタバレ注意】-Web-tonbori堂アネックス

「破烈の人形」【ザ・ダルマス/S.S.Iクバルカン】|ファイブスター物語/FSS解説【ネタバレ注意】

2019年9月9日月曜日

FSS manga ROBOT

X f B! P L

 実はこのエントリ、結構前に書いてて連載中の黒騎士vs破烈の人形の時に書き上げたんですが、書き上げたのが翌月号の発売近くでタイミングを逃しそのままお蔵入りしていたものです(笑)でも15巻のスリーブノートにどうやらMk3破烈の人形の全身キャラシートが掲載されそうなので(GTM公式サイトでシルエットが公開中、15巻発売日に解禁だそうです。)この機に公開することにしました(笑)

ソース|=GOTHICMADE=

破烈の人形

 モータヘッドからゴティックメードに代わっても、バングからダルマスに名前が変わっても、その異名と正式名称S.S.Iクバルカンは変わらない(ロボットの設定は大きく変わりましたが)カラミティ・ゴーダーズで巨大帝国フィルモアに次いで歴史を持つ国家、クバルカン法国の「最高機密兵器」それが『破烈の人形』です。

月刊ニュータイプ2015年4月号/表紙はザ・ダルマス『破烈の人形』/©永野護/EDIT
月刊ニュータイプ2015年4月号/表紙はザ・ダルマス『破烈の人形』/©永野護/EDIT|tonbori堂蔵書



 今回はゴティックメードに設定変更後に登場したザ・ダルマス『破烈の人形』の事を、モータヘッド時代バング(バングドール)の設定と突き合わせて私的メモとして書いておきたいと思います。

月刊ニュータイプ2015年4月号/表紙はザ・ダルマス『破烈の人形』/©永野護/EDIT(リンクはAmazon)

S.S.Iクバルカン

 tonbori堂、よく破裂と書いてしまう破烈の人形。最初に目にしたときの名称は確かバングドールでした。空中戦艦(エアドーリー)のモーターヘッド用テーブルから降下しようとしている頭部に長い一角獣のような角(ポール)をもった重厚なモーターヘッド。その姿は今のカラーリング、薄いブルーではなくグレーのカラーリングで重いイメージかつ中世の騎士のようなシルエットを持つものでした。今でもそのイラストを見ると素直にカッコイイとなります。


 初出はトイズプレスから刊行された『JOKER3100』で、その頃はまだクバルカン法国は物語には登場していませんでしたが、進むにつれてこのスーパーロボットが登場するのは何時の日かと心を躍らせたものです。正式名称はS.S.Iクバルカン、S.S.Iはショルティ・スーパー・イモータルの略で永遠不滅のクバルカンという意味になるとか。イモータルとは死の運命の反対、不死者や神々を指す言葉でジョーカーは既に宗教がないことから考えるとこのイモータルにスーパーがついてるあたり永遠不滅という意味で納得できます。ショルティはカラミティの大陸でグレート・ショルティとイースタン・ショルティに分かれておりクバルカンはグレート・ショルティの西部に位置していますがショルティの「永遠不滅」と謳うあたり騎士国家としての矜持がフィルモアとはまた別の意味で伺えます。


 かと言って国家間での諍いというのはあまり見られなく、それは互いに長い間にいろいろあったからで『花の詩女 ゴティックメード』のハイランダーの一人ブリッジにいたルドルフ・サヤステはクバルカンの太閤であることからもフィルモアになる前のドナウ帝国時代からの国家としての付き合いがあったという事です。(成立のための足掛かりとしてシステム・カリギュラとの付き合いもあったとも言われていますが、それは後の事です。)

カステポーの壊し屋vsルーン騎士

 このロボットが本編物語に登場したのは第3話『トラフィックス』でした。物語の前半に搭乗した石頭の兄さんことミューズ・ヴァン・レイバック枢機卿とファティマ「静」。中盤はヒッター子爵ことダグラス・カイエンとアトロポスの出会い、そしてミースとカイエンの縁が描かれたシルバ―ナイトのエピソード(チバム城の怪盗)を経て、カステポーの壊し屋ことメヨーヨ朝廷のイラーの操るプロトアシュラ・テンプル(現GTMホウライ)と破烈の人形の対決でS.S.Iクバルカンは華々しく姿を現したのです。


 いや華々しくではないですね。登場した最初は、ミューズのトレーラー(モーターヘッドドーリーにしては小型すぎてMHが格納出来ない)から登場した時はまるで寸詰まりの不格好な格納形態で登場し、預かり屋のおやじさんが、「音までだっせえ」と言わしめましたが、あれはアイドル(暖機)状態で、静のコントロールから一気に変形しテレポーテーションするシーンから擱座したアイシャの駆るクロス・ミラージュに斧を振り上げたアシュラが今まさに迫ろうというところでまさに千両役者のように登場しました。まさにヒーローロボットの登場とはこういう事だと言わんばかりのシーンで、ロボットの登場シーンには本当に気を使うクリス(永野護)の力の入ったシーンの一つだと思います。

MAMORU NAGANO COLLECTION/トイズプレス
トイズプレスのMAMORU NAGANO COLLEECTIONの表紙、折り返し部にもイラストが続いています。|tonbori堂蔵書

※トイズプレスのMAMORU NAGANO COLLEECTION表紙。ニュータイプにもトラフィクス開幕時に掲載された記憶があります。上のグレーのモーターヘッドが破烈の人形。そしてミューズと静。見切れているのはデコース、そしてアシュラ・テンプルの肩。

 武装にはエネルギーソードという腰部より引き込んだイレイザーエネルギーを実剣の刀身にのせ相手を破壊する恐るべき兵器を使用していましたが、使用例はその時点で過去に2回のみという、これまた最高機密兵器らしい強烈な武装です。なにせあのカイエンがアシュラと組みあった時のスパイド同士の鍔迫り合いの音(バシィッという擬音がついていました)で「ヤベェよ」というほどの代物です。そして時は流れ再び物語に登場する時は、新しくGTMのダルマス、破烈の人形として我々の前に姿を現した時にはまったく前回とは違う、『花の詩女 ゴティックメード』を観た人間なら、あの飛行時の爆音が頭の中に再現されたことでしょう。あのシルエットからどうやって変形するのかまでをしてみせて2度目の登場シーンを飾ったのです。


 これ思えばアイシャのクロスがピンチに陥った時と対になってるのではないかと思っているんですがどうでしょう。このところ連載再開後からここまで以前のストーリーをそれとは違う感じでやっているというのを強く感じるのです。それは『花の詩女 ゴティックメード』が『劇場版ファイブスター物語』に対するものとしてtonbori堂が感じるのと同じものでして、となれば回想シーンでカイゼリンの登場シーンは一度描かれましたが、あれと同じ状況が再度描かれるはずと思っています。とこれは余談でした(^^;そしてその手にはガットブロウが握られていましたが、何かの紐状のものが胴体とガットブロウ本体をつないでいます。これはもしやと思ったらやはりエネルギーソードの設定を引き継ぐ機密兵器ディストーション・ブレード・ブロウでした。

エネルギーソードからディストーション・ブレード・ブロウ

 破烈の人形が使うエネルギーソードはGTMではディストーション・ブレード・ブロウ、略してD・B・Bと名称が変更されました。モータヘッドの時のエネルギー・ソード設定を引き継いでいると思われますが、となれば過去の使用例2回のうち1回はアルテン・サヤステ対ツーリー・パイドルだったのではないかというのがファイブスター物語ファンでの定説になりつつあります。そんな使用例の少ない武器の事をなぜデコースは知っていたのか?


 D・B・Bについて知っていたのはメヨーヨ朝廷からのデータ、彼らの実験開発部隊の大元は全滅したとはいえ、AFアナンダは生存しており、その後彼はクラーケンベールに粛清されましたが、アナンダを殺す前にクラーケンベールが脳からデータを吸い上げた可能性もあるでしょうし(ここらは考えるとけっこうグロい話になっちゃいますが)。母艦もサンダードラゴン(当時はまだドラゴン)のライトニング・ブラストで消滅したとはいえその前にデータ通信を幾らか流していた可能性も考えられます…。実際、破烈の人形の詳しいデータは流出していないからこそカイエンもミューズに接近した訳ですし、ジョーカー星団ではミラージュマシンとは別な意味でレアな兵器。GTMの用法上、集団戦では通常のガットブロウの方が有利でしょうが、単行本1巻のような旗騎同士の一騎打ちではこのD・B・Bは一撃必殺の武器として使いようがあると思われます。反対に集団戦ではエネルギー切れを起こしたらそれで終わってしまう一騎打ちにしか使えない武器であるとも言えますね。ワンショット・ワンキルな武器です。ガットブロウ自体は電磁波エネルギーを刀身に発生させてヘリオス装甲を破断するGTMにとってはなくてはならない武器で、GTM同士の戦いに欠かせないものですが、剣聖クラスでないとメインフレームである胴体部を支える竜骨部分の切断は難しいという設定があります。


 しかしD・B・Bはガットブロウの超強力版。かすっただけでも致命傷になるそういう武器です。もしかして…もしかしてですが剣聖でなくとも天位を持つ騎士ならその威力で…黒騎士戦では間合いをとって一気に相手に肉薄し叩く戦法をとっていましたが、GTMの文字通り支えているフレームを両断出来るかも?まさに必殺の武器だと言えます。そんなことを書いているとあのトラフィックス1のカステポーの壊し屋VSクバルカンのルーン騎士の対決をGTM版でがっつり観たくなってきますね(笑)ホウライプロトタイプのアイドラフライヤー『ドラゴントゥース』も気になりますし。ちなみにディストーションとは歪みを意味しますが、クリス(永野護)から連想するのは音響効果装置としてのディストーションです。エフェクターの一種でエレキギターの音をわざと歪ませ迫力のある音を出すというもの。ロック、ヘビーメタル、いろんなジャンルで使われていますが特にハードロック、パンク、ヘビーメタル系が多いかと思います。

余談:サンダードラゴンとセントリー・ブリッツ

 ちょうどアシュラvs破烈の人形が行われる前、外で警戒していたカイエンとミューズ、静がサンダードラゴンと対面したことがありましたが、設定がセントリーになった事によりブリッツは、ドラゴンのように普通には見えないので、あの話を今描くとあの時のようなことにならないんじゃないかなあって思ったんですが…。静はサンダードラゴンに睨まれて、それでもなんとかお願いをしたことによりサンダーは去っていきましたが…ブリッツだとどういう事になるのかリブートのリブートして…ってのは難しいですかね。でも静の胸にはセントリードロップがあるからなんらかのコミュニケーションはあったはずなんですが…凄く気になります。

Mk3.リッタージェット 破烈の人形

 モータヘッドS.S.Iクバルカンの最初の詳しい設定時には製作は3人のマイト(現ガーランド)が関わっていると明かされ、ルビコン、フェードラのストーイ・ワーナー博士(言うまでも無くエルディアイ・ツバンツヒ「スペック」です)が設計し、チューニングは黒騎士バッシュのルミラン・クロスビンが。そしてファティマ(AF)・コントロールはバランシェが手がけたとなっていました。その後、GTMへの移行が水面下で進められていた時に、最初の段階でストーイ博士がカリギュラ設定というのがGTM前か後で変わってくるんですが、シン・ファイアからAF搭載へと変更になったとあります。


 またバングはS.S.Iクバルカンとしてカリギュラからクバルカンに譲渡された。その代わりにサヤステ家のAFであった「湖のオーハイネ」はツバンツヒに嫁いだという設定へとなっていたはずです。ですがこのルミラン・クロスビンがチューニングを担当した設定が実は生きていてバーシャのエピソードで語られたアルテン・サヤステの駆るバングとツーリー・パイドルのバッシュ(当時)でバングが勝利したのは静がクロスビンの癖を知っていたからというのが伏線として浮かび上がってくるようになっていたのです。さすがにこの設定忘れていました(^^;AFコントロールはバランシェ担当ってのはルースのメガエラの出会いの時にちらりと映ってて覚えてたんですがクロスビンの事はすっかり忘れていました。でもプロトタイプアシュラテンプル(現ホウライ)と対峙したときミューズ、しっかり3人の名前上げてるんですよね。


 いやしかし長い伏線だった。なのでファイブスター物語を読むときは単行本は言うに及ばず、リブートやDESIGNSが読みたくなるのです。アレ?これは?とかえーっとこのファティマは確かとか、この設定あったかな?とか(笑)未だに気付かなかった事も多いので本当に読み返してまた愉しめるという(笑)

Mk2

 けれどMK3となったことでストーイ博士のMk2とは同じ系統の騎体となったわけで、しかもカリギュラ謹製なわけですよね。この事はDESIGNSに書かれた事を要約するとクバルカンがフィルモアから独立する時にカリギュラの手を借りたという事なんですが、フィルモアはブラウニー・ライドの手掛けたGTMが主流なのに対してクバルカンではツバンツヒ姐さんことストーイ・ワーナー博士=カリギュラ謹製なGTMというのは面白いですよね。超帝国直結とまではいかなくとも星団暦でのデファクトスタンダードであるブラウニー・ライドのラインではなく超帝国からの流れであるカリギュラのラインなのですから。何せこの魔導大戦、超帝国の汚濁とムグミカが言ったという事は僭称しているとはいえボスヤスフォート、やはり超帝国所縁の者であることはほぼ間違いないという事ですから。


 いや破烈の人形の事を書いていたのにちょっと脱線してしまいました。ですがMk2は『花の詩女 ゴティックメード』でも数多くが登場しカリギュラは未だ数多く保有しているはずです。ミラージュに行ったMk2だけではなくカリギュラのMk2も登場するのが愉しみです。

ザ・ルッセンフリード

 Mk3の量産型という趣のあるルッセンフリード。本体は殆ど破烈の人形と変わらないシルエットをもちながらも若干小さく見えるのは流体金属で変形しないフライヤーと機首部で変形するというGTMで基本設計はストーイ・ワーナー博士、製造はDESIGNS4によるとアル・ドライゼ博士の担当とあります。初登場時、正直どんなんかな?って気も有りましたがDESIGNS6ではキャラシートがでなかったこともあり、それが出るとまた印象が変わるかもしれません。ただ機首は丸っこい印象でMk3のような怪鳥感は薄い感じです。どちらかと言えば超音速カモノハシみたいな感じ?ちなみに超音速カモノハシというのはコレの事です。↓

File:Russian Air Force Sukhoi Su-34 Beltyukov-1.jpg|thumb|Su-34|alt=Su-34
|画像はWikipediaより|[[File:Russian Air Force Sukhoi Su-34 Beltyukov-1.jpg|thumb|Su-34|alt=Su-34]]

余談が過ぎましたがZガンダムのモビルスーツ、メタス、もしくはZZガンダムに出てきたズサっぽさもありますが次の作品集(DESIGNS)にはキャラシート掲載されるのか?いやそれとも扉に登場?はまだか?と。心待ちにしています(笑)

マッハ・シャルトマ Mk4 リッタージェット

 イゾルテ・サヤステとノンナ・ストラウスの乗騎ですが、基本的にはMk3と同型騎なんだそうです。それは通常使われることがない名前、Mk4リッタージェットという名称からも想像は付くんですが、カラーリングは違うと言われているし、なによりMk3が変形後に頭部がカールしてたり直毛だったり(笑)するのではやっぱりどうなってるのか激しく気になりますよね(笑)ノンナ・ストラウスとイゾルデ・サヤステの2人がこのGTMをもっているということで、さてどちらが搭乗したシーンが先に出てくるのか?こちらも楽しみです。


 tonbori堂はマッハ・シャルトマは頭部どころかフェイスマスクもMk3とは違う気がしています。同じ事はやらないのが永野護の信条、となればGTMという兵器体系の中でもツバンツヒ姐さんのラインである部分は外さず個性を出せるのって頭部の放熱板部分とフェイスマスクですからね。ここは非常に楽しみにしているところです。ナイアスの駆るラミアスとノンナのシャルトマが一度ぐらいは誌面でガットブロウを交えて欲しいんですけど…でもD.B.Bだったら(^^;ヤバいですね(笑)いや笑い事じゃないか。でも一度剣を交えているんですよね、誌面では出ていないものの確か。会話的にはそういうことがあったはず。その時もマッハ・シャルトマとサイレン…いや出奔後であるとすれば必ずしもサイレンではないか。デヴォンシャタイプで、またノンナも修行中とかで別のGTMであったかもしれません(マッハ・シャルトマもまた機密兵器でしょうし)そもそも、GTMではなく普通に騎士同士のかもしれんけど…いや気になりますね。

やがてミラージュに

 最後に『DESIGNS6XROSS JAMMER』によると天照設計以外のミラージュマシンの項目に破烈の人形があるのは気が付かれましたでしょうか?それがいつの事になるかは分かりませんがダルマスはやがてミラージュに行くことは決まっているのです。現状ではミラージュカラーリングの破烈の人形はキャラシートでもまた作者からも何もアナウンスがないので本当に行くのかな?程度ですが…でもミラージュにはMk2、Mk3が揃うという事で。ちなみに両方とも「雷丸」なんだそうで騎乗するのはあの人のようです。もっともそこまで連載で描かれるのかどうか?もしやアトロポスの章のあの浮遊城での出来事、アラートがバスター砲を撃った後に現れたログナーが乗っていたスピードミラージュがもしや?置き換わる?のか?な?とまだまだ妄想は付きません(笑)

※今回のテキストはファイブスター物語/F.S.S DESIGNS3&6(Amazon)

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