ファイブスター物語/FSS✖シェルブリット/Schell:Bullet考察|「ジーンメジャーとライフ・ウォッチング・オーバーロード」-Web-tonbori堂アネックス

ファイブスター物語/FSS✖シェルブリット/Schell:Bullet考察|「ジーンメジャーとライフ・ウォッチング・オーバーロード」

2019年8月31日土曜日

FSS manga SF

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 月刊ニュータイプ今月号(2019年9月号)感想を読み返していてサタン・コマンダーの現出のための依り代として出てくるのがスレイブにソルジャーってのが何か引っかかってて、突然思い出したのです。そう、永野護と幾原邦彦の共同企画、『シェルブリット』を。この作品は2巻まで刊行されており、一応この状態で終わっている感じですが、出来れば幾原節でアニメにならないかなあと思いつつ、最近では『踊るピングドラム』『ユリ熊嵐』『さらざんまい』を世に放ち、昔の企画を映像化はほぼ無いかなあ…。それでも急に制作とかなったら面白いんですが…いや本題からズレましたね。

シェルブリット<1>/幾原邦彦×永野護/KADOKAWA刊
シェルブリット<1>/幾原邦彦×永野護/KADOKAWA刊


※20191012:タイトルの「ライフ・ウォッチ・オーバーロード」を「ライフ・ウォッチング・オーバーロード」に訂正しました。(DESIGNS1の表記に従って)またファイブスター物語/FSSと『シェルブリット』、『幼年期の終わり』の内容に触れています。【ネタバレです。】

シェルブリットの世界観

 シェルブリットの世界は人類が3つの道へ分かれた世界です。いわゆる我々と同じ人間。ジーン・マイナー。そして遺伝子改良で次の段階へ進化した人類、ジーン・メジャー。そしてさらに進んで自らを宇宙(そら)を渡るために究極に進化した人類、ジーンライナー。そのジーンライナー、ローヌ・バルトとジーン・マイナーでありながら成功するためにメジャーを装い乗り組むオルス・ブレイク。しかし同じく搭乗員で戦闘要員のノーマ・クイックにマイナーであることを見破られ危険な航路索敵を担当するシェルドライバーに任命される。選択肢のないオルスは命がけのシェルブリッドに搭乗するしかなかった…

というお話なんですがストーリーの担当は幾原邦彦、クリス(永野護)はデザインビジュアル一切を担当。それまではコラボレーションは無かった2人ですが、月刊ニュータイプの企画でセーラームーンのコスプレ(これがまた完成度の高い(笑))をしたり(幾原が監督だった)知己はあったようです。そしてこの『シェルブリット』に関しては幾原側からオファーがあり快諾したと伝え聞いています。

シェルブリット<2>/幾原邦彦×永野護/KADOKAWA刊
シェルブリット<2>/幾原邦彦×永野護/KADOKAWA刊


 ジーンライナの航路の露払い「航路索敵」をシェルブリットと当て字し、アステロイドベルトのようなところや航路を妨害してくる他社のジーンライナーが擁するシェルなど多様な状況で実力で排除するのがシェルの役目なのですが、そのシェルの支援メカとしてシェル・スレーブってのがでてくるんですよね。ようするにシェル側からコントロールできるドローンなわけですが、例のソルジャーを見てた時にスレーブって聞いた事あるしなんかシルエットもどこかでと思っていたのです。


 シェル・スレーブがそのままではないけれど、何故かジーン・ライナーがさらに異星人と遭遇して(ネタバレになりますがジーン・ライナーの任務として異星人との接触が予定されていた)その後さらに進化を続けたとして袋小路に入った時、彼女たちの幼年期は終わりライナーが次のステージにいくためには別次元へ向かうというのはあり得るかもなとふと思ったのです。その時、さらに進化したジーン・メジャーが人の姿を捨てて戦闘に特化したジーン・ソルジャーとしてとかそういう事を考えると、もしかすると永野護の中では繋がっている?と少し思ったもので。そういえばカレンもタイカ宇宙に渡っていますし、あり得ない話ではないかなあと。ちょっと突飛すぎますかね。でもこのコラボレーションがもしかするとその後のヴィーキュルの設定の肉付けに影響を及ぼしてることはあるかもしれません。(クリス(永野護)は全力で否定しそうですが)

ライフ・ウォッチング・オーバーロード

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 ライフ・ウォッチング・オーバーロードの元ネタにもちょっとだけ触れておきます。これはご存知の方も多いかと思いますが、アーサー・C・クラークの『幼年期の終わり』に出てくる宇宙人、彼らを人々がオーバーロードと呼ぶというところから来ています。そして彼らの代表者の名前はカレルレン。すっごい名作らしいんですが、これを言うとtonbori堂めちゃくちゃ驚かれますが、実は未読です(^^;『2001年宇宙の旅』は読んでいるんですけども。実は『幼年期の終わり』とも通じるものがあると聞いているので本当に読まないと拙いですね(^^;


 『幼年期の終わり』は『2001年宇宙の旅』よりもずっと前に書かれた作品でしてクラークの最高傑作とも言われているからです。そしてファイブスター物語にも大きな影響を与えているのは間違いないんですよね。SFではありますが人類の進化と、終末感などは卓越しているという評価もよく耳にします。いやなんか自分で書いてて本当に読まなくちゃって気になってきました(^^;でも何故読んでもいない話をそこまでよく知っているのか?実は子どもの頃にSFネタの豆本を持っていまして、私のSFネタの殆どはそのネタ本からなんですが、そこにカレルレンの正体というか彼の姿も書いていたのです。今から考えるととんでもないネタバレなんですが子どもは結構、そうなのかーと。それにウルトラシリーズなどを観てると姿かたちで判断するのは間違いですよというのはありますからね(笑)


 だけど永野護が敢えて敵対者として出てくる彼らの別名をそう名付けたところによく読み込んでいるのではないだろうかと思っているのですが…それを確かめるには何れは読まないとダメだなと思っています。あ、当然悪魔の名前をつけていることもです。

別世界からの来訪者

 サタンたちが別世界からの侵略者で有無を言わさぬ存在というのもこうなると『ファイブスター物語』というおとぎ話での彼らのポジションってなんだろうと。少しかんがえてしまうんですが、彼らもまた、トイズプレスから出たCHARACTERSのWATER DRAGONでショウメが描かれたところから考えるとジョーカー宇宙にとっては悪党だけど彼らなりに生存戦略をとっているだけとも言えるのではないかと前から考えてて、『シェルブリット』は幾原邦彦の手によるストーリーがあってヴィジュアルデザインとして永野護がコラボレーションした訳ですが、分けても「生存」「進化」という部分(これ幾原作品の根幹でもありますよね)。その部分もあってサタンの使い魔としてスレーブって出たときに直ぐに連想してしまって(笑)このエントリを書いてみました。いや中々まだまだ深堀りするといろいろ出てきそうですよね。

※シェルブリットの単行本は入手が難しいかもしれません。ですが後に出た文庫ならまだ手に入り易いかも。Amazonのリンクを貼っておきます。

Amazon.co.jp: シェルブリット I ADEN ARABIE (角川文庫) : 幾原 邦彦, 永野 護: 本 

Amazon.co.jp: シェルブリット II ABRAXAS (角川文庫) : 幾原 邦彦, 永野 護: 本 

※イメージアルバムも出ていました。

Amazon.co.jp: シェルブリット サナフス68: ミュージック 

ファイブスター物語/F.S.S第17巻絶賛発売中

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永野護著/KADOKAWA刊月刊ニュータイプ連載『ファイブスター物語/F.S.S』第17巻絶賛発売中(リンクはAmazon)

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