まさか、マウザーの隠し球がダッカスとは…。いやダッカスのフルオーバーホールをマウザーが担当したのであれば、当然慣らしとしてこの作戦にという話は自然な流れではあるんですが、しかし見開きでの黒騎士ダッカス。いいですね。
ファイブスター物語/F.S.S第10巻/カバーは黒き死の女神をモチーフとした「CROSSING DECOY」 |
それにこのところ、「三色の娘」の事やアルルの事、フンフトとハリコン。ひいてはツァラトゥストラのテールコードなどF.S.Sを読み直したりDESIGNSは言うに及ばずツインタワーやナイトフラグスまでを読み直ししているんですが、トラフィックス2の膨大なエピソードを読み返すと、やはりパルスエットの章にも関連してくるブラック・ファティースの物語をまた読んでしまいます。ファイブスター物語/FSSでもイメージリーダーの一人として物語を代表するキャラクターであり、GTM黒騎士「ダッカス」の専任ファティマ・エスト、今回は彼女について書いてみたいと思います。
※本編『ファイブスター物語/FSS』のネタバレが含まれます。ご注意下さい。
兵器としての黒騎士
彼女はカステポーの女王として名が伝わるヤーン・ダッカス(旧名称バッシュ)の頂くGTMダッカス(旧名称MHバッシュ)の専任ファティマです。本編からの言葉を引用すると「バルチックアカデミーきっての天才マイト(ガーランド)と当代随一のMH(GTM)マイト(ガーランド)が協力して産み出した。」(当時の静の台詞よりカッコ内はtonbori堂の注釈)専任ファティマによって通常のMH(GTM)より数倍のパワーゲージをたたき出す。星団で唯一のシステム。シンクロナイズド・フラッターを持つ唯一のファティマです。
ファティマも兵器である以上、ゴティックメードとペアリングした専任AFを仕立てるのは誰もが考える事でしょうが、それは兵器としての自由度奪う事でもあります。ゴティックメードに限らず兵器と言うのは冗長性がある事が要求されます。なんらかの障害が起こってもシステムがダウンしないように敢えてマージンをとることとしての冗長化というのは必須です。トラブルによって止まってしまうのは致命的です。
しかるにダッカスはエストが認めないとその操縦者、ヘッドライナーとして認められない。つまりエストが認めない限り動かないのです。もっとも最高戦力であるゴティックメードであるからこそ、ステータスとしての側面で言えば黒騎士という銘は値千金な部分もあり、剣聖は番外としても天位クラスの騎士で言えば黒騎士は別格。ダッカスの能力がエストとともに引き上げられている事もあいまって基本的に強力な戦力。そしてそれを召し抱えているのは、翻ってその国の国威発揚、士気の向上にもつながるわけです。現在のバッハトマでのデコースの立ち位置を見ればよく分かると思います。
よくもそういう兵器を作ったものだと思いますが、今に至るまでエスト以外にそのシステムが成功していないため完全ワンオフのカスタムメイドになっています。本来ならば兵器としてはメンテナンスも含めて失敗作と言えますが、戦争の雌雄を決するのが決戦兵器であるGTMである以上、数を揃えるのも必要ですが旗騎、戦艦で言えばフラッグシップとしてワンオフカスタム騎の出番がある訳です。そしてGTMはそれほどそれぞれの性能差がありません。(ツァトラやJ型駆逐兵器は別ですが)搭乗するヘッドライナーとファティマで決まるところがあります。だから黒騎士というのは能力も名前も込みで完成されたシステムと見る事ができます。兵器として堅牢である。武装が充実している。高出力であるというのも必要ですが。黒騎士はエストと搭乗するヘッドライナーを含めての一個のシステムなのです。
黒き死の女神ブラック・ファッティース
そのシンクロナイズド・フラッターシステム/ダッカスの中核がファティマ・エストです。その戦闘記録の蓄積は膨大な量に上り、経験値では星団で一、二を争うレベルという設定がなされています。そのためグラード・シドミアン(5代目黒騎士)が駆るバッシュ(当時はMH)を倒すため天照は対エスト用に作られたティータとL.E.Dミラージュ(当時はMH)を投入せざるを得なかったと記述されています。今の設定で言えばジュノー、アルマ地方での密林でコーラス軍のダッカスとA.K.Dのツァラトゥストラが激突したというのは…一度は連載中で描いてほしい感じですが当時エストがそれほどまでに凄いというのは分かりませんでした。戦闘経験が性能差を埋めることがあるというのは面白いと思います。この辺りは対戦ゲームで得た知見なのかな?相手より多く戦っていれば、相手のとるパターンを幾つか分析してこちらのハメ技に誘導するとか…。
そんなエストですが、ダッカスを得るために諸国、騎士たちの争いが絶えなくなり、心労からクロスビンは亡くなったとされています(諸説あるという解説が)そのためモラードはバキン・ラカン帝国の聖帝ランダ(ミマスの父)に一時エストを預け新たなプログラムを追加しました。それがシーク・プログラム、シークとは隠れるという意味です。このプログラムが発動中、エストは別のファティマとなり新たな騎士を探すのです。ただ黒騎士となれる騎士が現れない限り才能があろうが強かろうがマスターと呼ぶ事はありません。
この時のエストは全く別のファティマとなっています。それがバーシャです。そしてデコースにドラグーンが討たれ、その後ファティマ専門売春宿に囚われたのち、クラーケンベールによって解放。少しの間アシュラ・テンプル(MH、GTMホウライ)の開発に関わり、やがてメヨーヨを離れバーシャとなり、ヨーンと巡り合うのですが…ここで一つ疑問が。シーク・プログラムの発現ってどうなっているんでしょうね?バーシャからエストになるというのは我々『トラフィックス2』で見ました。でもエストからバーシャになるのはどうやって?
それと記憶の問題。モラードによると記憶は残らないという話ですがバーシャの時の記憶は本当に無くなっているのか?バーシャに戻ると記憶が出てきているのでは?などなど。にしてもこのシーク・プログラム、運命の3女神とはまた違った意味で過酷な運命を背負っていると言えましょう。だからこそフローレスだと静は言いましたが、全くその通りだと思います。そんなエストもある意味血を分けた姉弟としてのダッカスを自在に操れるヘッドライナーがいれば精神が安定するというのはデコースを得てからの彼女を見ると納得できるものがあります。そんなエストと何時かヨーンは対峙する事になると思うのですが…それはいったい何時なのか。でもそんなに遠くはない。そんな気がします。
黒騎士
エストが仕えるのはただ一人GTMダッカス(MHバッシュ)を操れる騎士(ヘッドライナー)のみ。その黒騎士は本編で姿を見せたのは4人。(台詞があるのは3人ですが)そして、それぞれレッドミラージュ(Z.A.P)、ブーレイ(中身はサイレン/GTMロウカン)、そして破烈の人形と戦ってきています。
GTMダッカス・ザ・ブラックナイト/アクリルスタンド/©EDIT/永野護 |
そして破烈の人形とは2度目に相対する事になると思われるんですが…この決着どうつくんですかね。正直どちらかが命を落とす事だって考えられます。割とシリアスな話ではあるんですが、過去にダッカス(バッシュ)と戦った静はツーリー・パイドルと戦った事を覚えています。戦闘経験がその差になるAFとしてはこれはアドバンテージです。もちろんエストも経験値を上げています。そしてデコースはエトラムル搭載のバルンシャでサイレン(ユーレイ)を撃破していますし、ベイジ攻略戦やその後の戦闘でも星をあげています。まだ破烈の人形のヘッドライナーが明かされていませんが(普通に考えればミューズのはずですが、ご隠居ではないかという話も)この戦い本当に目が離せないものになりそうです。
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