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コンフィデンスマンの世界へようこそ|『コンフィデンスマンJP』最終回を終えて『【ネタバレ】|tonbori堂ドラマ語り

2018年6月15日金曜日

drama

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 春クールでは下馬評の高かった月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』古沢脚本らしい、長い台詞とテンポの良さは好ましいものでしたが、如何せん数字がついてこなかったようです。月9はフジテレビのいわば旗艦ドラマ枠。ですがここ数年はフジテレビ全体の迷走を引きずってパッとしないのが現状です。たまにヒットがあってもつなげれない。トレンディドラマ全盛期の勢いは今何処という感じなんですが、『コンフィデンスマンJP』自体はそれほど悪い作品ではないと思いました。

ソース|コンフィデンスマンJP:最終回視聴率は9.2% - MANTANWEB(まんたんウェブ)

動画はYouTubeより|【公式】4月期月9『コンフィデンスマンJP』最終話「コンフィデンスマン編」予告!
|フジテレビ番組動画

『コンフィデンスマンJP』の世界にようこそ

 もともとオリジナル企画というのは原作ものと違って数字が見込めないなどいろいろリスクの高い企画と言われています。そこに『リーガル・ハイ』で実績のある古沢良太の脚本をもってくるのは間違っていないし、キャストも若手で最近は実力を付けてきている長澤まさみ、そして脇役に東出昌大、小日向文世。悪くないと思います。ただ一つ言わせて貰えるとパンチが弱いかなと。この作品は信用詐欺師がどうやって騙していくのか?そこが肝だったはず。ダー子がリーダーでボクちゃん、リチャードらがそこをサポートするという流れなんですがボクちゃんが『リーガル・ハイ』で言うところの黛真知子の役回りなわけです。


 悪くは無いしダー子ちゃんが古美門のように自分の欲望に忠実な、まあ古美門は弁護士ですが詐欺師なわけです。ターゲット(お魚)は欲の皮が突っ張らかっている面々。なので善良な人からだまし取るという話ではないんですが…。だからこそ相棒というか狂言回しのボクちゃんも、もうちょっとハイテンションな役者さんが良かったかなという印象です。もっともそれは3回目で、ボクちゃんはボクちゃんの味があるなってなったんですが。こういう狂言回しでもありバディでもあり、話の発起点なキャラは異常なほどのハイテンションさが求められるんだけどちょっと受け身だったかなと感じました。ダー子がハイテンションなんで受け身で受けるって感じだったんでしょうけど同じぐらいハイテンションで打ち返しても面白いものがあったかなと今にしては思います。

お魚たち

 信用詐欺というのはこじんまりとしたものから時には人員を動員してという大がかりなものまで千差万別ですが、そのサクラを「子猫ちゃん」とダー子たちは呼んでいます。つまりダー子たちはお魚を狙う猫なわけですよね。だからサクラは子猫。そしてターゲットになったお魚ちゃんの業種がサブタイトルになっていました。

  1. ゴッドファーザー編 ゲスト 江口洋介
  2. リゾート王編 ゲスト 吉瀬美智子
  3. 美術商編 ゲスト 石黒賢
  4. 映画マニア編 ゲスト 佐野史郎
  5. スーパードクター編 ゲスト かたせ梨乃
  6. 古代遺跡編 ゲスト 内村光良
  7. 家族編 ゲスト 竜雷太
  8. 美のカリスマ編 ゲスト りょう
  9. スポーツ編 ゲスト 小池徹平
  10. コンフィデンスマン編 ゲスト 佐藤隆太

 最後の10話だけはターゲットは信用詐欺師ではないんですが自らを使ったということでコンフィデンスマン編というなかなかタイトルも凝った感じになっています。tonbori堂が面白かったなと思ったのは1話ゴッドファーザー編、2話リゾート王編、4話映画マニア編、6話古代遺跡編と7話家族編です。


 また純粋に騙すだけではなく、家庭環境や、トラウマを抱えたお魚ちゃんたちには、騙さされたとしても、次へのステップとしてへこたれないターゲットや、ボクちゃんが義憤に駆られたり、淡い恋愛感情や(リチャードもそういえばありました)が騙さされた方も実は外道とまではいいませんけど目先のお金に飛びつく浅ましさや、時流にのってしたたかに生きる市井の人たちなど、そこは『リーガル・ハイ』で見せた、実はどっちが被害者なのか?というエクスキューズもしっかり盛り込んでくるのは古沢脚本ならではでした。

キャスト

ダー子:長澤まさみ

 いやはっちゃけってましたね。ふっきれているというか。もともと幅のある事が出来る器用貧乏なところもあるんですけれど、これは良かったと思います。クルクルと変わる表情、セルフパロディ、メタ視点まで、いい仕事をしてますねってなもんでした。そしてダー子もパーソナリティが凄い。お金に貪欲だけど、言うだけの仕事はやる。一夜漬けいや数日での促成栽培的な詰め込み勉強でその人(職業)になり切る。まさにプロの仕業。さすが女優(笑)

ボクちゃん:東出昌大

 『リーガル・ハイ』での黛ポジションと言いましたが、基本的には善意の人。だけどやっぱり詐欺師なんですよね。業が深い。そして惚れっぽく、そうなると物事が見えなくなってしまう。それがラストに効いてくるわけですが(笑)なんというか腐れ縁っていう言葉がぴったりなボクちゃんを東出昌大がまさにいい人っぽく演じていました(笑)

リチャード:小日向文世

 年長者だけどダー子の才能に惚れこんでいる?指南役でもあるけれどダー子を立てているリチャード。年長者でリチャードという二つ名ってクヒオ大佐っぽさがありますが、それなりに年輪を刻んできた凄みを出せるコヒさんにはぴったりな役回りでした。

五十嵐:小手伸也

 第3の男(笑)予告ナレーションをつとめていた人がまさかの第2話で重要な役柄で出てくるとは。インパクトも仕草も、毎回の登場の仕方も面白い方で正直ボクちゃん、リチャードを喰ってた回も(笑)古美門の草の者ポジションではあるんですがリチャードと役割が入れ替わっていても面白かったかも。

ゲスト

 初回のゴッドファーザーには江口洋介、2回目のリゾート王編には吉瀬美智子。美術商には石黒賢、映画マニア編は佐野史郎。古代遺跡編にはウッチャンこと内村光良など。他にもかたせ梨乃や竜雷太、りょう、小池徹平がお魚役で登場。それ以外にも初回にピンクレディーの未唯mieや相棒のヒマ課長山西惇、竜雷太の家族編では岡田義徳、桜井ユキが同じお魚を狙う詐欺師として登場だけではなく、本当の家族(という設定の子猫ちゃん)として中尾明慶、前田敦子が出演など妙に豪華でしたね。

コン・ゲーム

 この手の作品はコン・ゲームものと言われる事があります。コンはコンフィデンスマンのコンです。コンフィデンスとは信用、信頼という意味で信用させて騙すという詐欺手段です。当然犯罪ですが、相手が騙されたと思わないくらいに見事に騙すのが最上とも言われます。


 まあ普通はそういうのは難しいですが、例えば第1話のアバン・タイトルでの秘密カジノで未唯mie演じる女社長を騙すのに協力した第2のお魚、山西惇演じる中古車販売店社長が言ってた『スティング』あの流れは『スティング』観ていた人ならすぐに分かるネタでしたがそこを逆手にとった上手さや、それが導入部で次なるお魚である日本のゴッドファーザー、赤星を引っ掛ける流れも緩急が上手くついて非常に良かった。いわゆるつかみはOKな感じだったんですが、正直中盤はパンチに欠けた部分もあったかなと。


 2回目は五十嵐登場もあってテンション高めだったんですが3話目あたりからパターン化が見えてきた感じで。ただリゾート王編、美のカリスマ編など転んでもただは起きぬ感じや、古代遺跡編のウッチャンの憑きモノが落ちた感とかは嫌いじゃないし、映画マニア編はゲストのお魚役佐野史郎が暴走気味に演じて最高でしたね。そして家族編はベストエピソードだと思います。アウトレイジ風に言えば全員悪党なんですが、なんというかいい感じなんですよ。家族って?っていう問いかけがまたいい味を出してて。これを映画にすべきじゃないですかね。今『万引き家族』がカンヌでパルムドールを受賞してヒットもしているし(ヲイヲイ、いやでも7話だけでも本当に観て欲しいんですよ。いいエピソードなんで。


 そして最後のエピソード。うーん、ワンシチュエーションでの持って行き方は上手いと思いましたが、ちょっと先が読めたかなと。こういうのは視聴者と作り手の勝負なところもありますからね。先が読めても面白いってのもあるんですけど(家族編はまさにそういう部分も計算に入ったストーリーでした)これは純粋に騙しの話だったんで。まあ気分的に画竜点睛を欠く感じではありましたがラストが第1話に戻る感じは、上手いと思いましたのでまずます良いドラマだったかなと。ちなみにこの脚本で韓国版『KR』と中国版『CN』もつくられるんだとか。そして「映画化」って…本当ですか?(笑)まあコンフィデンスマンですからね。話半分ということにしておきましょうか(笑)ということで、お後がよろしいようで(笑)

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※この時は映画化(笑)とか言ってましたけどその後3本も作られました。

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