倉庫番の魔女とホルス|『未解決の女 警視庁文書捜査官』最終回を終えて【ネタバレ】|tonbori堂ドラマ語り-Web-tonbori堂アネックス

倉庫番の魔女とホルス|『未解決の女 警視庁文書捜査官』最終回を終えて【ネタバレ】|tonbori堂ドラマ語り

2018年6月15日金曜日

drama

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 先ごろ最終回を迎えた『未解決の女 警視庁文書捜査官』結構、矢代、撃たれる!と煽っていましたが…まあ、そこは想像通りでした。いや原作でシリアスならばそういう展開ゼロではないかとも思いましたが。

未解決の女 警視庁文書捜査官|(C)麻見和史・KADOKAWA/テレビ朝日
|未解決の女 警視庁文書捜査官|(C)麻見和史・KADOKAWA/テレビ朝日/リンクはAmazonPrimeVideo

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 でも原作通りに相棒を男性にせず女性にしたのは、この枠の刑事ドラマらしいかなとも。女性警察官が主人公の作品が結構多く、脇に渋い男性を配置しすぎると今度は画面に花が少ないという事で波留が相棒になったのかなとも。少し浮き気味な熱血刑事が、人付き合いの悪いし口も悪い、動くのは苦手だけれど天才的な頭脳と閃きで文字の裏に隠された真実を見抜く刑事とともに凸凹ながらも事件を追うこのドラマ、実際の数字は10%超えてたようですし一定の成功を収めたのではないかなと思っています。

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文字の神様は降りてきたか?

 「倉庫番の魔女」こと鳴海理沙は12年前までは人付き合いは苦手ながらも普通の刑事でしたが担当した誘拐事件がきっかけでもともと苦手な対人関係に嫌気がさし、今の仕事(文書管理専門の6係)は天職であるという変人。事件現場に出かけず、手元に集まった資料から事件を読みほぐす探偵のことを安楽椅子探偵といいますが、理沙はその典型です。またその推理も文書のみならず筆跡鑑定やそこから類推される心理的傾向までのプロファイリングまで、まさに「倉庫番の魔女」の面目躍如です。

アームチェア・ディテクティブ(安楽椅子探偵)

 これまでいろんな安楽椅子探偵がいましたけれど、こういった過去の資料などから紐解いていくというのは面白い趣向だなと思いました。もっとも何かと現在進行形の事件も絡んでくるというパターンがあって、まあ純然たる『コールドケース』ものでは無かったのがちょっと残念な気もしますが証拠能力的には文書だけが決め手になりにくいですからね。それでも「文字の神様が降りてきたわ!」っていう決め台詞はテレビ朝日の9時のお約束として良かったと思います(笑)(テレビ朝日の木曜夜9時ドラマで警察や事件ものは何かとお約束の台詞が入る、前シーズンの『BG 身辺警護人』では時計合わせの「誤差無し」とか)

最終回は?

 最終章として第7話またぎの2話分でした。15年前の3億円強奪事件が引き金となって起こった誘拐事件と殺人事件。この一見バラバラの事件が過去の3億円強奪事件につながっているという筋立てでしたが、なかなか見ごたえのあるストーリーでした。よくある仲間割れ?それによって動き出した過去の事件が実はというストーリーは最終回に相応しいどんでん返しもあって最後に真犯人逮捕の決め手がない部分もシーズン2への期待を持たせるのに良かったのでは?(これはシーズン2の初回で決着付けるのか?それとも次の最終回なのかは分からないですが)またその前に放送している『警視庁・捜査一課長』とのコラボレーションがまたもや敢行され3億円強奪事件を迷宮入りにしてしまったもう一つの原因に警察上層部が絡んでいた一件を見事に裁く感じでこれまた良かったですね。


 テレ朝スーパー刑事大戦をやって欲しいと常々思っている人なので、最後は本田博太郎演じる笹川刑事部長もご登場願いたかったですね。こういう行き来は面白いと思うので今後も継続していただきたい試みです。『9係』と『相棒』は過去にそういうのがありそうだったんですけれど今は刑事部長が違う方をされているので別バースってことになっています。ここらも内包して、京都で出張捜査とか(当然科捜研がという展開)と脱線してしまいましたが、今回上手く出来ていたので今後も本当によろしくお願いいたしますという感じでした。

ホルス

 目がデカいから理沙にはホルス、古賀室長からは目力と言われた矢代朋。ホルスというのはエジプトの象形文字や記号でよくみるホルスの目から来ているのですが、ホルスというとどうしても最近、他界された高畑勲監督が東映動画時代に演出を手掛けた『太陽の王子ホルスの大冒険』を思い出してしまうのです。それにホルスってエジプトの最高神ですからね。実は理沙は朋を暑苦しいし面倒くさいし、ものをまるで知らないと思いつつも良い人間と思っていたんじゃないでしょうか。すくなくとも目力よりはいいと思います(笑)

キャスト

 朋には先にも書きましたが波留。『BORDER』の検視官ミカや『ON 異常犯罪捜査官 藤堂比奈子』の比奈子のようなクールな感じではなく、どちらかといえば朝ドラ『あさが来た』あさちゃんのような猪突猛進なところを押し出した感じです。成長していないあさちゃん(笑)いい感じだったと思います。クールもホットもどちらもいける。ある意味カメレオンな感じだけどやっぱり波留だという感じで(笑)


 理沙の鈴木京香。この人も朝ドラ出身者『君の名は』の主役でした。このところ役の幅をぐいぐい広げてる感じがあり、今回の役も楽しみながら演じていましたね。エキセントリックでちょっとおちゃめ。チャーミングな理沙を演じていました。遠藤憲一、高田純次、沢村一樹が脇を固めていたんですが平成の無責任男、高田純次がおふざけ無し、役柄上はとぼけながらも筋読みのベテランとして存在感を発揮していましたね。バイプレーヤーが適材適所だったのも高評価です。

最後に

 そうですね。今回、真犯人は取り逃がしてしまいました。リターンマッチあるのかどうかは置いておくにしても(手を汚していないとはいえ殺人犯だから続編では決着付けて欲しいですが)Season2はありじゃないですかね。木9と言えば天海祐希の『緊急取調室』もありますが、こちらは新シリーズとして引っ張っていけると思います。よいドラマでした。

※スペシャルは配信中、視聴可能です。

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