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未来を変えろ!|『シグナル長期未解決事件捜査班』最終回を終えて【ネタバレ】|tonbori堂ドラマ語り

2018年6月16日土曜日

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 先ごろ終了した『シグナル 長期未解決事件捜査班』。tonbori堂が割と前半推してたドラマですが最終回をリアルタイム視聴して、ちょっとこの終わりですか?と、想定していたより暗いラストでもなく(韓国映画では時として非情な終わり方をすることがある)さりとて大団円でもない。ちょっとモヤモヤしましたがあれこれ調べてみて、なるほどと納得出来ました。そんな事を書いてみたいと思います。

シグナル長期未解決事件捜査班/ロゴはイメージです
シグナル長期未解決事件捜査班/ロゴはイメージです



内容に関してのネタバレがございます。未見の方はご注意ください。

バタフライエフェクト

 『バタフライエフェクト』とは蝶のはばたきが遠く離れた地で竜巻を起こすかもしれないという話から来ています。同名の映画もありまして、これがタイムパラドックスものだったのですが、三枝が言った事で大山が動いて未来が変わる所はそれを思い出しました。あくまでも『シグナル』の話なので『バタフライエフェクト』に関しての話はこれぐらいにしますが一度ご覧になってもいいかもしれません。タイムパラドックスモノとしては多くの人が必見と上げる作品です。

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 当然すべての未来は返れませんでしたが、幾つかの未来は変えました。この世界線ではそうなったけれどもしかして別の世界線では?シュタインズ・ゲートではないですがその改変にはリスクも伴います。『鋼の錬金術師』でいうところの等価交換というやつです。

PM11:23の謎

 これがテーマと関わってくる事になるんですが【※ここからネタバレです】この時間は大山が岩田係長に射殺された時間。彼の最後まで諦めない想いがそのまま無線機を通じてPM11:23になると扉が開くというもの。三枝も美咲をかばって生死のライン上でその事に気が付きました。いわゆる『人事を尽くして天命を待つ。』そしてそれはこういう形で(些かぶっ飛んでいますが)つながったのだと。


 結果的には美咲の前で無線機を健人が使ったため美咲も同一の世界線から改変される前の記憶を引き継ぐことになりました。これが別のストーリーならば大山、健人、美咲は特異点となった…みたいな別のお話が始まりそうですが、あくまでも大山と健人、そして美咲のストーリーなため取り巻く事件、犯罪はあくまでもベタなままミステリー、サスペンスドラマで進行していきいます。あくまでも時代を越えて真実を追う刑事たちをかなりの変化球をもって描いたのがこの作品といえるでしょう。

オリジナル『シグナル』のラスト

 このドラマ、韓国で人気を博した刑事ドラマを日本を舞台に翻案したものだそうです。そちらを観たことはないのですが人気ドラマだったようです。今回の日本版『シグナル』も韓国版ドラマを忠実にストーリーを組み立てて言っているようです。公式サイトがあって予告があるんですが、普通に「あっ、あのシーンだ!」ってなりました。

ソース|シグナル|ドラマ公式サイト 

 ざっとあらすじも読みましたし、調べてみるとこの韓国のオリジナル、16話あったそうです。(他のブログさんの紹介記事も読んでみましたが26話って書いているところも多いけれどサイトのDVD収録話数は16話でした。)つまり日本ローカライズ版は6話少なくなっているわけです。描かれた事件が一つ抜け落ちている感じですが、他のサイト紹介記事を読んでも大筋は外しておらずラストもだいたい同じ結末を迎えているようです。ちなみにこのドラマで描かれた、元になった連続殺人事件が華城連続殺人事件という韓国で起こった連続殺人事件なのですが、これは映画の題材にもなっています。有名なところでは『殺人の追憶』があります。この映画は傑作ですので是非おススメしたい作品ですが、今回は『シグナル』の話なので脱線はここまでといたします。

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 あ、脱線ついでにもう1つ未来とか過去が無線機でつながるというアイディアは『オーロラの彼方へ』というハリウッド映画から来ていると思います。ストーリーは違うのですがこちらもタイムパラドックスものとして知っている人がいるかもしれません。

「未来を変えろ」

過去は変えれないが未来は変えられる。

 これが『シグナル』のテーマだったと思います。起こってしまった事は取り返しがつかない。だが未来をよりよいものにしようと今を必死に生きるという事だと思います。諦めずに、最後の最後まであがく、そしてその先には必ず希望があるはずと。キャッチコピーは「過去を変えろ、未来を救え」ですがやっぱり起こった事を都合よく変える事は出来ないし、変えられない変えても誰かが不幸になったり過去を変える恐ろしさもありました。


 それよりも過去から未来へではなく今から未来へ。今を変えれば未来が変わるそういう事だったのだと思います。だから大山は殺人の容疑者として逃亡者となり何処がで負傷し病院で息を潜めている。巨悪を倒すために。それでも実際には巨悪がのさばり、正義は行われない事も多くあります。これは韓国でも警察の不正や収賄、暴力的な取り調べ、冤罪が問題になっており、その上未解決事件への憤りなどが作品の根底にあると思われます。でも諦めなければ未来は拓ける。そういったメッセージが込められている。


 日本ローカライズ版もこの点に忠実に、作り上げた印象が大きい感じです。腐敗した組織、一部の権力者のための走狗とかした警察。それは反社会的組織と変わりがない。それに圧殺されていた名もなき若者たちがあがき、諦めなければ未来は変えられる。そう確かに過去は変わった。今度は過去で未来を変えた男とともにこの先の未来を…という、ジャンプでいうところの『俺たちの戦いはこれからだ」エンドで一種打ち切り臭もありますが、視聴者に過去ではなくこれからの未来を変えようというそういうメッセージなのだと思います。

悪い奴ほどよく眠る

 だいたい権力をもった者を本当に潰すというのは難しいものです。もっとも韓国では大統領でも逮捕され訴追を受けていたりしますが、時の権力者というものはそういう暗闘を繰り返し表に出ず私腹を肥やしている。そういうイメージですよね。この見出しは黒澤明の映画の題名ですがまさに悪い奴がのうのうと生き残る話です。家族が崩壊しようが、屍を築き上げようが悪党というものはそれ自体が一つのシステムとなっており、それを崩すのは難しい。そういう諦観もあるわけです。


 だから水戸黄門よろしく最後に押し入って印籠だせば留飲は下がりますが、実際はそうではない感じなのでこういった巨悪と対峙する場合、結末として逮捕ならばスッキリはしますが裁判やらなんやら証拠不十分で不起訴やいろいろ障壁がある訳です。忖度やそういった改竄問題などもあった今に問いかけるドラマだったと思います。もちろんこのスッキリしない感、モヤモヤする感もあるとは思いますが…ですが諦めなければ未来は変えられる、そういうメッセージだけはしっかりと受け取れました。最初は普通のコールドケースものかなと思っていましたがタイムパラドックスが入って来てSF?と思いましたが極めて人の想いが未来を変えるというメッセージに溢れた作品になってたという印象のドラマでした。サスペンス、ミステリーもあり良いドラマだったと思います。

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追記:劇場版も作られました。|Amazon.co.jp: 劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班を観る | Prime Video

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