アメコミヒーロー映画好きなら必見!|ヒストリーチャンネル『アメコミヒーロー大全』【ネタバレ】-Web-tonbori堂アネックス

アメコミヒーロー映画好きなら必見!|ヒストリーチャンネル『アメコミヒーロー大全』【ネタバレ】

2018年4月13日金曜日

DC documentary MARVEL

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 最近CSのヒストリーチャンネルで『アメコミヒーロー大全』という番組が放送されました。tonbori堂はマーベル・コミックスの実写化作品のみならず、遡ってリチャード・ドナー監督、クリストファー・リーヴ主演の『スーパーマン』ティム・バートン監督の『バットマン』からアメコミヒーロー映画を観ていますが、実はアメコミの原典は殆ど読んでいません。なので、そういうアメコミヒーロー達のバックボーンや歴史的背景を知るのにいい機会だと思って観たのですが、これは本当に勉強になる番組でした。


動画はYouTubeより|Superheroes Decoded: Superpowers | History|番組冒頭で流れた部分。

神話無き国の神話

 番組はその起源を神話から遡りアメリカの歴史とともに歩んできたスーパーヒーローたちの誕生はアメリカの歴史そのものでもあるということを紐解いていきます。

スーパーヒーローの起源とは?

 スーパーヒーローというものの起源をさかのぼれば、それは神話の時代にまで行きつきます。「人はどこから来て、どこへ行くのか?」価値のある人生とは?人々を導く存在、超人に憧れるというのは世界中で語り継がれてきた神話にその端を発しています。そしてパルプ雑誌のヒーロー、SF、冒険などのヒーローからスーパーヒーローが生まれてきたのです。

PART1/誕生

 PART1は誰もが知っているヒーローの誕生を時代とともに追う構成になっています。それまでパルプマガジンの探偵、謎の剣士、そういったヒーローからスーパーパワーをもったスーパーヒーローたちがどういった経緯で生み出されていったのか?ヒーローたちが産まれた時代、アメリカの辿った道をなぞりながら識者やファン、原作者、作家、アメコミ映画のキャストに語っていってもらうというスタイルは非常に分かりやすいものでした。


|『スーパーマンⅡ冒険篇』|主演クリストファー・リーヴ|監督リチャード・レスター|パンフレット



|tonbori堂が最初に映画館で観たアメコミスーパーヒーロー映画はこの前作『スーパーマン』でした。(前作はリーサルウェポンシリーズのリチャード・ドナーが監督)

 例えばスーパーマン、1930年代後半のアメリカは世の中はまだまだ不安定、失業者も多いながらも新天地を求めてやってくる人々という新しい国でした。そんな中分かりやすい正義の味方としてスーパーマンは成立していったことが、当時の状況を映したフィルムとともに解説されるので非常に分かりやすく理解しやすい構成になっていました。都市部への大量の人口流入により犯罪率が上がり組織犯罪が横行した時期に産まれたバットマン、欧州でのナチスの台頭により産まれたキャプテン・アメリカ、そしてワンダーウーマンなど有名なヒーローたちが如何にアメリカの歴史と関わってきたかを紐解いていき神話なき国の神話として機能していったかを紐解いています。


 スーパーヒーローの歴史はまさにアメリカの歴史であると同時に個人史でもある。大恐慌、ニューディール政策、第2次世界大戦を経て米ソ冷戦下での保守主義が生み出したマッカーシズムにより一時は瀕死の状態に陥るものの60年代、人間味のあるニューヒーロー、ファンタスティック・フォーやハルク、ソー、そして新世代たち大いに受け入れられたティーンのヒーロー、スパイダーマン。70年代にはやっと終わったベトナムの泥沼や公民権運動などの世相を受けブラックパンサーやファルコンが誕生しました。またそれまでのヒーローたちもウォータゲート事件やレーガンの時代を経て変化していったことや、彼らは時代とともに歩んでいるということを伝えてくれました。時間の関係でそれぞれの事象に深くはコミットできてはないけれどアウトラインを掴むには十分な内容でした。そしてRART2/反逆へと続きます。

RART2/反逆

 PART2ではスーパーヒーローの誕生からさらに深く、現在のヒーローたちが大きさも、肌の色も、ましてや人種いや異星人から動物までの多様性もっているのは何故かを解き明かそうとします。


 1950年代、アメリカは自由と平和の国として戦後、保守傾向が強くなりました。当然そういう傾向に強いれば反発を招くものです。1960年代に誕生したファンタスティック・フォーを例にとり詳しく解説していきます。ファンタスティック・フォーは4人のヒーローチームですが一人だけそれまでのヒーローとは違う異質の人物がいました。岩石男のザ・シングです。彼はそれまでのヒーローとは違い、まるで怪物のような容姿をしています。元は人間とは言えスーパーパワーを得たとは言え姿かたちはまるで岩石男。それが故に悩み、仲間とも喧嘩もします。この流れを引き継いだのがハルクです。


 60年代のカウンターカルチャーが花咲こうとしていたころに産まれた、公民権運動高まりを感じさせる黒人ヒーロー、ファルコン(サム・ウィルソン)、そして『ブラックパンサー』やベトナム戦争やウォーターゲート事件がもたらしたもの。キャプテン・アメリカはアメリカに絶望しノーマッドになり、保守的なヒーロー、スーパーマンがまたカムバック。だがマンネリを打破するためになんと死んでしまうという事も語られます。

直近の作品ではありますが『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』パンフレット/トム・ホランド/監督ジョン・ワッツ

 そして悩める70年代にはスパイダーマンが。9.11以降にはキャプテン・アメリカがとアメリカの重要トピックスにその時代を反映したスーパーヒーローたちの活躍があったことを解説していきます。『反逆』ではまさに時代の先を行ったり、時代に対抗するヒーローが産まれてきたことを解説していました。

アメリカの神話

 そういう意味では30年代に産まれたスーパーマンから数えて約80年近くもうすぐ世紀をつなぐことになりそうですがアメリカはまだ建国300年もいっていない若い国。だからこそ寄る辺としての神話を欲した。そこにスーパーヒーローたちが登場したという事ですが、それは同時にアメリカの、その時代を写す鏡でもあるという事がよく分り、アメリカの歴史とも密接につながったものということが理解出来ました。アメコミヒーロー映画を観て気になるならば是非このドキュメンタリーを観てヒーローたちの生誕の秘密の一端に触れてほしい。そこから深堀り出来るヒントが見つかるかもしれません。

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