マーベル・シネマティック・ユニバース再見シリーズ、第12作目の『アントマン』です。この後13作目『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でこのM.C.U再見シリーズ一旦終了なんですが、この一連シリーズ、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』公開記念でHuluで一挙配信が始まった時から始めた企画で、なんとかここまでたどり着けました。(まだ後1本残してますが)
身長1.5センチのミニサイズヒーロー!
しかし13本一気見したのが去年(2017年)の事ですが(1日1本でだいたい2週間。『アントマン』と『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』はそれぞれ2回再見、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』は止めたり戻ったりスロー再生したりで6時間近く休日に観たりなど時間がかかりました。今度の『インフィニティウォー』前にM.C.Uマラソン鑑賞している人もいるんじゃないでしょうか。全部は無理でも関連作品だけとか。で今回取り上げる『アントマン』のウェイトはそこまで大きくないようですが、それはこの後約3か月ちょっと後に続編『アントマン&ザ・ワスプ』の公開が控えているからだと思います。そちらのトレーラーも公開されて早くも話題になっていますよね。
そんな『アントマン』の事を書いてみたいと思いますが、その前にちょっとエントリのタイトルの事を。このタイトル名『ミニミニ大作戦』はイギリスの大衆車MINIが大活躍するケイパームービーです。これはのちにリメイク作品も作られました。ちなみに『アントマン』とはまったく関係ありません(ヲイ。ただ作品を貫く陽性な部分は共通しているかな?(笑)主演はマイケル・ケイン、リメイク作品はマーク・ウォルバーグ、シャーリーズ・セロンです。興味が湧いたら是非ご覧ください。
『ミニミニ大作戦』|YouTube|リンクThe Italian Job (1969) - Trailer - YouTube
『ミニミニ大作戦』2003リメイク|YouTube|リンクThe Italian Job (2003) - Trailer - YouTube
でもどちらかというと縮小化といえば『ミクロの決死圏』、そして『ミクロキッズ』が思い出されますよね。こちらもクラシックな名作です。
『ミクロの決死圏』本国予告編|YouTube|Fantastic Voyage - Trailer - YouTube
『ミクロキッズ』本国予告編|YouTube|"Honey, I Shrunk The Kids" Original Trailer (1989) - YouTube
ちなみに『ミクロキッズ』の監督はジョー・ジョンストン、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』の監督です。いろいろリンクしてきますね(笑)
アントマンとは?
承前
アントマンというのはマーベル・コミックスの原典ではアベンジャーズの創設メンバーの一人で、(その時のメンバーはキャプテン・アメリカ、アイアンマン、アントマン、マイティ・ソー、ハルク、ワスプだったそうです。)その正体はピム粒子を発見し物体を縮小する技術を開発したハンク・ピム博士です。この方が初代で、映画は2代目スコット・ラングが主人公です。冒頭、『キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー』で崩壊したS.H.I.E.L.D本部トリスケリオンがまだ出来てまもない頃が描かれ、ピム博士は70年代にS.H.I.E.L.Dに所属してアントマンとして人知れず任務をこなしていた事や、S.H.I.E.L.D創設メンバーであるハワード・スタークがピム粒子の秘密を彼に無断で探ろうとしたため、ペギー・カーターの引き留めを振り切って引退した事が語られます。
ダメパパ、スコット、ヒーローになる?
さてコミックスの2代目主人公であったスコット・ラング、彼が本作の主人公です。正義感はあるんですが、所属していた会社の不正が許せず不正な方法で世に知らせた後、解雇されてしまい悪事に手を染めてしまって、その後人生の裏街道をまっしぐら。窃盗罪で逮捕され服役し刑期を終えて出所したものの世間の風は前科者には厳しく、娘のために堅気になると決意したものの、昔の仲間たちの勧誘もあり再び悪事に手を染めようとしてしまいます。
しかしそれはピム博士の計画でした。ピム博士は自分の技術を盗んだ元弟子のダレン・クロスから技術の奪還と彼の開発したハイテクスーツ、イエロージャケットを奪取するためのラングの腕を見込んで彼をスカウトするために屋敷に盗みに入らせたのでした。クロスは技術が完成次第、それを高値で売りつけようとしていたのです。手を挙げたのは各国の軍関係者のみならず、S.H.I.E.L.Dを崩壊させた秘密結社ヒドラの残党もいました。それをなんとしても阻止したい博士はスコットの腕前を見込んで仲間に引き入れたのです。最初はいやがるスコットでしたが、ピム博士の娘のために誇れることを、正しい事をしろという言葉に動かされアントマンとして盗まれたデータの破壊とイエロージャケットの奪取のため特訓が始まります。特訓の相手はピム博士の娘、ホープ・ヴァン・ダイン。クロスの秘書としてピム・テックに残っているものの、クロスの企みは阻止したい。でも父とはちょっとウマが合わない。
それに関しては博士の妻でワスプというヒーローとして、博士のアントマンとともに活躍していたジャネットの姓を名乗っている事からも分かりますが、これは一時的に博士は彼女を巻き込みたくないと疎遠にしていた事からなのですが、2人の研究の結晶を悪事には使わせたくないという強い意志からホープは博士と協力しているのです。しかし大事な作戦をどこの馬の骨とも分からないスコットに任せたのも気に入らないようで、格闘の訓練では女だと甘く見たスコットは一発でのされてしまいます。
そんな凸凹なチーム・アントマンでしたが、なんとか格好もついてきたところで、ピム博士は訓練を兼ねてNY郊外にあるスターク・インダストリーの倉庫からピム博士が設計した探査装置を拝借する任務をスコットに与えました。簡単な任務のはずでしたが、スターク・インダストリーの倉庫はソコヴィア崩壊の後、アベンジャーズの拠点となっていたのです。警戒センサーに引っかかってしまったスコットをファルコンことサム・ウィルソンが捕えようとしますが縮小技術を巧みに使ってこの危機を脱したスコット。あとはクロスが乗っ取った博士の会社ピムテックに乗り込んでデータの破壊とイエロージャケットの奪取のみ。仕事(窃盗犯)仲間もバックアップに引き入れて、作戦に臨むスコット達は果たして無事に任務を終了させることができるのでしょうか?というあらすじです。
ケイパームービー
この作品、ケイパームービーというジャンルのマナーに則っています。ケイパームービーとは強盗や窃盗など、職業的に泥棒するチームが計画を立てて盗みを働く様を描いた映画を指す言葉で、「はね回る」という意味の英単語だそうですが、俗語として「盗み」などの意味があるそうです。
ケイパームービーとしてはマイケル・マン監督『HEAT』やベン・アフレックが監督主演した『ザ・タウン』のようなハードなものからピーター・フォーク主演のコメディタッチの『ブリンクス』のようなものや、スタイリッシュな『オーシャンズ11』などがありますが、『アントマン』はヘヴィで重犯罪のようなものではなく(やってることは重犯罪並ですが)『オーシャンズ11』のりの悪い奴をギャフンと言わせるスタイルと言っていいでしょう。元々は『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』のエドガー・ライトが、ジョー・コーニッシュとともに脚本を書き、監督をする予定でした。その内容も相当に面白かったといい、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』の監督ジョス・ウェドンが絶賛していたのですが、残念ながら彼は監督を降板、その後を継いだのがペイトン・リードでTVで主に活動していた人でした。
マーベルは若手の大胆な抜擢も多いですが、TVで業績を上げている人をつれてくるのも巧いのです。主にコメディタッチの作品を手掛けていることも、コメディタッチのアクション映画という本作にぴったりだったのだと思います。ただエドガーのオリジナルシナリオでの『アントマン』もちょっと観てみたかった気がしますね。なんぜジェームズ・ガンが『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』で見事にやりきっていますからね。実はエドガーで『アントマン』が進んでいると聞いた時にはかなり期待していて、降板を聞いてガッカリした口です。とはいえこの作品のDNAはエドガーが残したものであるし、彼が選んだポール・ラッドは主演で残り、脚本のリライトには一時は監督をオファーされたアダム・マッケイとともに参加しています。
結果、出来上がった作品は軽快なテンポを持つエンターテインメント作品に仕上がっています。紆余曲折はあったもののコメディタッチのアクションムービーとして仕上がっています。ペイトン・リードはさぞかしやりにくかったでしょうがラッドやマッケイの力を借りてアクションの佳作を作りだしたと思います。ちなみにエドガー・ライトが『ベイビードライバー』を撮ったのは記憶に新しいところです。そこだけを見てもやっぱりエドガーの『アントマン』観たかったとは確かになりますが、まあそこはそれ。この作品も世の中になかなか馴染めない根は真面目だけど、やむを得ず悪事に手を染めちゃうラングが次第にヒーローに目覚めていき、娘のために頑張るところはケイパームービーなのにファミリームービーとしても観れるというお得感に加え、バディモノホープとスコットのバディムービーの側面もあるなんとも盛沢山ながらも楽しい映画に仕上がっています。ホープ演じるエヴァンジェリン・リリーはドラマ『LOST』でブレイクした人ですが、今回はタフなヒロインを演じていますが、続編ではスーパーヒーロー、ワスプとして大活躍するとか。それにつながるこの作品は見逃せません。それだけにとどまらずマイケル・ペーニャ演じるスコットの悪仲間(だけど憎めない)ルイスを含めた3人組も出しゃばっていないけどいい味を出しているのが大きいですよね。まあルイスはめっちゃ出しゃばっているけど(笑)
縮小技術の描写も面白いし、『アントマン』2作目の『アントマン&ワスプ』ではさらに、初代ワスプとしてミシェル・ファイファーの出演も決定。無茶苦茶楽しみですね。
アリと意思疎通できるヒーロー。
小さな巨人、アントマン
アントマンはその名の通りアリのようにちいさいだけではありません。アリと意思疎通が出来て彼らの力を借りることが出来ます。これもピム博士の発明なのですが、数々の種類のアリをつかってミッションを遂行していくのは、ミクロイドSをちょっと思い出すオールドファンがいるかもしれません。あれはアリは敵でしたが、アリが群れをなして襲ってくるという映画もありました。アリはどこにでも潜り込め、また羽アリならば空を移動することもできます。『アントマン』では沢山の種類のアリが登場。そのアリの特性を活かした活躍を観る事ができます。
アリにはギ酸という酸で攻撃することも出来るし、その大きな顎が武器になるし、多くのアリがあつまれば高くて登れない(ミニサイズでは)ところにも。羽アリは飛行手段を持たないアントマンにとっては強い味方です。シビル・ウォーではサイズを変える攻撃法でチームアイアンマンを翻弄していましたが、アリを使えばもっと効率的に相手を撤退させることも可能だったかも?じっさい今回のミッションでもアリの手助けなければ潜入は難しかったでしょう。
恐るべき敵、イエロージャケット
今回のヴィラン、ダレン・クロスが装着する、ピム博士の技術をコピーして作り上げた縮小化パワードスーツの名前です。背部にレーザー砲を搭載した副腕をもちアントマンより攻撃力が高く作られています。原典のマーベル・コミックスではピム博士が装着したりしたこともあるようですが2対の副腕と2対のブームがあるシルエットはドック・オク(オクトパス)のような副腕装備のようでなかなか厳ついものがあります。
ダレン・クロスを演じるのはコリー・ストール。『LAW&ORDER:LA』にLA市警の刑事役として出演していました。このドラマには他にスパイダーマンでドックオク役で出演したアルフレッド・モリーナが出演していたので、マーベル・コミックスの実写映画のヴィラン役の2人が同じドラマに出ていたとは、なんという偶然だとちょっと面白いなと思った事を思い出しました。
M.C.Uフェイズ2フィナーレとして
フェイズ2の最終にこの作品をもってきたというのは、冒険したなと実は思っていました。古株アメコミファンには原典の『アベンジャーズ』オリジナルメンバーであったアントマンを知っていたとしても、多くの人はよく知らないわけで、しかも初代のピム博士ではなく2代目スコット・ラングを主役にというのも冒険しているなと。
マーベル・シネマティック・ユニバースでは原典ママではなく、現代に即した作品とマーベル・コミックス原典のコアにリスペクトしてストーリーを編んでいく手法をとっています。最大限クリエイターの意思は尊重されているようですが、それでも他の作品とのつながりもあるため、一部ではそれが齟齬を産む事態も。(今回のエドガーの降板も言ってみればそうです。)
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』への橋渡し
ですが大筋ではケヴィン・ファイギの緩やかなコントロールのもとフェイズ2の最後にこれを持ってきたのは、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』がやはりダークで暗い雰囲気を纏っていることと、また続くフェイズ3の初手が『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』であることと無関係ではないと思います。
『アントマン』のダメオヤジ的な部分と陽性なタッチがともすればダークで重い雰囲気になりそうなM.C.Uを引き留める。そんな効果をもたされているのかなって。これは考えすぎかもしれないけれど。事実、『シビル・ウォー』の時にホークアイがアントマンを連れてきたときは、完全にお笑いモードになってましたし、なんとなればケイパームービーのノリも加わっていました。(ジェレミー・レナ―って『ザ・タウン』でもベン・アフレック演じる主人公率いる強盗チームの片腕でしたから余計にそう見えた(笑))
待ちどおしい『アントマン&ザ・ワスプ』
『シビル・ウォー』はけっこうキツイお話でもあるんですが、一服の清涼剤というか、そういう『アントマン』にもあるノリがありました。『インフィニティウォー』ではホークアイとともに予告編に映っていないものの、『インフィニティウォー』の後には『アントマン&ザ・ワスプ』が待機中です。そちらでは大暴れしてくれることでしょう。
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