ミノグシアの盾、AP騎士団(アトール・ポリティ騎士団)|『ファイブスター物語/FSS』解説/備忘録-Web-tonbori堂アネックス

ミノグシアの盾、AP騎士団(アトール・ポリティ騎士団)|『ファイブスター物語/FSS』解説/備忘録

2018年2月23日金曜日

FSS manga ROBOT

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 ファイブスター物語/FSS第14巻『ツラック隊』はAP騎士団ツラック隊がベラを護り抜く戦いをクライマックスにした話が展開されます。そんなわけで今回は備忘録も兼ねてファイブスター物語/FSS解説エントリシリーズ(笑)『AP騎士団』です。

『ファイブスター物語』14巻|永野護 著|KADOKAWA刊|AP騎士団ツラック隊が活躍する第14巻表紙
『ファイブスター物語』14巻|永野護 著|KADOKAWA刊
|AP騎士団ツラック隊が活躍する第14巻表紙

ハスハ連合共和国筆頭騎士団

 バッハトマがハスハ連合共和国に攻め入るまで、その強大な戦力を以ってハスハの守護者であったのが筆頭騎士団たるAP騎士団です。ご存知の通り、映画『花の詩女 ゴティックメード』公開後、ファイブスター物語連載再開によって設定が一部変わりました。登場するロボットの名称がモータヘッド(MH)からゴティックメード(GTM)に。そしてスパッド(光剣)スパイド(実剣)に変わりガットブロウへと、その他は基本的にそのままですが、一部名称が変わっています。そこには騎士団の名称か変わったものもありますが、AP騎士団はAP騎士団のままだったのです。ですが細かい部分が変更されています。


 例えば読み方。当初はエープと呼ばれていたように覚えていますが、現在はエーピーと読むようになっています。変更時期は魔導大戦になってからように思いますが、何故にエープからエーピーになったかは不明です。使用モータヘッドA・トールはゴティックメード、バーガ・ハリへと変わりましたが騎士団の各支隊の設定などはそのまま引き継がれています。(現在は分裂していますが)


 APとは略称でリッターピクトによるとAPとはアトール・ポリティ、正式名称はカンプリッター・ツァイツェン・クラフト・アトール・ポリティ。意味として「アトールの力と品性の戦闘騎士団」になるとあります。ポリティはデンマーク語で警察という意味があるとか(politi)この名前聞いたことがあるなと思ってDESIGNSやら過去の巻をひっくりかえすと、AP騎士団13支隊の一つ、遊撃騎士団であるスクリティ隊、魔導大戦前に警察騎士団だったころの名前がスクリティ・ポリティ隊でした。ちなみにスクリティ・ポリティの元ネタはイギリスのロックバンドの名前です。(スクリッティ・ポリッティ、由来は政治的な書簡という意味だとか。)

ソース|スクリッティ・ポリッティ - Wikipedia

 語感やその他から文字の意味を元の意味から巧みに置き換えていったのかなと思います。リッターピクトもそうでしたし。前にミラージュ騎士団の事を書いた時に指摘したツァラトゥストラもそうでした。ちなみにAP騎士団関係には音楽関係からきた名前が多く、マイケル・ギラ、ヤーボ・ビートも元ネタはミュージシャンの名前です。そもそもFSSでは初期のネーミングに音楽関係(ロック関係)からとられたものも多く、フィルモアだって元ネタは有名なライブハウスから来ていますし例を挙げるときりがありません。


 そのAP騎士団、巻数にして1巻から魔導大戦がはじまる第11巻までは星団列強の中でも3大騎士団の一つとして数えられていました。またパワーバランスでもカラミティのフィルモア、そしてクバルカンについで第3位の力を持つとされた大国だったのがボスヤスフォートの率いるバッハトマ魔法帝国によって首都ベイジが落とされ分断されたままになっているのが14巻での現状です。中でも北部のベラ国は後ろにイェンシング、バトラントの2国を控え、ナカカラとハスハントと国境を接しており、バッハトマとしては最重要ではないものの与している枢軸連合からすると北部を抑える要としては手に入れておきたい場所。そこを守護しているのがツラック隊という訳です。

AP騎士団のモーターヘッド

 旧設定での使用モーターヘッドはA・トールという長い後頭部をもつ特徴的な頭部と一つ目のように見える印象的なデザインは『重戦機エルガイム』のA級ヘビーメタル、アトールのデザインラインを引き継いだものでした。もともとアトールというのはバンドの名前でその筋では有名でしたが、表記はATOLL、ちなみにフランスのロックバンドだそうです。アルバムジャケットを見ると直接的ではないにしろ永野護に与えた影響が薄っすらと感じられます。


 このA・トール、所属部隊によりフォルムが違っており、印象的な一つ目のようなフェイス部分は引き継がれていますけど、スバース隊の使用するBSは後頭部がバナナのようになっている特徴的な頭部ですが、ツラック隊にて騎士に復帰したハレーが所属していたエンブリヨ隊のA・トール・エンブリヨは三角帽子をかぶったような、また肩部も尖って細身に見えるモーターヘッドでした。


 その他にもちょこちょことは登場していますがキャラシートとして紹介されているモーターヘッドは少なく、活躍している騎体も少ないのでA・トールといえばまずBSを思い出す人が多いのでは。ちなみに10巻、11巻、12巻ではBS以外のA・トールも出ています。似ているんですがよく見ると頭部と肩部がちょっと違うA・トールがいます。ただフレームは同じフレームを使用しているという設定はこの頃からあったはずでライオン・フレームという堅牢で丈夫なフレームを使用しているモーターヘッドという設定だったはずです。それはゴティックメードになっても引き継がれバーガ・ハリも頭部のデザインやアイドラ・フライヤーの形状により各支隊のゴティックメードと識別できるようになっていると設定されていました。


 今後はもうモータヘッドが物語に出ることは無いのですが、台詞だけあったA・トール・ダンダグラーダなど各支隊のA・トールのキャラクターシートは一度見て見たかったですね。フィルモアのサイレンもGTMユーレイに変わる前にほぼ各型式のキャラシートが出たので、そこだけがGTM改変の心残りです。

AP騎士団のゴティックメード

 APのゴティックメードはバーガ・ハリ。星団でも3大GTMとして知られる有名な機体です。モーターヘッドA・トールの設定の内、設計者とフレーム名はそのままです。設計者のゼビア・コーター公に堅牢かつ強靭で余裕のあるというライオン・フレームを使用するという設定です。このバーガ・ハリもいろいろバリエーションがあり、A・トールの設定がそのまま引き継がれています。これも頭部とアイドラ・フライヤー、装甲のデザインのみで各騎体の差をつけるという感じでA・トールの設定と同じです。(頭部のデザインと肩部アーマー、ラウンドバインダーの形など)今のところ劇中に登場したのはスキーン隊のSk、スバース隊のBS、エース騎でもあるBSコブラ、さらにウルトラエースであったヤーボのBS-R通称コブラ・ハーブ。ジャグート隊のJG、スパチュラ隊のファンディです。DESIGNS4ではスパチュラ隊のバーガ・ハリはAEとありましたが。この辺りはDESIGNS6クロスジャマーで解説はいるんでしょうか?ちと気になる部分です。


 とちょっと話が脇にそれましたが14巻の主人公でもあるナルミ・アイデルマが率いるツラック隊はこのAP騎士団の一支隊です。この支隊というのは軍団、戦闘団のようなものとおおまかに捉えてもらえればいいかと思います。AP騎士団には多くの支隊があり、それぞれハスハ連合に参加している各国に配備されそれぞれの防衛を担っています。配備された各国の国軍の上部に位置しその国の最終防衛ラインとも言うべき責務を担っているのですが、魔導大戦勃発によりハスハ連合を離脱した国もあることから構成が大きく変わり、現在は分裂状態にあるのです。

ミノグシア連合

 魔導大戦開戦で首都ベイジは焼失、代表議長であった民政王コレットも死亡し議会機能はスバース市に移動したものの星団列強による介入で各地で分断、連合から離脱した国も有りAP騎士団は元の機能を喪失した状態ながら、ツラック隊のように踏ん張っている隊や温存された本陣強支隊としてベイジの防衛を担当しているスバース隊やノウランで手痛い損害をこうむった同じく首都防衛の任にあたっている本陣参謀支隊スキーン隊。これらの名前は超帝国由来のものが多いとされています。魔導大戦、マジェスティック・スタンドと時の詩女の章においては超帝国も多く絡んでい来ていますが、AP騎士団もそういった歴史を引き継いでいる事が分かります。


 ボォスには超帝国の遺跡も多く(それは星団中にありますが)移民の星、カーマインだった頃から星の歴史を語り継ぐ詩女がいることから、それに由来したものが付けられたと思われます。スバースは超帝国の純血の騎士で剣聖スバースからでしょうし、スキーンはAD世紀のアッセルムラトワ・ディスターブの超帝国剣聖にして親衛騎士団長、アサラム・スキーンズ。ディスターブはナカカラの防衛をまかされているディスターブ隊など。しかしナ・イ・ンに滅ぼされたAD世紀末期のスパチュラーという名前がついているなど伝承とかどうなっているんでしょうね?


 それとともにAP騎士団の名称にもあるアトール。アトール聖導王朝。『花の詩女 ゴティックメード』が公開され連載再開される前は詩女は巫女と呼ばれていました。アトールの巫女としてアトール聖導王朝の女王でもあったんですが、連載再開のGTM改変により聖宮ラーンという表記になっています。これはアトール聖導王朝という名前が無くなったわけではなく(年表には明記されていませんがDESIGNS4には表記あります。P.90の「星団歴2000年代以降の主な詩女たちと出来事」のマグダルの項、【3960年カステポーがアトール聖導王朝に編入】それに13巻でダイ・グがクリスティンにミノグシア大陸、ナン大陸の人たちが自らをアトールの子と呼びならわすと語っています。)ナイミン・ハスハ・アトールというナ・イ・ン、ヤーン・ダッカスから3代目の実質、超帝国関係者ではない初めての詩女の名前はやはり大きいものがあると推察されます。そのためAP騎士団の中に残ったと思っているのですが、さて今後アトール聖導王朝の名が出てくるのか?そこも気になっているポイントです。

AP騎士団13支隊

 ざっくりと支隊を紹介するとスバース、スキーン、ドーチュー、スパチュラ、エンブリヨ、ジャーグド、マルコンナ、バローラ、ディスターブ、ツラック、S-P-K、スクリティ、ラーン支隊の13支隊。この中でも現在物語に大きく関わっているのはスバース、スキーン、エンブリヨ、スクリティ・ポリティ、ツラック隊でしょうか。ちなみに物語というか対外的には12支隊としてハスハの各国に配備された支隊が表に出ており、警察騎士団スクリティは表には出ていない部隊でしたが戦時編成で遊撃騎士団として投入されている模様です。


 発売された14巻ではツラック隊に救援としてジャーグドとスパチュラの2支隊が救援にかけつけました。それと13巻ではアルルがディスターブ隊の支隊長、ラドンウェイと会っていました。このディスターブ隊、分裂したスパチュラ隊と同じく開戦前は最大のGTM保有数を誇っており、中原の安定と駐屯しているナカカラの思惑で留まっているとのことで、魔導大戦でも今後存在感を発揮することが予想されます。


 SPK支隊も完全に分離独立。それぞれの地域の防衛にあたりつつも連合の各国家の思惑で動ている状況では以前の三大騎士団としての力は既に無いのですが、それでも数多くのバーガ・ハリを保有し強力な戦力を保持している事には変わりありません。そして13巻でミラージュのランドアンド・スパコーンがスバース隊の支隊長として魔導大戦に参加することになりました。今後も魔導大戦がボォスが舞台になるので何かとAP騎士団は物語に関わってくる事になるでしょう。とりあえず覚えておくのは、スバース市に駐留中のスバース隊、スキーン隊、ドーチュー隊、そしてナルミのツラック隊とラーン支隊。あとはディターブ隊だけ今は押さえておけばOKだと思います。多分今後ほかの隊が絡んでくることがあっても、その時がその隊のメイン、もしくは重要エピソードなのでそこから頭に入れれば大丈夫でしょう。

AP騎士団メンバー

 現在ミノグシア連合議長を務めAP騎士団総団長のマイケル・ギラ。登場は早く第2巻からヤーボとともに登場。ジュノーでコーラス王朝にハグーダが侵攻した際に衛星軌道上で待機していた彼らがノイエシルチスのブルーノを救出しました。その後ブルーノはアルカナナイトと青グループリーダーに。ヤーボはカイエンの子、デプレとマグダルを産み、AP騎士団籍を剝奪されながらもネードル・シバレース(ムグミカ・シバレース)としてカイゼリンを駆りました。しかしボスヤスフォートの手にかかり命を落とす事に。


 ギラは平民出ではありますがコレットに信頼されていたのでしょう。またハスハの将兵からも信頼厚き将軍であるようです。ただDESIGNS4などの解説によると平民出身ということで他の支隊の支隊長や議会では軽んじられているとか。まだまだ頭を悩ます事が多そうです。


 そのギラの抜擢により軍参謀となったのがスクリティ隊支隊長であったロータス・バルンガ。初登場時はヤーボがカイゼリン(当時はMHジ・エンプレス)でアドラーに出たときでした。「うひょひょ」と印象的に笑うものの眼鏡にかくされたその眼は決して得物を逃がさないハンターという風情の人でしたが、デプレとマグダルが彼によくなついていることで、彼の人となりが王宮に知れることになり、さらに優れた戦術眼を持つ事からの抜擢を得たようです。この2人にAP騎士団スバース隊とともに最強支隊の一角を担うスキーン隊のシュマイス・バイターが現状のAP騎士団中核メンバーです。


 またラーン王宮支隊「アイル・フェルノア」のニナ・エリスはそのままスバース市に残留し現在はドヌーブ・ガセットがその任についていますがこの辺りは13巻の「ロスト・マグダル」で語られていましたね。またAP騎士でもありラーンの最高神官でもあるのが、ヘアード・グローバー。彼女もまた困難な道を歩んでいますが、それぞれの道は「44分間の奇蹟」につながっているのです。


 そしてそこに今回のツラック隊のナルミ・アイデルマが加わったという訳です。彼女はやがて聖宮ラーンの守備隊であるラーン支隊アイル・フェルノアの支隊長になるということが既に予告されています。それもハスハント解放戦後の事。役者は徐々に揃ってきました。この先の魔導大戦はヨーンとパルスエットのエピソードが終わった後にマグダルのエピソードがはじまります。その時にこのAP騎士団の面々もまた物語に絡んでくるでしょう。早くそのエピソードを読みたいものです。

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