Re:CREATORS、最終回を終えて【ネタバレ】

Re:CREATORS

Re:CREATORSのRe:は返信メールの時につくRe:ではなくリイマジやリニューアル、リメイクといった再び、新たにという動詞や名詞につける接頭語のRe:なんだろうなと。

つまり颯太やメテオラがこれから紡ぎだしていく新たな物語というものが、この世の希望になるという事なのではないかという終わり方だったように思います。

Re:CREATORS
画像はamazonより|Amazonビデオ|配信中|(C)2017 広江礼威/小学館・アニプレックス

元々最初、『アルドノア・ゼロ』のあおきえいと『ブラックラグーン』の広江礼威が組むということでどちらも好きな作品だったため、まずは初回を観てみようと観たのがきっかけでした。まだ観ていない人はAmazonビデオ配信中でプライムなら今なら無料で観られます。また観てから読みに来ていただけると幸いです。




『アルドノア・ゼロ』

あおきえい監督の作品で、いわゆるリアルロボットアニメです。未来の地球で人類は火星に入植を果たしましたが想像以上に過酷な火星の環境と圧政を敷く地球側の軋みは火星で発見された先史文明の遺跡によりパワーバランスが逆転ヴァース帝国を名乗る火星側と地球側の闘いに巻き込まれていく高校生たちと彼らをとりまく人々の運命を描いた作品でした。
画像はamazonより|Amazonビデオ|配信中(c)Olympus Knights/Aniplex・Project AZ
カタクラフトと呼称されるロボット兵器は地球側のそれがGMっぽい量産機然としているのに対し、火星側はオーバーテクノロジーを利用したスーパーロボットで、原案の虚淵玄氏はAT(装甲騎兵ボトムズ)対モータヘッド(ファイブスター物語に出てくる騎士が駆るスーパーロボット)と述べているインタビュー記事を読んだ覚えがあります。基本的にモータヘッド対ATでは勝負にならないんですが知恵を使って倒すという部分が妙にツボにはまって全話を視聴しました。

『ブラックラグーン』

広江礼威氏の漫画でアニメ化もされています。アニメ化の監督は『この世界の片隅に』の片渕須直監督でした。東南アジアのロアナプラという港町で繰り広げられるアウトローの饗宴を描いた作品で、コロンビアの麻薬カルテル、ロシアンマフィア、黒社会の三合会、カモッラなどなど世界の悪党どもの巣窟で起こる出来事に、所属する商社のタンカーがハイジャックされたことから巻き込まれる普通のサラリーマン、岡島緑郎(ロック)を中心に魚雷艇を使ってヤバい物を運ぶラグーン商会の面々、船長のダッチ、ガンスリンガーのレヴィ、ハッカーのベニーらともめ事に巻き込まれていく日常を描いたハードアクション日常漫画です。

ブラック・ラグーン(1) (サンデーGXコミックス)
画像はamazonより|『ブラック・ラグーン』1巻表紙|広江礼威著

血なまぐさい展開もあるし、かと思えばギャグもある。バラエティに富んだギラギラした連中が駆け回るお話で、特に南米からやってきた戦闘メイド、ロベルタのエピソードはその後のストーリーも含めて深い陰影を残しましたし、マフィアの双子の殺し屋ヘンゼルとグレーテルのエピソードも血なまぐさいものでした。多分にアクション小説や冒険小説、映画の影響が見られる面白い作品です。

そんな2人が組んだとなればやはりこれはワクワクするしかないということで初回を観ることにしたのでした。



世界を回せ!Re:CREATORS

孤高の姫騎士、アルタイル

画像はamazonより|Re:CREATORS Blu-ray1ジャケット|(C)2017 広江礼威/小学館・アニプレックス
劇中では前半、名称不明の軍服の姫君と呼ばれていたアルタイル。彼女は創造主である島崎セツナが産み出したキャラクターですが、さらに言えばそれも二次創作物、Re:CREATEされた被造物(創造主より産み出され、世界に現れた(限界)したキャラクターを指す言葉)アルタイルはもともと日本では彦星で知られるわし座のα星の事です。

創造主であるセツナがその才能に嫉妬した者たちの誹謗中傷によって自殺したのちこの世に限界し、創造主を滅したこの世界に絶望し憎み滅ぼそうと決意する物語を駆動するキャラクターです。自分の生みの親が受けた仕打ちを考えれば、それは仕方がない事ではないかとややもすると感情移入してしまうためにあえて魔王めいた物言いをするキャラクターとして設定されていますが、そのたびに寂寥感がますます際立ってしまうキャラクターになっていました。

Re:CREATORSの物語世界では最強、最悪の力をもっているとされるアルタイル。彼女を止めるには確かにあの手しかなかったなと思う結末でした。ストーリー上は奇手とされており、その切り方も通常の物語設定力では難しく(観客、読者の承認する力、承認力と劇中では名称されています。)、限界した被造物の一人、どちらにも与していない築城院真鍳(ちくじょういんまがね)による「言葉無限欺」(ことのはむげんのあざむき)というワイルドカードを使ったものでした。

この切り札にかんしては颯太が手を上げた時からそうではないかと思っていましたが、どう切るのか?それが気になっていましたが、なるほど真鍳をワイルドカードとして使うかと。実際あの時点では真鍳の動きは読めなかったしエリミネーション・チャンバー・フェスティバル会場に現れた時もどうするか分からないというのはありました。まさにワイルドカード。最強の手札という部分でしたね。

そして最後の最後にアルタイルのとった行動は理解できるもので『世界はあなたのもの』から『あなたともに』に変化したと思います。サブタイトルや最後に浮かび出た文字がそれを表していると思います。

当然もっとドッカンドッカン、または「滅却!」という決め台詞で〆てほしい人や、誰かが何かを撃ったその瞬間に決まるというの期待したい人にはなんだアレな結末でしたでしょうが、弱きものの姫騎士はあの瞬間、セツナのための姫騎士になったということです。

考えようによっては物凄くインナーな結末ですが、それさえも創造主が考えてストーリーを転がしてという末の結果。ある意味『神、そらに知ろしめす。すべて世は事も無し。』その神とは創造主の想像力(創造)と想いの力ではなかったかと思うのです。

狂言回しにして真のワイルドカード、水篠颯太

実は彼がそうなることは第1回から仕組まれていた事で、深読みするとRe:CREATORSの真の創造主が仕組んだ切り札なんですよね。ライバル(追記20101009:NT11月号のインタビューを読むとアルタイルは主人公であるという記述があり広江さんとあおきさんの間ではそう話が進んでいたとのこと、確かに腑に落ちるところもあります。主人公故、周りからの力を受けて強くなる。まるで悟空のようではありませんか。ただヒロインが【世界に】殺されて魔王化しただけで)であり強大なラスボスであるアルタイルに対して普通の少年である颯太は立ち向かう術はありません。(物理攻撃という意味では)彼は一般視聴者に近い立場で設定され、普通のアニメ好きで絵を描くことも好きだけど過去の経緯で今は描くのをやめている少年です。アニメを観る層に近いながら、絵師という属性はこの作品を作り出している人たちの過去というわけではないですが、CREATORSの卵という属性も付加されていると言えます。

そして物語ではアルタイルの創造主と一時とは言え深い関係をもっていたことでアルタイルからも認識されていたはずなのに傍観者として認識され彼を直接攻撃する者は実は真鍳だけだったという。しかも真鍳の力はクリエイトする力を裏返し物理手段とする言葉を力にする力なわけです。だから彼女がワイルドカードなんですが、物語を終結させる手段として真の創造主(CREATORS)が物語に配置したのが彼なのです。

そう思えば製作者が託したのは物語は始めなければ終わらない、まずは描く(書く)ことからはじめてはどうだろうかという問いかけにのように感じるのです。

無邪気な観客、築城院真鍳

登場時から血生臭く限界し、あっさり創造主を縊り殺すなど常軌を逸してるキャラクターとして描かれていますが、彼女、アニメ『PSYCHO-PASS』のドミネーターで犯罪係数計ったら多分0に近いと思います(笑)

『PSYCHO-PASS』の犯罪係数がどのようにはじき出されているのか分かりませんが、彼女は面白い事が好きと公言している通り己の欲望に忠実なだけでストレスフリーだからそうではないかと推察したわけです。基本的に『PSYCHO-PASS』で犯罪係数の高い人ってストレス抱えてる人とか激情家が多そうですから(苦笑)

と話がずれましたが本来ならラスボスポジションですよね。アルタイルとは違うけど使いようによっては無敵の力をもっているわけですから。終盤でも全てをひっくり返す潜在能力を秘めているのは彼女といっても過言ではありません。だからこそのワイルドカードたりえたわけです。声を担当した坂本真綾の演技と相まって作中で非常に強い印象を残したキャラクターになったと思います。

そして(ここ重要)彼女の発した「面白ければいいんだよね、楽しませておくれな」ってのは完全に我々観客、視聴者の思いでもあります。無邪気で無慈悲な観客の姿の一つ。それが真鍳ではなかったかと思います。

先導者にして傍観者、そして教師メテオラ

実は彼女こそが真の狂言回しで故に非常に重要であったという事だったかなと終わってみて感じました。颯太君が物語の最初と(第1話)、最終回でモノローグナレーションが入ったので余計にそれがはっきりしたように思います。さすが「万里の探究者」です。

いや「万能の探究者」とでも言うべきでしょうか。物語の現況説明から相手のスペック解析、円滑に進めるためのサジェストに時にはセラピーまで。まさに八面六臂な大活躍(物語の進行的に)彼女と菊地原さんが組んだら最強の編集ユニットになるんじゃないかと思いましたが、最後に彼女も探求の末に湧き上がるものを書き記していく側に回ったというのは非常に興味深いですね。

やはり観ているだけじゃなくて、何か書いてみれば!っていうエールなのかな?ここもすべてのCREATORSの卵に向けてのメッセージって気がしますね。

最終回が終わってみて

雑誌(多分月刊ニュータイプ)のインタビューかネットのインタビューだったかは忘れたのですが元々のイメージソースとして『ラスト・アクション・ヒーロー』があると広江さんが語っていたのがなんとなく頭にあって、いろいろな作品がクロスオーバーするのも好きだけど、それが現実世界に物語世界から飛び出てきてというのも面白いなというのが最初にこの『Re:CREATORS』に対して思った事です。とは言えやはり「軍服の姫君」のビジュアルに、ファンタジー世界や魔法少女、SF、銃をもったおっさんというイメージビジュアルに因るところが大きかったですが。


画像はamazonより|Re:CREATORS Blu-ray2ジャケット|(C)2017 広江礼威/小学館・アニプレックス

セレジアや鹿屋、弥勒寺、アリステリアにまみか、ブリッツなど書ききれないキャラクターもしっかりとそのバックボーンを感じさせる作りは並みの作品の10倍いやもっとな力が注がれている事でしょう。創造主も松原とか味のあるキャラクターが多かったけど特に駿河の身体をはった最終盤でのあれは定石展開ながらカッコいいと思わせてくれました。そう定石展開でもきちんと場を用意すればカッコいいんですよね。別に奇手を打つ必要もない。そういう事も伝えたかったのかなと思います。お話は奇手ですが(笑)

あと今回入れきれなかった中にタイトルに曲名が入ってるということなんですが一部そうでもないのがあってちょっと今回は見送りました。でもムーンライダーズの『ダイナマイトとクールガイ』、『花咲く乙女よ、穴を掘れ』などチョイスがピンポイント過ぎてちょっと唸りましたね。

MANIA MANIERA
画像はamazonより|ムーンライダーズ「マニア・マニエラ」花咲く乙女よ、穴を掘れ収録|CD

よい大団円を迎えたのですが、やはりそれぞれの物語世界の行く末も気になりますし、邂逅っていうのはまた観てみたい気がします。まあその意味ではあれだけの想いをしてまたかって話になりそうではあるのでここで〆ておくのが吉なのかもしれませんが…。やはり観客は「次」が観たいのですよね。でもここは、あおき監督や広江さんの新作をって事が皆が幸せになりそうな気がします。

追記20171009:颯太君の項目で文章を追記しています。NT11月号のあおき監督と原作者脚本の広江さんの対談記事をを受けての事です。アルタイルって確かに主人公なんだけどそこも奇手であったかなと。でも考えるとああ主人公だわっていうのが分かるんですが、颯太君はいわばガイドだったんですね。その颯太君をさらにガイドするのがメテオラだったという。あとは基本サブキャラですがサブキャラにはサブキャラの意地があり、それぞれがその世界では「主人公」しっかり見せ場と意地を見せてくれたと思います。

追記20180619:中段、見出しをつけました。「世界を回せ!Re:CREATORS」です。分かる人には分かるでしょうが平野耕太の『ドリフターズ』から台詞引用させていただきました。あちらは歴史上の人物を引っ張ってきていますが、割と似ている気がします。着地点というか目指すポイントは全然違うと思いますが。この見出しがぴったりだなと思ったので、あえて。「リアルな現実、本気の現実」のようなものです。(ガンダムセンチネルで使われたコピー。元は佐野元春の歌詞です。)

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