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『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』第9話で気になった件【ネタバレ】|tonbori堂ドラマ語り

2017年6月7日水曜日

drama

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 いよいよ物語も大詰め。最強の敵という煽り文句で稲見の元同僚、結城(金子ノブアキ)が登場です。来週が最終回で今回と合わせての週またぎの構成。今回はいつも以上に強力な敵に特捜班も最大の危機を迎えます。

CRISIS公安機動捜査隊特捜班/ロゴはイメージです
CRISIS公安機動捜査隊特捜班/ロゴはイメージです

CRISIS第9話、いよいよ大詰め。今回は?

 特捜班が思い思いの休日を過ごした中、田丸は教団の事件がひと段落した後に接触してきた男の事について考えていました。『この国の根っこは腐っている』『根本から変えないと』『この国を変えてみませんか?』と田丸に接触してきた男は一か月にまた会いましょうと言い残し立ち去りました。翌日、稲見はオフィスに現れた鍛冶から自衛隊時代の同僚、結城が原隊から脱柵したと聞かされます。2週間行方をくらまし、警務隊が追跡しているがようとして行方がつかめず、現れたら鍛冶に連絡するように言われます。


 その夜、稲見は馴染みのバーの前で結城と再会します。久々の再会を喜び合う2人でしたが、結城は脱柵した理由を問われ、それには答えず『この世界をあるべき姿に戻す』と言い『俺と共にこの世界を正さないか』と誘われます。警戒する稲見、その場に現れた巡回中の警官から銃を奪い、足を撃った結城は、その気ならば3日後にあのバーで会おうと言い残し姿を消しました。

最凶のテロリスト。

 翌日、青沼は鍛冶に昨夜の報告をし事件の背景を尋ねますが鍛冶は、誰にも言えない厄介事として墓までもっていくような秘密として、ただ結城の逮捕を特捜班に命じるよう伝えました。結城と接点のある稲見を囮に特捜班で結城を逮捕する作戦でしたが、それを察知した結城は現れず、稲見は鍛冶に結城に何があったかを問いただしますが、鍛冶は答えません。戻ろうとする稲見に鍛冶は、結城が現れたら、この国の秩序のために撃たれる前に撃てと命じます。


 一方総理大臣、岸部(竜雷太)の息子がアメリカ留学を切り上げて帰国したいという話を妻から切り出され、にべもなく留学を全うしろと伝えます。その頃、大胆不敵にも特捜班に出勤してきた大山を捕らえオフィスに入った結城。政府要人のデータをUSBにダウンロードさせます。大山が発した警報でオフィスに突入する特捜班の面々。一瞬の隙をついて逃亡し仕掛けた爆弾を爆破しオフィスは大破してしまいました。特捜班の面々は?結城の狙いは?というストーリーでした。

クリフハンガー

 こういう一体来週はどうなるんだろうというヒキはクリフハンガーという手法です。アメリカのドラマではよくシーズン終りに宙ぶらりんな感じで終りにして来シーズンへの期待を持たせる手法としてよく使われますが、日本では連続ドラマの最終回前に盛り上げるためによく使われています。


 もっとも最近では視聴者の興味を引くためだけに毎回、クリフハンガーにしているドラマもありますね。TBSの『小さな巨人』などは、事件解決!でもどんでん返しということで次回への引きをつくっていますね。ただ『CRISIS』では結末が苦いラストであったりということでクリフハンガーとまでは行きませんでしたが、今回は最終回への盛り上がりもありクリフハンガー的なラストで来週へ続くとなりました。当然、特捜班壊滅では終わってしまうので、メンバーは健在であろうとは推察できますが、結城の凄みや決意の深さ、また狡猾さまでも描写されたシークエンスであったと思います。

この国を正す

 田丸は接近してきた男に中国語で答えましたが、これは相手が敵国のリクルーターであると推察したからでしょう。国から見捨てられた工作員や、信頼感が揺らいだスパイなどに相手国が接近するのはよくある話で、自ら売り込む場合もあります。二重スパイはスパイの間でも珍しくない話で、MI6のスパイがKGBの大物だったという話も実際にあった話です。この辺りは何度もスパイ小説の元になり、有名なところでは映画『裏切りのサーカス』の原作でもあるジョン・ル・カレの『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』は有名です。

 田丸に接近してきた男がどこの手のものかは分かりませんが最終回に向かって不気味な伏線にはなっていると思います。そもそも「この国を正しい形にする、正す」というのも維新軍の「この国の未来のために」と同じで、それはそれを望む者にとっての正しい形であり、何が正しいなのかはその時々によって、移ろい変化していくものです。それは鍛冶の言う秩序もそうで、常に矛盾をはらんだ最前線で稲見たちは戦っており、最後は結局己の信じるものに対して忠実であれるかどうかになってくるのではないかと思っていますが、さてこの予想は当たるでしょうか。

闇に生きる者たち。

 稲見にしろ結城にしろ、信じるものを相当に揺さぶられたのであることは想像に難くないです。詳しく説明はされていませんが稲見にとってはある人物を射殺した任務、結城にとっては2016年の爆破後に見た事によりそれが揺さぶられたのでしょう。稲見はまだ体制側におり結城はそこから外れた、その違いはちょっとしたことなのかもしれませんが2人の立場は大きく変わりました。どういう風に決着がつくかは不明ですし付いたとしても事件が解決するとは限らないのは、ここまで観てきた人には想像がつくことでしょう。


 ですがそれこそが金城さんの狙いなのかもしれません。稲見は自分の分身とも言える結城と対峙することで何らかの決着がつくのでしょうが、それが鍛冶の言う稲見の「通過儀礼」なのか、青沼のいう「藪をつついて蛇を出す」事になるのかはまだ分かりません。最終回は刮目です。

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