M.C.Uのオリジンストーリー。 『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』【ネタバレ】M.C.U再見Vol.5-Web-tonbori堂アネックス

M.C.Uのオリジンストーリー。 『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』【ネタバレ】M.C.U再見Vol.5

2017年5月31日水曜日

MARVEL movie

X f B! P L

 M.C.U再見ツアーもフェイズ1いよいよ大詰め。アベンジャーズの要、キャプテン・アメリカことスティーブン・ロジャースのマーベル・シネマティック・ユニバース(以下M.C.U)オリジンを描く物語について今回は語っていきたいと思います。また毎度のことながらネタバレしておりますので未見の方はご注意願います。

キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー本国版予告編youtubeより

不屈の男、キャプテン・アメリカ。

 実は今回再見するまでこちらは1回しか観ていませんでした。『キャプテン・アメリカ/ザ・ウィンター・ソルジャー』はスクリーンを含め3度ほど観ているのですが、私tonbori堂は基本映画は一期一会という精神なので繰り返して観る映画は本当に気に入ってる作品以外は観ません。上げてみると『スターウォーズ』旧3部作、『ダーティハリー』、『独立愚連隊西へ』最近では『この世界の片隅に』、あと『紅の豚』も良く見直す映画です。また『花の詩女 ゴティックメード』もおりにつけ再上映に通っています。他にも数本そういう作品はありますがほぼ大半の作品は再度観るという事はよっぽどの事が無い限りありません。

キャプテン・アメリカの盾
キャップといえばこの盾、ヴィブラニウム製でハワード・スタークが製作/マーベルスタジオ展にて



 ですがこの『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』はソフト(Blu-ray)を買っちゃおうかなと思うくらいに再見してその魅力に気が付きました。スティーブがキャプテン・アメリカになる過程を描くオリジン・ストーリーであると同時にM.C.U世界の軸になるべく設定された設定が詰め込まれているのではないか?というくらいの伏線が張り巡らされています。

リピートしたくなるクラシックヒーロー

 M.C.Uも既に本数が15本を越え、『マイティ・ソー』の3作目で16本目が待機中、来年公開の『ブラックパンサー』に続き、公開される予定の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』が現在撮影中です。その何かしらにキャプテン・アメリカという作品は影響を与えているということです。『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』にはその後のM.C.Uへの入口があるといっても過言ではありません。なので何度も見返すとするめのように味がある。そんな『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』をこれから解説してきたいと思います ここからはストーリーを解説します。

基本的に【ネタバレ】となります。物語の結末まで記しておりますので、ネタバレはちょっとという方はここで回り右をしてただく方がよろしいかと思います。要旨としてはこの作品が『アベンジャーズ』にとって非常に重要な作品であること。のみならずM.C.Uにとって重要なキーストーンな作品だとご理解いただければありがたいと思います。もし『アベンジャーズ』はもう観てるけどとか、『アイアンマン』以外はっていう方は是非観て頂きたい1本です。でははじめましょう。

STORY/ザ・ファースト・アベンジャー

※結末まで書いております。あらすじを飛ばしたい方は目次からSTORYの次をクリックしてください。

もやしっ子スティーブ、超人となる。

 物語は現代、北極圏で石油採掘の開発を行っているロシアのチームがある物体を発見してある組織に通報してきたことから始まります。その物体は巨大な翼のような形をしておりどうやら巨大な飛行機だったことがわかります。調査隊はやがて氷漬けになった円形の物体を発見します。舞台は第2次世界大戦中盤1942年ノルウェーのトンスベルグに。ナチスに似た格好の軍隊が町を襲撃し寺院を襲います。どうやら彼らは何かを探しているようですが寺院の司祭は口を割りません。そこに現れた指揮官らしき男は全てを見通したかのように壁の世界樹(ユグドラシル)のレリーフから四次元キューブ(コズミックキューブ)を探し当てます。オーディンがかつてこの町の守り神として遣わした聖なる物体。その秘めたるパワーを求めこの町を襲ったのです。謎の一団は目的の四次元キューブを手に入れた後は町を焼き払いました。


 同じころ、ニューヨークの青年、スティーブ・ロジャースは志願兵として軍の徴募事務所にいました。国のために戦って亡くなった父のように、また結核で苦しむ人々を救い自らも結核に倒れた母のように、自らも人のために何か役立ちたいと思ったスティーブでしたが、喘息等の虚弱体質で検査からはねられます。仕方なく事務所を出た正義感が強い青年スティーブは映画館で映画を観ていますが、ニュースフィルムを観ているときに大声を出す青年を咎めます。曲がったことが嫌いな青年、例えそれで絡まれて殴られても決して折れず立ち向かっていく青年それがスティーブです。


 そんな不良に絡まれていたスティーブを助けたのは軍服に身を包んだバッキーこと幼馴染にして親友のバーンズでした。志願して兵士となっていたバッキーは軍曹としてスティーブの父もかつて所属していた歩兵107連隊の隊員として欧州へ出兵が決まり最後の夜を友と過ごすためやってきたのです。おりしも戦時下ながら国威高揚のための技術博覧会にバッキーのガールフレンドとともに繰り出す2人。展覧会ではハワード・スタークが重力制御装置のデモンストレーションを行っていました。どうにも華やいだ場所に馴染めないスティーブは展覧会場の志願兵の徴募事務所を見つけ再トライすることに。バッキーがどうしてそこまでするんだと問うスティーブは皆のために出来ることをしたいんだというやりとりを後ろから一人の男が眺めていました。


 検査を受けるスティーブの前に現れたその男はエイブラハム・アースキンと名乗り、ナチを殺したいのか?とスティーブに問います。その問いにスティーブは『人は殺したくない。だけど悪党は嫌いです』と答えます。そこでアースキンは一度だけチャンスをやろうと持ち掛けます。彼はS.S.R(戦略科学予備軍)の代表で人間を超人にする血清の研究をしていました。スティーブは訓練キャンプに送られ監督官のエージェント・ペギー・カーターから他の候補者とともに超人兵士になる実験の候補となったとつげられます。虚弱体質のスティーブにとっては訓練はつらいものでしたが、皆のために何かをしたいという強い信念でくらいついていくスティーブ。そんな姿を見つめるエージェント・カーター。


 軍側のS.S.R指揮官フィリップス大佐はアースキンにスティーブを何故被験者とするのか尋ねます。実は最初からこの実験の被験者はスティーブに決まっていました。ただあまりにも虚弱体質なスティーブでは使い物にならないと屈強な兵士ホッジスを推薦するフィリップス大佐。しかしアースキン博士は人格も重要と説きます。粗暴な人間では上手くいかないと。だが善良なだけではダメだとフィリップス大佐は度胸が必要だと手榴弾を整列しているスティーブたちに投げ込みます。果たしてホッジスはいち早く車の陰に隠れましたが、スティーブは身を挺して手榴弾に覆いかぶさり皆を守ろうとしました。大佐は「でも痩せすぎている」と不満げですが渋々認めることに。


 実験の前の晩にアースキン博士は元々ドイツ人で故郷アウクスブルクに暮らしていました。ナチスが台頭し、ヒトラーがアースキン博士の研究を聞きつけ援助を申し出たのですが、ナチスに肩入れ出来ない博士は断ります。すると今度は極秘の科学研究部門ヒドラの長、ヨハン・シュミットが現れ研究を強要するようになりました。オカルティズムに傾倒しているヒトラーは人心掌握にオカルトを用いましたがシュミットは神々の力は実在したものでその力を手に入れようと画策していたのですが、神の如き肉体を手に入れるためアースキン博士の研究を欲したのです。研究は未完成でしたが血清を注入するシュミット。実験は成功したものの深刻な副作用が現れました。シュミットの野望に危機感を覚えた博士は連合国側に亡命。善なる人に力を託すため研究と続けて、スティーブと出会ったのです。アースキン博士はスティーブに約束してくれと頼みます。『君のままでいると』完璧な兵士でなくともいい、善良な人間のままでいて欲しいと。


 一方、ヒドラもアースキンの行方を追っており、米軍に匿われ実験を行おうとしていることを察知。ゾラ博士は不満げですがシュミットの強い要望で超人血清の奪取作戦が指令されました。実験施設は大量の電力を使うためニューヨークのど真ん中にありました。実験施設に向かい道すがら、カーターと語らうスティーブ。この町で育ち、あちこちで殴られたと。カーターから何故逃げなかったのと問われて、逃げればずっと追われる、敵があきらめるまで立ち向かうと。またいい人はいない、小さい男と踊りたがる女性はいないからと。運命の人が現れるまで待つことにしたと語るスティーブを見てほほ笑むカーター。


 ブルックリンの片隅にある骨董屋がS.S.Rの偽装された施設の入口でした。外からはうかがい知れない内部は強固に警備された施設になっており、実験には支援している議員や国務省のクレムソンが実験の視察に訪れていました。実験施設にはハワード・スタークの姿も。この施設の機器の殆どは彼が設計したものでした。実験は超人血清を筋や骨髄に注入、細胞の変化を促すために放射線ヴァイタ・レイを照射するというものでした。血清の注射だけでも効果が見込めますが、さらに変化をより完璧にちかいものにするための手順のようです。血清を注射され照射のためのケースに格納されるスティーブ、苦し気な声にカーターは実験中止を訴えますがスティーブはそれを止めます。アースキン博士はハワードに最大パワーで照射を命じます。回線がオーバーロードでショート。ですが実験は成功、スティーブの肉体は頑強な肉体へと変貌を遂げていました。


 その時実験室で爆発が起こります。クレムソンはヒドラの工作員だったのです。彼は血清を奪い、アースキン博士を射殺します。目の前で博士を射殺されたスティーブはクレムソンを追います。一足先にクレムソンを追っていたカーターは自動車で逃亡しようとするクレムソンを銃撃、運転手を打ち倒しますが別の車でカーターに向かってくるクレムソン。寸でのところで彼女を引き倒して守ったスティーブにカーターは「撃てたのに!」と言いますが、「ごめん」とあやまりクレムソンを素足で追跡します。


 血清の効果か、身体が軽く走るスピードも格段に速くなったスティーブ。しかしじりじりと引き離されていきます。出身地で地の利を熟知しているスティーブは角を回り先回りをすることに、先に出る事は出来ませんでしたが港でクレムソンに追いつきます。港に入ろうとして車から降りたクレムソン。追いついたスティーブに対し人質を取ります。そのままドックに入って子供を海に投げ捨てます。助けようとしたスティーブに、子供は波間に達者に浮かんでて「いいから、やつを追って」といいます。クレムソンは沈めておいた小型潜水艇を浮上させ、それで脱出するつもりです。外洋に出られると打つ手がありません。


 意を決して飛び込むスティーブ。潜水艇は戦闘機のようなコクピットなのでガラス窓をたたき割りクレムソンを引きずり出します。血清はその時に割れてしまい、奪われることは防がれました。クレムソンを問い詰めると「最初の敵だ。一つ頭を切り落としても、次は二つ生えてくる、ヒドラ万歳(ヘイル・ハイドラ)」といって奥歯に仕込んだ毒を飲んで自決しました。

キャプテン・アメリカ誕生

 シュミットはベルリンから来たナチスの高官たちに秘密基地に案内していました。彼らはヒトラーからの督促しにきたのですが、四次元キューブを手に入れ神の力を持ったシュミットの野望はドイツ第3帝国の勝利ではなくヒドラが世界を統べる事でした。キューブの力を利用した兵器で高官たちを抹殺したシュミットはナチスとは別の道を歩むことに。一方S.S.Rでは超人兵士計画は凍結されました。計画の要であるアースキン博士が暗殺されてしまい、血清のレシピが分からなくなってしまった事により計画が進められなくなったのです。頼みはスティーブから採血した血液から取り出した遺伝子解析でしたが、1940年代の技術ではまだ精度も高くはなくS.S.Rには新たな任務が下されることになりました。


 それは欧州でナチスとともに台頭し各地に拠点を築き秘密兵器を製造しているヒドラを討伐する事。スティーブも志願しますが、フィリップス大佐はたった一人の兵士では助けにならない。そう軍はたくさんの超人兵士を産みだして軍団をつくり運用するのが目的だったので、たった一人の超人兵士など無用の長物だったのです。今の彼にはモルモットの価値しかないと。ですが議員の考えは違いました、研究対象ではなく国民のヒーローにならないかとスティーブに持ち掛けます。それは戦時国債のキャンペーンで国民に呼びかけるショーに出演してほしいというものでした。ショーはスティーブがアメリカ軍のヒーロー、キャプテン・アメリカとしてナチスと戦っているが、アメリカ本土の人たちに君たちも戦いを支える力があると説いて戦時国債を購入して欲しいと訴えるものでした。

 果たしてこの戦時国債のためのイベントは大人気となり子供たちのヒーロー、キャプテン・アメリカとなり戦時国債も数多く購入されていきショーもどんどん派手になっていきました。戦地で血を流している戦友がいるのにと思うスティーブでしたが、これも大事な任務と打ち込んでいたある日、欧州の戦線に慰問に出かけることに。本土で人気のキャプテン・アメリカが慰問に来れば士気も高揚するだろうという上層部の意向でしたが、イタリアの最前線では厭戦気分が蔓延し、キャップのショーよりショーガールのダンスを見せろと野次られる始末。


 落ち込むスティーブに思いがけない客が来訪します。ヒドラと戦う任務についていたエージェント・カーターがスティーブに会いに来ました。この最前線はヒドラとの戦線で、この8マイル先にはヒドラとの攻防を繰り返しており、200名の部隊が送り込まれたが帰還出来たのは50名ほど。後は戦死か捕虜になったと聞かされます。その部隊がバッキーの所属する107連隊と聞いて状況を知るためにフィリップスに会いに行くスティーブでしたがけんもほろろにあしらわれました。捕虜の救出は遅々として進まないと思ったスティーブはカーターとカーターに頼まれたハワードとともにオーストリアにあるヒドラの収容所兼工場に救出に向かう事に。

 クラウスバーグにある収容所ではワルキューレという秘密兵器のパーツを製造していました。欧州にある各拠点でパーツを製造し完成をいそぐシュミット。完成の暁には世界を一変させることが出来るだろうと豪語しています。ハワードの飛行機で敵地に侵入、飛行機から降下して収容所に侵入したスティーブは見た事も無い武装に身を固めたヒドラ兵士を打ち倒します。彼らの武器のエネルギー源を拾うスティーブは捕虜の救出を急ぎます。牢を開放していきますがバッキーの姿は見えません。バッキーは連れていかれてしまったと聞き、研究室をあたるスティーブは意識朦朧としたバッキーを発見します。収容所に侵入されてしまい、形勢が不利と見るやすぐさま自爆装置を起動させるシュミット。脱出するスティーブと対峙し、我が兄弟よと呼びかけます。同じ人を越えたものとして力を貸せというシュミットに断るというスティーブ。貴様は自分の力を受け入れていない臆病者だといい、私こそがアースキン博士の完成品とうそぶきマスクをはぎとります。シュミットの顔は精巧なマスクでその下には赤い髑髏のような顔が。自分はこの力を受け入れたのだといい燃え盛る工場から脱出したシュミット。

 辛くもスティーブ達も爆発炎上する収容所から脱出し、フィリップス大佐たちはもう戦死してしまったと思っていたのですが最前線の基地へ帰還を果たしました。

ヒドラとの対決

 S.S.Rは帰還したスティーブから得た情報で、ヒドラの拠点を把握。また持ち帰ったエネルギー交換器より彼らのテクノロジーが数段進んでいる事と、未知の強大なエネルギーを使用している事を突き止めます。まずヒドラの拠点を叩き弱体化させるため、スティーブにその強襲部隊の指揮官を任せるフィリップス大佐。彼はスティーブを軍人として認めました。精鋭を集めるというフィリップスに心当たりがとバッキーから紹介してもらった救出した捕虜の中からダムダム・デュガンをはじめとするつわものを誘い、ここに特別攻撃隊ハウリング・コマンドーが誕生しました。バッキーも超人兵士キャプテン・アメリカの部隊には参加しないがもやし野郎のスティーブの力にはなるといい参加することになりました。


 ヒドラとの対決の準備が進むさなか、カーターとの仲はなかなか進展せず、ヒーローになった女性兵士に言い寄られるスティーブを見てやきもちをやいたカーターに対して、ハワードとなにかあったと勘繰るスティーブでしたが当のハワードは何もなかったと一蹴します。そのハワードから武器を見せてもらうスティーブ。今一つピンとこないなか、箱に入っていた丸い楯を見つけます。希少金属ヴィブラニウムで作られた最強の盾を気に入ったスティーブはこれを使う事にします。

 ハウリング・コマンドーは各地のヒドラの拠点を次々と撃破。戦線を維持できない事に怒るシュミットはゾラ博士になんとかするように命じます。そして一計を案じてスティーブたちをヒドラの装甲列車におびき寄せる事にしました。ゾラ博士はヒドラの重要人物。戦況を有利にするためハウリング・コマンドーはゾラ博士の移動の情報をキャッチし、捕縛作戦を開始することに。待ち受けていたゾラ博士はバッキーとスティーブを分断することには成功。しかしヒドラ兵を撃退したスティーブたちはゾラを逮捕しようとしたときにまだ倒れていなかったヒドラ兵が列車の壁を吹き飛ばしバッキーが峡谷に転落してしまいました。


 バッキーという犠牲をだしたもののゾラ博士を捕らえたスティーブたち。フィリップスはゾラを尋問し、ヒドラの構成員はすぐに自殺するが自殺しないゾラはまだ死にたくないと見抜き協力を持ち掛けます。もし協力しなければそのまま放り出し、裏切り者としてヒドラに処理させると脅すフィリップス。シュミットの独善にやや懐疑的であったゾラはシュミットの本拠地の情報と彼の計画を話します。それによるとシュミットの本拠はアルプスの地下に設けられた堅牢な山岳地下基地で、そこから大型空中母艦ワルキューレで発信し全世界の主要都市を蹂躙するというものでした。そしてその第一目標はニューヨーク!それを阻止するため最後の戦いに挑むスティーブ。作戦は単独「正面突破」しかし多勢に無勢で捕らえられますが、伏兵が油断したヒドラに襲い掛かるという2段攻撃。しかしシュミットはワルキューレに乗り移り攻撃を開始しようとします。


 キャップはカーターに「戻ったらダンスを」と言い残しワルキューレに。中の兵士を打ち倒し機外に放り出されますが爆弾を積んだ小型機に飛び移り搭乗員を放り出しワルキューレに。シュミットへの一騎打ちになります。神々のパワーが欲しくないか、私の見る未来には国旗などないというシュミットに「それは僕の未来じゃない」と答えるスティーブ。楯による攻撃でキューブが剥き出しになりそれを掴んだシュミットはキューブのエネルギーで消滅してしまいキューブも落下。コントロールを失ったワルキューレをなんとか氷原に落着させようとするスティーブ。カーターに「ダンスの約束は延期して欲しい」といいますそして途絶える会話。ワルキューレは氷原の下海に没していきました。落下したキューブはハワードが発見し回収しました。


 スティーブは突然病室で目が覚めます。後では野球中継のラジオの声が。やってきた看護式と思しき女性。しかしその試合は出征前にスティーブが球場で観戦していた試合。何かがおかしいと思ったスティーブは部屋を飛び出します。部屋はスタジオのセットのようなもので外はスティーブの見た事のない景色でした。いやタイムズスクエアではあるのですが様相が全く違います。そこに現れた眼帯の男がこう告げます。「私はシールドのフューリー、キャップ、君は70年間眠っていたのだ。」と。スティーブはこう返します。『デートの約束が』と…。

M.C.Uキーアイテム&ワード

 ここからは気になったアイテムとキーワードについて書いてみたいと思います。

超人血清

 スティーブは超人血清で超人となりました。筋力、頭脳、すべてがパワーアップされた状態、治癒力も高まっています(さすがにウルヴァリンみたいな頭ズドンでもOKではないですが)。開発者はエイブラハム・アースキン博士。名前から考えるにユダヤ系です。ナチスから協力を強要されたユダヤ系の知識人は一方で収容所に多くのユダヤ人を送り込んでいるナチスに協力することを良しとせず国外に逃れた人も多いですし、戦前にもナチスに賛同できぬと脱出した人も多いそうです。


 そんなアースキン博士がヒドラの刺客に殺されたため超人血清の秘密も闇に葬られましたが、M.C.Uではこの超人血清が、その後もいろんな形で出てきています。『インクレディブル・ハルク』もそうでした。原作コミックではガンマ線爆弾の実験という事でしたが、映画では超人血清計画を復活させようとしたロス将軍により、血清の素性を隠して実験が行われガンマ線に対する耐性実験の事故によりバナーはハルクへと変貌することになりました。またヴィランのブロンスキーakaアボミネーションは残された血清の注射により変貌しました。より強さを求める彼はバナーの血から精製された血清でさらに変貌しアボミネーションに変貌しましたが、それほどまでに血清は強烈な力を秘めています。


 また血清自身も青い液体としてたびたびM.C.U作品に出てきますが、出どころ不明な青い液体はM.C.U作品でもいくつかあり、中には驚くような出自のものもあります。そういった部分でもこの超人血清というものはM.C.Uでも未だ誰かが何かをしているのかも?というアイテムなのです。

四次元キューブ

 ことここに至って、M.C.Uでもアベンジャーズの次回作「アベンジャーズ3インフィニティウォー」ではタイタン人のサノスがメイン・ヴィランになるとアナウンスされています。ロキとチタウリの地球侵略の影にいた怪人です。また『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』ではロナンにオーブの探索を命じ、オーブと引き換えにザンダーを滅ぼすことを約束していました。


 またこの時点では姿を現していませんでしたが『アベンジャーズ』以降、その影をちらつかせている大物ヴィランです。4次元キューブも強大な力を持つとされアスガルドのオーディンがミッドガルド(地球)に持ち込んだものと言われていましたが、その強大な力はアスガルドの由来ではないという事が徐々に分かってきます。


 既にM.C.U作品を観ているファンにとっては知られている、強力な力を秘めた宇宙が出来る前にあった6つの特異点のこの世に現れた形とされており原作コミックスではインフィニティジェム(宝石)と呼ばれているもので、M.C.Uではインフィニティストーンと呼ばれる宝石です。その実態がちゃんと説明されたのは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』というのも見逃せません。その一つがこの四次元キューブ(テッセラクト)です。今後のM.C.Uの命運を左右するとも言える物体がキャプテン・アメリカのオリジンストーリーで重要なキーとなるのも、制作陣がいかにこの映画を重要視していたかという事の表れじゃないでしょうか。


 しかもこの四次元キューブはソーの世界アスガルドからもたらされたものです。つまりソーの世界とも密接にリンクしているのです。(これはこの後の『アベンジャーズ』に出てくるセプター、ロキの槍や『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』で語られるエーテルとも関係してきます。)つまりキャプテン・アメリカのオリジンストーリーでありながらアスガルドもM.C.Uで大きなファクターがあるということを改めて提示したことになるのです。ちなみに四次元キューブの英名テッセラクトというのは正八胞体のことを指しSF映画などでもガジェットしてあつかわれることがある立方体のことです。Wikipediaのリンクを貼っておきました。ご興味があれば一読ください。

正八胞体 - Wikipedia

ヒドラ(ハイドラ)

 マーベルのヴィランが所属している組織です。M.C.Uでもそれは変わらずキャップの活躍で壊滅したと思われていましたが…この後の作品でまた会う事になる秘密結社です。作中ではヨハン・シュミットをトップとしてナチスの極秘科学研究部門として編成されたとありますが、それはあくまでも氷山の一角であった事がM.C.Uの作品が出来るにつれ後に分かってきます。

ヒドラ シンボルマーク
ヒドラシンボルマーク:出典元: https://www.flickr.com/photos/mecha_aries/14720671388

 ヒドラは古い歴史を持ち、S.S.Rやそれを継いだ組織S.H.I.E.L.Dと長い間闘争を繰り広げてきました。原作のヒドラはナチスと深いつながりのある組織として描かれているそうで、ヨハン・シュミットことレッドスカルが結成したのではなく別の人物が結成したとの事。つまり映画版ではキャップのライバルであるレッドスカルをマーベルの重要なヴィランの組織ヒドラを合わせて来たのです。M.C.U作品ではしばしばそういう事が行われておりファンならニヤリとできるような改変が施されているようです。


 シュミット(レッドスカル)は倒されましたがなかなか強烈な印象のヴィランなのでまた原作コミックみたく蘇ってキャップを苦しめて欲しいところですが、『アベンジャーズ』の時にヒューゴ・ウィービング(シュミット役)はインタビューしたメディアにオファーは来てないよと語ったとの事。でも再登場して欲しいヴィランですね。ヒドラが関わってくるM.C.U作品は『キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー』『シビルウォー/キャプテン・アメリカ』、TVドラマシリーズ『エージェント・オブ・シールド』シーズン1、2、3を観るとM.C.U作品のヒドラがよく分かると思います。特にこの作品の直接の続編たる『キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー』にはヒドラが大きくフィーチャーされており必見です。


 ちなみに原語での発音はヒドラよりハイドラに近い感じです。ギリシャ神話に出てくる架空の怪物の名前で有り9つの頭と胴体を持ち、ヒドラの構成員が言う「一つ落としても2つの首が生えてくる」怪物として恐れられていました。日本でも同じような怪物として八岐大蛇や九頭竜伝説が数多くみられますがもしかすると…って妄想すると楽しいですね。

イースターエッグ

 マーベルに限らずアメコミヒーロー映画にはファンに目配せした隠し要素がかくしてある事があります。またそれが後の作品につながったりすることもあるし単純にお遊びだったり。マーベルの原作者スタン・リー翁のカメオ出演もいわばイースターエッグ的なものと言ってもいいかもしれませんが、私が気になったのは2つ、物語序盤の技術博覧会のシーンの事です。


 会場にマーベル(驚異の)世界にようこそを書かれた円筒形のガラスケースに展示された赤いコスチューム。すごくヒーロー然としていて気になっていたのですがあとで調べると初代ヒューマントーチと書いてあるテキストを見つけました。

映画キャプテンアメリカを観たんですが、小ネ夕や伏線とかってあり... - Yahoo!知恵袋

 ヒューマントーチとはファンタスティック・フォーの一人で過去にFOXで映画化された際にキャプテン・アメリカを演じたクリス・エヴァンスが演じたこともあるヒーローです。ですがあの時のクリス・エヴァンスのヒューマントーチって青い服だったような?

WikipediaのHuman Torchの項目を見ると赤い服の時期があったようです。

ソース|Human Torch (android) - Wikipedia

 お次はトニー・スタークの父ハワードによる車の浮遊です。実験は失敗してしまいましたが、リパルサーリフトのひな型を思えばこの頃からスタークは重力制御を試みていたのだなとなりなかなか胸熱いシーンです。しかも若いハワードはトニーの同じようにプレイボーイかつ尊大な自信家であるというのも、血は争えないなという部分も含めて印象深いです。他にイースターエッグではありませんがクレムソンが逃亡に使おうとした潜水艇のスチームパンク感や、キャップがヒドラの拠点攻略で戦う多砲塔戦車などはそういうガジェット好きにはたまらない画でしたね。もうキャップがもっと多砲塔戦車と戦うシーンを寄越せ!ってなりました(笑)

キャストetc

 キャプテン・アメリカことスティーブン・ロジャースはクリス・エヴァンス。甘いマスクのイケメン俳優です。実際の彼も筋骨隆々なのですが、映画序盤では特殊撮影を駆使して小さくひ弱なスティーブをクリス自身を縮小することで表現したそうです。彼は先にも書きましたがファンタスティック・フォーでヒューマントーチを演じたことも有りアメコミ映画のキャラクターは2作目と思われがちですが実は『ルーザーズ』というアメコミというかグラフィックノベルの映画にも出演しています。キャップのような真面目な青年ではなくちょっとふさげた軍の秘密特殊部隊員役でした。


 『ルーザーズ』にはヘイムダル役のイドリス・エルバ、ガモーラ役ゾーイ・サルダナも出演しており。リーダー役は『ウォッチメン』『ウォーキングデッド』にも出演しているジェフリー・ディーン・モーガンとキャストもアメコミ映画の常連俳優さんがでているのでよろしければチェックしてみてください。アメリカ版、『大激闘』『大追跡』といった趣のちょっとライトなアクションムービーです。

 ヴィランのヨハン・シュミットには『マトリックス』のエージェント・スミスことヒューゴ・ウィービング。あの面構えは忘れられませんが、後半はほぼレッドスカル状態です。また声がいいんですよね。今回もレッドスカルを彼が演じることによって説得力が増したと思います。エージェント・ペギー・カーター役にはヘイリー・アトウェル。彼女はこの映画からのスピンオフであるショートムービー、エージェント・カーターに出演、それはドラマ化もされ2シーズン放送されました。芯が強い情け深いエージェント・カーターを熱演。彼女自身もペギーには並々ならぬ思い入れがあるとの事。ドラマ以外でもM.C.U映画に数本、その後のペギーとして出演しています。

 アースキン博士にスタンリー・トゥイッチ。フィリップス大佐にはトミー・リー・ジョーンズ。アーニム・ゾラ博士にはトビー・ジョーンズなど脇役にも渋い所を配しています。とくにゾラ博士、トビー・ジョーンズはこの作品ではパッとしませんが今作では生き延びていますから、今後の作品にも影響を及ぼしているのです。


 監督は『ロケッティア』『遠い空の向こうに』のジョー・ジョンストン。特撮畑出身者で渋い作品から『ジュラシックパーク3』のようなパニック映画まで撮れる職人肌の人です。また『ロケッティア』のような作品を撮ったアメコミ映画にも理解の深いジョンストンのおかげで『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』は『アイアンマン』のファブローとともにマーベルスタジオの方向性をバラエティに富めるようにしたと思います。

 シリアスな空気も、コメディというか明るい部分もどちらも表現できる作風がここに完成したといってもいいでしょう。

M.C.Uのオリジンとして。

 全ての始まりは『アイアンマン』でしたが真のM.C.Uの始まり、発端はこの映画だと思います。もしM.C.Uどれから観ればいいかと問われると今なら『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』を進めます。その後は時系列通りの『アイアンマン』からでしょうか。ですがこの作品ザ・ファースト・アベンジャーは外せない。そう思いました。『マイティ・ソー』も非常に重要ですが(笑)


 マーベル・シネマティック・ユニバースの作品を観る時基本的には公開順に観るのが一番しっくりくるのですがそれも時系列的に一番最初の物語が『アベンジャーズ』の前に配置されているのも大きいと思います。そのショッキングな内容から『キャプテン・アメリカ』では『ウィンターソルジャー』や『シビルウォー』が大きく取り上げられがちですが『ザ・ファースト・アベンジャー』はキャップを語る上だけじゃなくマーベル・シネマティック・ユニバースを語る上でも非常に重要な作品なので是非ご覧いただきたい作品ということでこのエントリを締めさせていただきます。

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