小気味よいアクション佳作。｜『逃亡者』（1993公開｜米）｜tonbori堂映画語り

　この映画、観る度にいつも思うんだけどハリソンくんのキンブル医師より追跡者であるサム・ジェラード連邦保安官の活躍が印象に残る（笑）

『逃亡者』｜アンドリュー・デイビス監督/ハリソン・フォード｜DVD

『逃亡者』を観て

　ＴＶドラマの『逃亡者』もいいけど、こちらも今見ても面白い。ってワーナーの回し者みたいなエントリだな。と、まあそれはおいといてこの映画の監督アンドリュー・デイビスはあの！スティーヴン・セガールの「沈黙の戦艦」の監督である。そのときジェラード役のトミー・リー・ジョーンズはキれた元CIAの工作員の悪役スタニラウスを大熱演。で、よく見ると後半助け出されたミズーリの乗員の何名かがシカゴ警察の刑事役出ている事に気が付く。『沈黙の戦艦』はセガールのワンマン映画であるが敵役にジョーンズや青春スターでならしこれまた敵役で輝いているゲイリー・ビシーを持ってきた事によりただのワンマン映画ではなく筋が躍動し深みがでている。それまでアクション映画の職人監督だったデイビスはこの作品で名を売ってハリソン主演の『逃亡者』リメイクの監督に抜擢された。

逃亡者vs追跡者

　面白いのはやっぱり同じ事を考えた人がいたのかトミー・リー・ジョーンズ演じるジェラードはこの1作で終わらすのは惜しいと思った人がいたようで（ちなみにトミー・リー・ジョーンズはこの作品でアカデミー助演男優賞を獲っている）このあと「追跡者」っていうスピンオフまで作られているくらいジェラード連邦保安官補は人気が出たけどＴＶの「逃亡者」の峰島刑事の人気が出ればスピンオフが月曜ミステリー劇場に登場ってことになるのか？それはそれで面白いけど。（注：エントリー当時放送されていたTBSのドラマ、江口洋介主演。彼を追う刑事を阿部寛が好演）

『追跡者』｜トミー・リー・ジョーンズ/スチュアート・ベアード監督/DVD

　前半に出てきて部下に手際よく指示を出すシークエンスと、キンブルの追跡をしている時の鋭さはこういう作品でのプロ描写のマストシーンになっている。実際これの後に出てきた同種の警察官ってそれほど印象に残っていない。（注：当時）『追跡者』でもそれが使われており、ジェラードの定番、バックアップの2丁持ちやグロックを使えとかは堪能できる。ちなみにアイアンマンになる前のトニー・スタークことロバート・ダウニーjrが出演している。監督はデイビスではなくスチュアート・ベアード。この人編集が本業のようだ。

　ジェラードはいろいろ影響を与えたキャラクターだと思うけれどＣＳＩシリーズ、ホレイショ、マック、グリッソムあたりはそれぞれ印象に残っているけれどホレイショはジェラードの系譜っぽい気がする。それと日本では『踊る』スピンオフの寺島アニキの木島警視もジェラードと江戸っ子の融合ともとれる。そんな『逃亡者』はヒマなときに観返すにはいい作品だ。

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踊る大捜査線スピンオフ作品にも『逃亡者』というのが。｜Amazon | 踊る大捜査線 スピンオフドラマ Blu-ray BOX (数量限定) -TVドラマ 

余談

　でも結局ＴＶの『逃亡者』からはスピンオフでなかった。というかＴＢＳは一時のドラマのＴＢＳの面影は無い。もっとも日本のＴＶ局でそういうのが上手いのはフジと思われがちだけど、実はフジは映画にするだけで『踊る』のスピンオフは例外的。テレ朝もはコラボレーションをやることがあるけれどあまり拡がっていないし総じて日本のテレビ局はそういう事にはあまり積極的でない。役者同士の事か、製作上の問題か。ただそういったコラボレーションがはまれば世界観は拡がるのではないかと思うのだが。

このエントリは本家ブログ（web-tonbori堂ブログ）よりの転載加筆分です。（2004.8.9-00:58:00）