『この国の命運は一人のスナイパーに託された』本作品のキャッチコピー
上に書いたキャッチコピーだけを観るとどんな凄い映画だろうと思われるかもしれない。
だが実際にはそれほどの狙撃は行われない。確かにビルの屋上から互いをスナイプするシーン(狙撃)はあるし、それなりの狙撃のウンチクも語られているが、ドルフ・ラングレンの『スナイパー』やトム・べレンジャーの『山猫は眠らない』のようなぎりぎりの狙撃のみを描いているとは言えないのだ。つまり狙撃をするスナイパーのストイックさというのは一切無いので念のためご注意いただきたい。
『恋人はスナイパー劇場版』/(2004公開|恋人はスナイパー製作委員会)/ロゴはイメージです |
ただしTVの2時間アクションファンタジーとしては楽しめるし私はTV版2本の延長線上としては面白かったと評価は出来る。ただ果たして映画にする意味があったのかとも(苦笑)
スケールは大きいのに…
物語は謎の犯罪組織「1211」が政府を相手取り日本国民を誘拐したというところから始まる。彼らは要求が受け入れられない場合人質を殺すと言い何人かを無差別狙撃という手段で示威行動をした。その後マスコミを通じ免罪符としてバッジを買ったものには狙撃はしないという。
とここまではサスペンスも盛り上がり緊張感もあるのだが、彼らに対抗するために呼ばれた男は中国の刑務所にいるウォン・カイコー、元「1211」のスナイパーだった男。彼は以前日本で「1211」のスナイパーだった。だが彼らに逆らい陰謀を潰し、当局に自首した。そんなカイコーをつかい彼らに対抗しようとするが・・・・。
といった筋立てなのだが主人公を演じる内村光良がコメディアンということでお笑い要素をちょこっと入れたりするのでそれがTV版ではエッセンスとなり面白くもあったが今回は殆ど機能していない。ようするにすべっている😅物語のリズムに乗っていないところがそこかしこで散見された。それとスナイパーは「一撃必殺」。狙撃合戦では一撃で勝負が決まるっていう風に書いて欲しかった。
それでも水野美紀はよく動く。彼女のアクションアクトレスぶりがよく出ておりもっと活かせる映画にださせて上げたい。実をいうと前作のTV版ではクンフーバトルとワイヤアクションが売りでウッチャンもそれに関してはうまいのだが今回タイトルロールの「スナイパー」にこだわり、かような結果になったと思われる。ここらへんはもう少し前述の「山猫」や「スターリングラード」を参考にしたりコーディネーターなりをつけて意見を聞けば良かったんではないだろうか?それと獅童くんの怪演は評価できるがラストの見せ方には疑問。中途半端な感じが残ってしまうのも残念。
シリーズものの悪影響だが次に繋げるよりこういった話はきっちり終わらせたほうがいい。それは竹中直人扮する「1211」ボス、コー・村木の扱いにも言える。だから最後のシーンが全く意味不明。
組み合わせは良かった
ずいぶん辛口に書いたけどこのシリーズ前作も好きだしウッチャン、水野美紀という2人のコラボはいい組み合わせだと思っているので出来ることなら別の設定でシリアスでもコメディでもいいから2人の活躍を観たいものだ。ネタは大層だったがコレも小説からネタを拝借(パクリではなくちゃんとスジを通しているが)しているにも関わらずもうちょっとなんとかならなかったのかなあという感じの1本。ちなみにこの事件の元ネタは小説で西村京太郎さんの『華麗なる誘拐』という小説だそうだ。手口が青酸カリによる無差別な毒殺か狙撃かの違い。今でいう劇場型犯罪に近い。
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ただ繰り返しになるが内村光良と水野美紀は動ける人というのは間違いない。ちなみにこの作品がいかりや長介さんの遺作でもある。
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元記事を改稿掲載
2004.5.9別館ブログにアップ
2017.08.26 タイトルを改題。元タイトルは文章見出しに変更。
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