始まりのあるものには、終わりがある。|『マトリックス レボリューションズ』(2003公開|米)|tonbori堂映画語り-Web-tonbori堂アネックス

始まりのあるものには、終わりがある。|『マトリックス レボリューションズ』(2003公開|米)|tonbori堂映画語り

2011年8月21日日曜日

movie SF

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 『マトリックス』3部作もこれにて完結。『宇宙戦艦ヤマト』完結編か『マトリックス』かということは無いけれど、この後は無いと言い切ったジョエル・シルバー氏だがほんまかいなと思ってる人も多いんじゃ?

The Matrix Revolutions (2003) Official Trailer #1/YouTube

ネオの物語は終わった。

 しかし、主人公ネオの物語は完結したと言っていいだろう。『マトリックス』は最初からネオの物語で、彼の選択から始まった。それとともに彼を執拗に追跡したエージェント・スミスの話でもあったわけだ。ならば今更ながらにオラクルやアーキテクチャーが出てくることによって話が解らんって言っている人にはこの物語の単純な骨格を見逃しているとも言える。彼らはあくまでも助言や示唆、または壁として立ちはだかる存在だけであり、物語を引っ張ったのはネオであり、ライバルとしてスミスがいた。そして『旅の仲間』であるモーフィアスやトリニティたちもそれぞれの結末を迎えたわけだし、とりわけトリニティはヒロインとしてネオを送り出すという意味合いでの結末を迎えたのだと納得はしている。


 世の映画評論家の方々はかなりこの最終作には辛らつかつ強烈な批判を送っている人も居るが、それはストリップ劇場で最後の真打が看板と違う、なんだかおっさんだったぞ!というようなもの(爆)確かにそれはそれで怒り出すに足る理由ではあるが本当にその真打が看板にのってたかと言われると実は載っていなかったという事実はスルーされているという感じ。


 それとともに批判の多くは、提示された『謎』に決着がついていないというもの。大体お話の終わり方には幾つもパターンがあるが、例えば一つは悪の親玉を倒してめでたしめでたしという終わり方。いわゆるハッピーエンド。その他には、最後にとっちらかってわけわからんようにして、ドカーンとリセットエンドという方法などもある。また急に伏線もなしに現れたキャラが回収とか。最後に全てをリセットなデウスエクスマキナ的やり方は最近では「エヴァンゲリオン」のTV版がそうでかなり賛否含めて議論が巻き起こったが、このマトレボ(略してます)はこの二つで揺れにゆれてなんとか軟着陸したと言う気がしないでもない。明確に判定をつけることを避けしかもマトリックスワールドを壊さず決着をつけるという事を無難にしたことによりそーゆう批判を受けることになってしまったのだろうと推察する。っていうかぶっちゃけあの謎ってエヴァのセフィロトの樹とかリリンと同じくマクガフィンでしかないんじゃんとか思うんだけど…違うのかな?

マトリックスとは何だったのか?

 元々、圧倒的に力を持ち仮想空間のみならず、現実世界(映画上)でもセンティネルズ(マシーンAIの兵隊)という実効戦力を持っているマシンワールド側に対し完全な支配(システム)はいつか破綻する。そのための揺らぎを残し最終的にその人間にリセットさせて再度支配(システム)を構築するためのものを遺すプログラムがオラクルである。というラインを前回に示したためザイオンが勝利するエンドというのは、よほどのチート(システム改竄)かそれこそデウス・エクス・マキナ(機械仕掛けの神、舞台で最後に強引な辻褄合わせをしてしまう事やそのためだけに出てくる張りぼて神、アニメ「ラーゼフォン」でもその単語を使った設定が出た)がなければ不可能だろう。


 もっともオラクル自体がそのデウス・エクス・マキナだったわけだけど。実社会でもある程度のガス抜きは容認されるがそれ以上になると締め付け(取締対象)となる。そういう現実を匂わせる路線にオチを求めてしまったところも若干不評の種になっているように思うが、さりとてじゃあ全滅エンドを迎えたとしても果たしてそれをやってしまったとしても結局は同じ評価であったとは思う。それぞれの伏線には一応の決着がつけれておりこの手の作品では常套手段だがきちんとした回答は用意されていない。というよりされたほうがいやじゃないだろうか?すくなくとも私は想像する部分が無いほどの回答が用意されると返って冷める。ただ謎の方ばかりに目が行く人や惑わされ大事な部分を見落とす人たちにとっては不親切に移ることだろう。あとまんまのデウス・エクス・マキナが予想通りに出てきたのには笑ってしまったが、ラストにはオタク魂も垣間見た。もっともつながりがあるかどうかは解らないけれど。


 『ロード・オブ・ザ・リング(LOTR)』のように素晴らしい原作がないことと全てをコントロールしている兄弟のオタクマインドが暴走し収拾がつかなくなったところをいきなり無難にまとめたが故のこの世間の評価だとは思うけれど元々が主人公の覚醒と選択、決断という簡単なお話でそれは『LOTR』もそうだし『ラスト・サムライ』その他あまたの映画や小説に書かれている冒険と同じものではないだろうか。

1作目で終わっていれば…

 第1作が異様に評価が高すぎるんじゃないのかとも思う。いや評価されるべき点がそこしかなかった(ブレッドタイム)前作からくらべればさらにオタクマインドが全開だったと感じる。そこはクェンティンと同じで落ち着くところに落ち着いたという事だ。とりあえず3作まとめて観るとしんどいけれどVFXは極致まで来たことを感じさせられる作品となった。


 VFXは圧巻でザイオンがセンティネルズに襲撃を受けるシーンでの倍力スーツの描写や、ネオとスミスの対決はこれでもかという風に畳み掛ける。しかしリローデッドと同時期に撮られた為にそれほどの衝撃が少なかったのも事実。ただ迫力とVFXの水準を引き揚げたのは確かだしこれが今後の基準になると思われ。それとともに俳優陣としてはモーフィアス役ローレンス・フィッシュバーンは儲け役だった前回から今回は見せ場をナイオビに取られまくりだが最後の一言でケリをつけた点では良かったかなということとスミス役ヒューゴ・ウィービングは同時期公開のロード・オブ・ザ・リング出演で演技の幅を見せておいて良かったねと思った。でもうまい人だわ(笑)


 そしてキャリー・アン・モス・・・・・・おばちゃんですよね(コラッ!)でもレザースーツ身をまとい華麗に宙に舞う姿はあいかわらずカッコいい。ネオ・・・・仕事はしてるようです(爆笑)ただこの役にめぐり合ったことは彼にとっては幸運だったのでは?でないとブラピほどあくがないし演技派と呼ばれるにはライバルが多すぎる。こういった作品に出れば記憶に残る俳優と言われるし彼こそほんと儲け役だったよね。この作品だけを観ると何がなんだかなのでせめて『リローデッド』から観る事をススメる。そして出来れば3本まとめて鑑賞するのが吉。

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MOVIEtonbori堂「マトリックス・レボリューションズ」元記事より改稿加筆して掲載

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