北村龍平の名前をしっている人はかなり通か好き者だろう。「マッドマックス2」、「死霊のはらわた2」に強い影響を受けた映画少年がオーストラリアに渡り武者修行。日本に戻りインディーズ(自主制作)でとった「ダウントゥヘル」で注目を集め今売り出し中の渡部篤郎と組んで「ヒートアフターダーク」を送り出し、膠着した日本映画界に己のスピリットを叩きつけたこれは挑戦状でもある一本。(ちょっと褒めすぎ?)
『VERSUS』/監督|北村龍平/DVDジャケット |
厨二力が高い映画
監督の映画の好みはすごく偏っているけど、かなり厨二力が高いと見た(笑)(褒めてます)「スコア」「裏切りの荒野」の室賀厚監督も日本のクェンティンと言われていたこともあったけど、北村監督はそういうところではなくなんだろ?サム・ライミとペキンパーとロジャー・コーマンスピリッツに溢れた、迫力で見るものをひき付ける映像を撮るなと感じた。ある意味80年代スピリッツに溢れた監督。これはちょっと前にその室賀監督が撮ったゾンビネタの映画を見たからよけいそう思ってしまうのかもしれない。もっともこの映画はゾンビ映画ではない。本筋は「絶対に負けないダークヒーロー」と「全てを握ろうとする絶対的な敵としてのライバル」との壮絶なバトルなのだから。
全員が戦う。終わりなき戦い。
この世とあの世をつなぐ結界が世界には666ヶ所あるという。それを知ることは普通の人には不可能。しかしそれを知った邪悪な者達がいた。そして日本のどこかにある444番目の結界「黄泉返りの森」。時は戦国一瞬で死人達を切り伏せるサムライ。しかしそれを操る男に一瞬にして胴体を切り裂かれる。
そこから話は現代に。護送中に脱獄した囚人2人。彼らの一人が仲間との合流地点にもう一人とともに到着。やってきたのは5人の男達。誰も彼もひとくせもふたくせもあるような危険な連中だ。彼らは囚人達にボスらしき男が来るまで待てと言う。そして拉致されて来た女。女を見た囚人の一人。彼は一瞬の隙をつきレザボア達の一人を打ち倒し女と共に逃げようとする。すると拳銃で射殺したレザボアの一人が甦った!レザボア達はもう一人の囚人を射殺したが彼もまた不気味に立ち上がる。その隙に逃亡する男と女。彼らを追って森へ分け入るレザボア達。護送していた刑事達も囚人に復讐しようと追跡を開始。新たに現れる暗殺者たち。そしてついに姿を現すボス。死者が甦る「黄泉返りの森」で繰り広げられるスーパーバトル!
若さの故の疾風怒濤。
はっきりいって編集の仕方を見てただものではないなと思った。と思ったら編集の人のところに出世払いで持ち込んでというではないか!そこからしてなんとまあ大物なんだよと思わず突っ込む(笑)実はこの映画コメンタリーも面白いので一粒で二度美味しいアーモンド・グリコのような映画なのである。というか編集しても時間は2時間びっしりの映画になってるところがビックリ。普通なら絶対だれるのにとにかくアクションの合間にシーンがあるという力技。若さと勢いと言ってしまうとそれまでだけど、それが無い映画ではやはり観ている人間の心は震えない。
役者陣のうなされたかのような熱演。
主人公の坂口拓はまだ新人に近い俳優さんだがその風貌といいアクションの身のこなし(格闘家だったそうだ)も決まっている。そして敵のボス役、榊英雄も不思議な力を発散させているこの難しい役をふてぶてしくも魅力的に演じてる。それ以外にもレザボア役の松田賢二、彼はエキセントリックなレザボア役を熱演していてまさにハマリ役。坂口とのバトルシーンではアクション未経験ながらナイフを使った戦闘をこなしている。またこれがスゴイのなんのって、アクション監督の下村勇二(あのドニー・イェンの朋友!)の殺陣もあるのだろうが素晴らしい出来だ。B班監督に山口雄大という自主映画祭で知り合った仲間たちがともかくどでかい花火をうちあげてやるという想いがぎゅうぎゅうに詰まっているから、それに惹かれる人も多いと思う作品。
全編アクションの嵐状態でアレドナリンがどんどんあふれ出すような作品。だいたいデビュー作にその監督の全てが詰まっているとはよくいったものだけども、まさにそういう作品。ただ残念なのは近年、こういうパワフルな作品は撮れていないし(いろいろ苦労しているようで)念願のハリウッド進出もしたもののその道は平坦では無い様だが、その無茶な力はまだ秘めていると思うのでまたぱーっと咲かしてくれると思っている。
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※追加撮影されたウルティメイトバージョンもあります。
※2024.02.03:Amazonアソシエイトリンク貼り替え作業で検索したら2021年にリマスターされたBlu-rayが出てるんですね。
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ジャケ写真に赤が入ってリターナーっぽくなってます(;^ω^)
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