「これは俺にしか出来ない任務だ」『LUPIN THE IIRD銭形と2人のルパン』感想【ネタバレ】-Web-tonbori堂アネックス

「これは俺にしか出来ない任務だ」『LUPIN THE IIRD銭形と2人のルパン』感想【ネタバレ】

2025年7月27日日曜日

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  LUPIN THE IIIRDシリーズ、劇場映画『不死身の血族』につながる前日譚であり銭形警部にスポットを当てたお話です。このシリーズでは銭形警部は公安に属しており、ルパンとは以前から面識がある事が示唆されていますが、『血煙の石川五ェ門』でのホークに事案で裏に蠢く何かを感じ取りそれを含めて陰謀を明らかにするためルパンを追っています。今回は北の大国ロビエトにルパンが入国したことを掴み後追って入国した空港で爆破テロに巻き込まれます。そこで目撃した爆破テロの犯人がルパンだったことから話が始まります。ではいつも通りに簡単にあらすじを紹介した後に感想を書いてみたいと思います。

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I’m an arch villain Lupin The Third/STORY

 ルパン三世がロビエト連邦に入国したとの情報をつかみ彼を追うため飛行機で入国するが空港で爆破テロに巻き込まれる、その時目撃した犯人の顔は変装用マスクがめくれた下に紛れもないルパン三世の顔があった。ロビエト連邦国家保安委員会は直ちに国家の敵としてルパンの抹殺を決定し要員のカラニシコフにルパン殺害命令を下す。

 一方ルパンはロビエトの首都ヴォロクワ郊外にブローカーとの取引のために入国していたが駅で銭形と鉢合わせ、そこに国家保安委員会のカラニシコフに指揮された要員がルパンの命を狙って押し寄せる。

 世界一長い距離を走るスエーヴェイル鉄道に乗り込んでやり過ごしたはずのルパンだったが列車に乗り込んだ銭形に変装していても見破られ捕らわれるが、それは状況を知るためだった。やがて鉄道警察隊も乗り込んできてヴォロクワに護送される事になったルパンだが途中で乗り込んだ次元とともに列車から飛び降り車でヴォロクワを目指すことに。

 峰不二子はイリーナ・スコツカフとしてロビエトのサーカス団に潜入し最高指導者のブレーリンの寵愛を受けていた。しかし帰宅途中に何者かによって車を爆弾で吹き飛ばされる。意識朦朧の中で見た顔はルパンの顔だったが、不二子は私の知ってるルパンじゃないと言って気を失った。

 やっとの体でヴォロクワに入ったルパンと次元を待っていたのは国家保安委員会の包囲網だった。地下鉄駅に追い込まれ出入口で包囲されたルパンたち、そこに銭形も現れこのルパンは爆弾犯ではなくルパンを語るテロ犯がいるとカラニシコフを説き伏せようとするが聞き入れられずルパンは絶体絶命のピンチに。そこに国家保安委員会の一人が爆弾を纏って現れる。

 保安委員会の男はルパンに脅されてというが覚えのないルパンに要員の一人が爆弾スイッチを押す。大爆発でカラニシコフをかばった銭形は負傷するがルパンたちは目の前の車に飛び込んで爆風を避けた。そしてテロ犯も他の要員を盾にして爆風を避けルパンたちに対峙する。そしてそのマスクの下はやはりルパンと同じ顔をしていた。そして偽物と呼ばれるとこちらこそが本物だと語りI’m an arch villain Lupin The Thirdというのであった。爆弾テロは自分の美学ではないというルパンにくだらない美学より全て面白ければそれで良いというもう一人のルパンは明日のロビエトとアルカ合衆国との軍縮条約調印式を楽しみにしてろよと煙の向こうに消えていった。果たしてもう1人のルパンとは何者なのか?捕まった不二子は?重傷を負った銭形は?北の大地で陰謀蠢くなか銭形の正義の行方は?

正義とは?

 スエーヴェイル鉄道でルパンを捕まえたとき、そして偽ルパンに傷を負わされた後にもルパンに問われる言葉。ルパンにとっての正義というのは「都合のいい大義名分をでっち上げたたちの悪い物語」と言います。一方の銭形は何の罪もない人たちがテロに巻き込まれたことに憤り、法を犯すものや、社会正義といういわゆる分かりやすい正義を頑固に守ろうとする古いタイプの男です。とはいえこのシリーズの銭形は警察官として有能で胆力もあり、時には強引な手にも出ることがある男。ルパンはそこに自分と似たものを感じています。はぐれ者であり、誰とも群れず自由、違うのはワルか正義か、紙一重だと言います。それに対して銭形は雲泥の差といいますが、内心では何故ルパン三世を追うのか?もちろん背後に蠢く何かに対してもでしょうけど目がすべてを物語ると老婆に変装したルパン三世を見破る眼力の持ち主がただの泥棒であるルパンを何故追うのか?という部分に迫っていると思います。

もう1人のルパン

 もう1人のルパンが何者なのか?この後にあの男が出てくるので多分そうではないかという予想は立ちます。そうだとしてもルパンと同一の人間がその中身は同じ人間にはならないというのもまた真実ではないかなと思うのです。何故かというと性格、思想というのは積み重ねていくものだからです。その意味ではこの偽ルパン(便宜上)はブレーリンとの陰謀が暴露された後、全てをチャラにすると嘯き爆弾チョッキを露にします。そして何でそこまでするのかというルパンに偽ルパンは問い直します「お前こそ何故盗む?」と。偽ルパンは自分は「退屈なこの世を面白くしてやっている」と言い放ちます。ただ今わの際に「これも大いなる意思」「ならば是非もない」といいます。そしてあの男の影。操り人形ではなかったか?とも思えるわけです。しかし強烈なキャラクターでありまさにアークヴィラン(大悪党)でありました。潔く散った訳ですけど声優の堀内賢雄の演技もあいまって、もう1人のルパン、銭形もコインの裏表とすれば彼もまさしくそうだったように思います。

そして「不死身の血族」へ

 最後は銭形がルパンがロビエト連邦に来た目的を一瞥しただけの地図から推理し、ブローカーの元を尋ね彼らの行き先がフロリダ沖というのを知ります。ロビエト連邦というのがどの辺りなのかは分かりませんが極寒の北国、モデルはソビエト連邦としても黒海から地中海を抜けて大西洋側に向かったのでは?と推理しています。場所的にもそんな感じですし。


 『不死身の血族』を観ると分かるんですが、アバンタイトルでこれまでのLUPIN THE IIIRDシリーズをルパンのナレーションで語り、ルパン・ファミリーが勢ぞろいしてセスナで地図に無い島へむかうところが描写されています。つまりこのお話は『不死身の血族』の本当に直前なので出来ればこの作品を観て臨むのが良いかもしれません。(もちろんこれを後で観てもOKなんですが)ルパンの追う敵の巨大さやあの男の影を感じることがさらに出来るかと思います。また銭形の矜持が心に刺さるいい作品でもあるので是非観てほしいですね。


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