LUPIN THE IIIRDシリーズも3作目、今回は魅惑のヴァンプ、女盗賊、スパイなど謎の女、峰不二子がメインの回です。不二子の狙いは南米で金の採掘を仕切り、邪魔な企業は殺し屋を雇って排除するゴドフリー・マイニングの会計士ランディが持ち逃げした5億ドルです。しかし異能の暗殺者ビンカムを使って金を取り戻そうとするゴドフリーたち。不二子はランディの息子ジーンとともにビンカムの魔手から逃れつつジーンの知る貸金庫の暗証番号を聞き出そうとしますが子どもの扱いは苦手な不二子は苦戦。しかしビンカムの襲撃や買収された警察により捕らえられた危機を脱する事でジーンの親の無い寂しさを利用してとうとう番号を聞き出し5億ドルをせしめますが、わざと追手を自分の目に向けさせる手に出ます。
今回は勝手の違う子供相手に苦闘しながらも相変わらずの人たらしで使えるものは何でも使う強かでタフな不二子の全てが詰まった1本になっています。ということで簡単なあらすじの後はいつも通りの感想を綴ってみたいと思います。
前作『血煙の石川五ェ門』の感想はこちら
「いい用心棒を持ったな」/『LUPIN THE IIIRD血煙の石川五ェ門』感想【ネタバレ】-Web-tonbori堂アネックス
「出来もしない嘘だけはつきたくない。それだけよ」/STORY
不二子は砂漠に咲く花を子どもと眺めている。子どもに花の名を聞かれて答える不二子はダチュラメテルと答えその正体を知ってるのと言うと、子どもは別名デビルズトランペット、奇麗だけど毒があるのも知ってるよと言う。
砂漠にある一軒家に住んでいるのはその子どもジーンと父であるランディ、そしてメイドとして雇われた不二子。そこに招かれざる客がやってきた。ジーンを連れて逃げるように不二子に指示するランディは自分も後から合流するといい、不二子はジーンを連れて車で逃走する。 ランディの隠れ家にやってきたのは男2人と女一人、一人は拘束具につながれ、女が指を鳴らすと目覚め拘束を解かれた。ビンカムと呼ばれたその男は腰にぶら下げた木の実をかじり砂嵐を呼んで「わが呪いにかかれ」というと家に入り込みランディに金の在処を聞くがランディは家に仕掛けた爆弾を炸裂させる。
ルパン三世の次のターゲットはコドフリーマイニング、南米を中心に金を売買する会社だが商売敵を殺し屋を雇って消し、賄賂で警察を黙らせるという悪徳企業。早速社長が朝食に来るレストランに盗聴器を仕掛けてゴドフリーから会計士ランディが5億ドルを横領したという情報を得る。しかもそこに不二子も行動を共にしていると知ったルパンと次元は先を越されたとまずは逃げた2人の行方を追うことに。
ランディとの待ち合わせの場所に不二子とジーンの前に不気味な殺し屋ビンカムが現れた。ランディの時と同じく木の実をかじり息を吹きかけ「わが呪いにかかれ」と迫るビンカム。「金の在処は」と聞かれるとジーンは銀行の貸金庫にと言い危うく暗証番号をもらしかけた。そこに現れたルパンと次元に危うく助けられた不二子とジーン、危うく楠を逃れた2人。そしてジーンはルパンたちに仇を取ってくれれば5億ドルの在処を教えるという。相手が子どもだといつものようには行かないことにいらだつ不二子だが、ジーンを囮にしてビンカムをおびき出すことに。そこで不二子はジーンに復讐を止めて一緒に逃げようと誘うがその時ビンカムが襲い掛かる。外で待機していたルパンはビンカムの監視役であるカーラとラルクによって足止めされる。果たしてこの危機を脱して不二子は5億ドルを手に入れることが出来るのか?そしてジーンの運命は?コドフリーの背後にいるものは?ルパンたちも巻き込む争奪戦が始まった!
峰不二子の嘘
不二子は息をするように嘘をつく魔性の女ですが今回は子ども相手に苦戦です。途中ジーンに対していらついたりもしていました。映画『グロリア』が今回の作品のベースにあるとは思いますが不二子はグロリアとは違いやはり自らの欲望に忠実な女。そこはきっちりと。それでも端々に母性や親として親離れ子離れを促すような言動など、らしくない行動も。そういう気まぐれな一面性もやはり不二子の魅力の一つといってもいいでしょう。かつてルパンは裏切った不二子に対して「裏切りは女のアクセサリーの一つさ」とうそぶきましたけど、どちらかといえば今回の不二子の嘘は多重的であり、まさにルパン1stシリーズ「十三代五ェ門登場」の回で五ェ門の殺しの師匠である百地三太夫が言った「生き方」なのだなと。「殺し方ではなく舌先三寸で死地を逃れる、つまり生き方というやつよ」と百地は言いましたが不二子は全てを使ってるところがルパンをしてもさすがに舌を巻くところなのでしょう。
二人の子ども
ジーンにも手を焼かされる不二子ですが、実は強敵の殺し屋ビンカムも大きな子どもでした。殺しのためだけに産み出された改造人間、自らの汗腺からデビルズトランペットの成分を噴き出して相手を操り、常人ではない膂力をもち、多少の傷では死なないというまさにモンスターなのですが心は幼く、命じられたことだけに反応するだけの操り人形。それが不二子の咄嗟の色仕掛けに心の奥が疼きやがてはそれが命取りに。
ジーンは不二子に反発しながらも母のいない寂しさをずっと抱えており、ビンカムから救ってくれた不二子に母を感じ最後には暗証番号を教えてしまいます。口ではその2人を切り捨ててはいますがどこか哀れみと慕情を感じさせる、やはり峰不二子複雑な人です。この二人の子どもで不二子のミステリアスな部分がまた一つ浮き上がった気がします。
峰不二子という舞台
何故危険を冒してビンカムを倒したのか、金だけもって逃げればというルパンに、私の事を忘れられない男が一人でも多ければまた利用できるじゃないと嘯く不二子に、確かにそうだなと同意する不二子。ある意味、多くの男たちの心に残り、裏切りを働いても忘れ得ぬ女が峰不二子であり、それを最も深くで理解しているのがルパンじゃないかと思う今回の一篇でした。
そして「不死身の血族」へ
今回は不二子主役の話でしたが、コドフリーが実はルパンを狙ったホーク、そして次元と対決した殺し屋ヤエル奥崎ともつながっているという事が露になり、ビンカムもそのつながりから産み出された殺し屋というのが分かりました。見えない線がつながりだしてきたということで次回作もいつかはと思いましたが、それが全てつながったのが「不死身の血族」でした。なので「不死身の血族」の前の予習、観た後の復習でも楽しめるかと思います。
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