「美味い煙草が吸いてぇだけだ ...」/『LUPIN THE IIIRD次元大介の墓標』感想【ネタバレ】-Web-tonbori堂アネックス

「美味い煙草が吸いてぇだけだ ...」/『LUPIN THE IIIRD次元大介の墓標』感想【ネタバレ】

2025年7月26日土曜日

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     『LUPIN THE IIIRD  THE MOVIE不死身の血族』観てきました。で感想を書こうかと思ったらまずシリーズの第1作『次元大介の墓標』から書かないとこれ収まらないなと思ってまずは『次元大介の墓標』から書くことにします。配信他でも観れるのでこういうルパンもあるんだと是非ご覧いただければ幸いです。このシリーズ『銭形と2人のルパン』と『THE MOVIE不死身の血族』では次元は大塚明夫に声優が代わりましたが『峰不二子の嘘』までは初代次元大介の声を一貫として担当してきた小林清志が担当しており、当時も高齢ながらしっかりとした、渋い次元を演じていました。1stの香りも少し漂うルパン三世となっています。ということであらすじの後に感想を綴っていきたいと思います。

『LUPIN THE ⅢRD 次元大介の墓標』特報 第2弾/TMSアニメ公式ch/YouTube


次元大介の墓標/STORY

 ルパン三世、世界をまたにかける泥棒、怪盗アルセーヌ・ルパンの孫である。ガンマンの次元大介と組んで今回は東ドロアからマランダ共和国が手に入れた彗星のかけらと言われるリトルコメットという宝石を狙っている。東ドロアにある大使館に潜入するため大使に変装して首尾よく潜り込むが何故か正体が露見し、リトルコメットを強奪したものの追われる事に。

 街中を逃走中、ルパンたちは謎の狙撃手に銃撃され負傷する。隠れ家でその弾丸に見覚えがある次元はルパンとともに墓地へ。この仕事の前にボディガードを引き受けた次元の目の前で東ドロアの歌手クイーン・マルタが分裂した隣国西ドロアのコンサート中狙撃され死亡した事件で使われた銃弾と同じだった。その狙撃手はヤエル奥崎という凄腕スナイパーで殺す相手を仕留めるのにサイコロを振った出目でその銃弾の数を決めるといい、また殺す相手の墓標を墓地に用意すると言う。他に詳しい事は全く分からない謎の殺し屋だった。

 墓地には次元の墓標が用意されており墓前にはパセリの花があったことからヤエルの隠れ家をつきとめた次元とルパン。その時別室から突然、峰不二子の声が聞こえてくる。不二子はあるものを狙って東ドロアの秘密クラブに潜入していたが捕えられたのだった。そこに現れるヤエル。スナイパーが標的に近づいては自慢の狙撃の腕も使えないだろうと次元との早撃ち対決に持ち込むが早撃ちでもヤエルは次元を圧倒する。徹底的に軽量化されたヤエルの.22口径の単発ピストルと次元のS&WM27.357マグナムでは圧倒的に次元が不利だった。

 仕切り直すためにその場から逃げるルパンたちを追うヤエル。そして囚われた不二子は秘密クラブでの殺人ショーへの生贄に引き出される。この危機をどうやって切り抜けるのか?次元に最大のピンチが迫る。

俺に言わせれば、ロマンに欠けるな

 この「俺に言わせれば、ロマンに欠けるな」これがこの作品のど真ん中にある台詞(と、tonbori堂が思っている)です。ヤエルは凄腕のスナイパーであり、技術者で犠牲者を切り刻む悪趣味なリモートロボットから、分解式のライフル銃、そして超軽量の単発ピストルまでを自ら作れる男。そして東ドロアが誇る防犯システム、街中に配置された無数の監視カメラを自らの網膜神経に投影するシステムを作り出し、それで狙撃する相手の先を読んで狙撃するというどこに逃げてもヤエルの目は届くため絶対に逃げきれないというアドバンテージを持っている男です。そんな相手に打ち勝つには相手の隙をつかなくてはなりません。それに対してはルパンは相手の自信に付け込んだ罠を仕掛けるのですがやはり、最後の対決は次元が決着をつけなければなりません。

 Nフレームという大きなフレームを持つ回転式拳銃、しかも.357マグナムを使用する大きな拳銃では超軽量で抜き撃ちに適したヤエルのカスタム拳銃には不利ですがそれを跳ね除けるのはやはり次元の主義というか矜持で、当然、いやそれは無理だろ!という理屈でもそれをやってのけるのが次元大介という早撃ち0.2秒のクールなプロフェッショナルの面目躍如といったところでしょうか。これはゴルゴ13といい勝負だと思います(笑)そこでこの台詞です。完全に相手のプライドを打ち砕いた瞬間、次元大介という孤高のガンマンの面目躍如です。

1stシリーズの匂い

 またこのシリーズは1st前のルパンを想定(これは監督の小池健がキャラクターデザインと作画監督として参加した『LUPIN the Third -峰不二子という女-』(山本沙代監督)をゆるやかに引き継いでいるのも大きな理由かなと思います。

 そのためハードでなれ合わずも相手を信頼しているという関係性が初期のルパンの匂いをまといながらもLUPIN THE IIIRDシリーズの核となっています。そこを見込んだプロデューサーの浄園祐が小池監督に託したLUPIN THE IIIRDも次元メインのこの話が良かったからこそその後のシリーズにもつながったと思います。その第1作目でこの渋さ、お馴染みのメンツはルパン、次元、不二子、最後に少しだけ銭形警部も出てきますが、基本的には所謂ルパンファミリーといわれる4人と銭形のフォーマットではなく1st初期の匂いも感じさせるのも大きな魅力でした。

 これは余談なんですけどマランダ共和国大使の公用車がジャガーMk2だったり、東ドロアでルパンたちが足にするのがアルファロメオ1750GTVだったり(あることで途中でカブリオレになってしまいますが)、ヤエル奥崎がマセラッティ・ボーラでルパン達を追い詰めたりなど、モブシーンの自動車もシトロエン、プジョー、ロールスロイスなど実際にあるクルマというのも1stを感じさせる要素でした。(一瞬だけ映るランチア・フルヴィアなどかなりマニアックです。)

魅力的な敵役ヤエル奥崎

 このシリーズ、は敵役にも魅力があり、特にこの『次元大介の墓標』に登場するヤエル奥崎は凄腕の殺し屋として次元とルパンの前に立ちはだかります。口数は少なく無駄口は叩かないけれど、挑発してきたルパンに対しては言葉を返しています。実はそれがルパンの手でもあるのですがそういうやり取りもヤエルが強敵ならではです。そんな彼には秘密がありますがそれが明かされるのは『不死身の血族』なのでこちらも是非とも観て欲しいですね。

 また最後に少しだけ出てきて「禁断の果実を口にしたな」という男。ルパン三世の映画を観た人ならすぐに分かるかもしれません。そうあの男が多くのモニターの前を見ながらつぶやくのです。これはマーベル・スタジオの『アイアンマン』と同じくまだ先は分からないけどニック・フューリーを登場させてアベンジャーズを匂わすのが頭を掠めましたね(笑)

次元大介の墓標

 次元といえばコンバットマグナム(スミス&ウェッソンM19)、2ndシリーズではサブタイトルにまでなっています。1stでの「魔術師と呼ばれた男」で自らの銃をコンバットマグナムといったのが最初でしたが、LUPIN THE IIIRDシリーズではM27を使っています。実はM19はKフレームという.38スペシャルを使うフレームを使用しているため反動がきついという欠点がありましたがM27は『ダーティハリー』でおなじみの.44マグナムを使用するM29と同じフレームを使用しており大型かつ頑丈で初期生産は注文制だったためレジスタードマグナムと呼ばれていました。これは『ルパン三世 ルパンVS複製人間』の時に次元が使用していた拳銃です。

 今作では尺は通常TVアニメ2本分の尺でありながらも劇場版なみのクオリティで作られた作品なのでそうなのかなと思っていましたがシリーズを追うごとになるほどそういう事かと得心しました。

 ということでLUPIN THE IIIRDシリーズの最初の1本『次元大介の墓標』お気に入りの1本です。ルパン好きならちょっといつもの一味違うルパンを味わってほしいですね。


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