オフビートな三池節が鳴っている。｜『殺し屋１』（2001公開｜山本英雄/小学館殺し屋１製作委員会）｜tonbori堂映画語り

　２００１年に製作された三池崇史監督作品でけっこう話題になったと思う。原作は山本英夫の同名コミックでかなり痛い話なんだけど、この映画も輪をかけてイタイ。

『殺し屋１』｜監督：三池崇史/ロゴはイメージです

イタイ殺し屋

　あらすじは、新宿を根城にしている安生組の組長が情婦としけこんでいるマンションの一室から姿を消した。若頭で真性マゾの垣原は組員を総動員して行方を追う。実は組長は殺されておりそれを計画したのは謎のジジイと呼ばれる男。かれは『１』という殺し屋を使い新宿歌舞伎町を混乱の渦に叩き込もうとしていた。というのがつかみ。原作は１０巻もある結構な長編だけどそのストーリーラインはほぼ忠実になぞられている。（まあいろいろ端折ったりもされてるけれど） 前の馳星周の『漂流街』とは偉い違いだなと思ったが、タイトルロールの射精シーンからまず「やるなぁ三池サン！」と思ったらそのままテンション爆裂のままラストシーンまでなだれ込む。いや『漂流街』も嫌いじゃないんだけどね、ぶっ飛びすぎなんだけど『デッド・オア・アライブ』ほど跳ねてないというか（笑）

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　ラストは原作とは違うけれど納得できるラスト（個人的に）多分ココは賛否分かれる気もするが。最初は垣原を浅野が演じるということでかなり心配もしていたのだが（それで結局劇場もスルーして今の今まで観なかった）おいらの間違いでした。ごめんなさい三池監督という感じデス😅なんとまあ垣原をうまく演じているというか結構あっているやないのと感心しきり。現場で作られるタイプなのかよく解らないけど掴みどころの無い役者だが何でも出来ちゃう無色な俳優だと思った次第。

　タイトルの『１』（イチ）を演じる大森南朋は最近（このエントリを書いた当時）ドラマでもよく観るし、寺島しのぶ主演の「ヴァイブレーター」でも確か出ていた。実は麿赤児さんの息子さんとは監督のコメンタリー聞くまで知らなかった。彼も面白い雰囲気を持った人、今後の注目株。（いまやハゲタカの鷲津が定着。）

三池節が鳴っている

　あいかわらずのワルノリなビートを魅せてくれる三池さんだがココでもそれは絶好調。過剰なまでに人の死ぬシーンや痛めつけられるシーンを描く。なにがココまでさせるんだろう？でもここまでやるからこそ異彩を放つのかもしれない。そしてテーマもあながち外さないとこが面白い。 個人的にはジジイの処理をどうするのか興味があったがそこはまぁ予想範囲内。けどしっかりと笑わしてもらった。かなりイタイので好きな人向け。でも三池フォロワーとボンクラ映画好きなら必ず観るべし。

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MOVIEtonbori堂「殺し屋１」 元記事を改稿掲載

2004年8月20日に別館に掲載分を修正。